湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

万葉集

和歌メモ(柿本人麻呂・万葉集)

今回は、柿本人麻呂の雪の歌。 沫雪は千重にふり敷け恋ひしくの日長き我は見つつ偲はむ (あわゆきは ちえにふりしけ こいしくの けながきわれは みつつしのはむ) 万葉集 巻第十 2334 ⚪︎沫雪(あわゆき)……積もることなく解けてしまう、はかない雪。 ⚪︎千重…

和歌メモ (万葉集・山上憶良)

「貧窮問答歌」として知られる、山上憶良の長歌と短歌があるけれど、TwitterがXに変わったのを見たときに、真っ先に思い浮かんだのが、その短歌だった。 世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば 万葉集 巻五 893 *やさし……痩せてしま…

和歌メモ(雨の歌)藤原定家

今回は、藤原定家の雨の歌。 五月雨の心を 藤原定家 玉ほこの道行人のことづても絶えて程ふるさみだれの空 (たまほこの みちゆきびとの ことづても たえてほどふる さみだれのそら) 新古今和歌集 232 *玉ほこの……「道」にかかる枕詞。古代では、玉の飾り…

和歌メモ(雨の歌)

今回は、万葉集の長田王(ながたのおおきみ)の歌。 うらさぶる心さまねし久かたの天のしぐれの流らふ見れば (うらさぶる こころさまねし ひさかたの あめのしぐれの ながらうみれば) (万葉集 巻1-82) *うらさぶる……うら寂しい気持ちになる。動詞「うら…

和歌メモ……藤の花(大伴家持)

大伴家持の藤の花の歌。 大伴宿禰家持、時じきの藤の花と萩の黄葉(もみぢ)の二物(ふたくさ)を攀(よ)じて、坂上大嬢に贈れる歌二首 わが屋戸(やど)の時じき藤のめづらしく今も見てしか妹が咲容(ゑまひ)を (わがやどの ときじきふじの めずらしく …

和歌のメモ(万葉集・依羅娘子の歌)

柿本人朝臣麻呂の妻依羅娘子(よさみのをとめ)の、人麻呂と相別れし歌一首 な思ひと君は言へども逢はむ時いつと知りてか我が恋ひざらむ (なおもいと きみはいえども あわむとき いつとしりてか あがこいざらむ) (万葉集 巻第二 相聞 140) 【意訳】 柿本…

和歌のメモ(広河女王と穂積皇子)

広河女王の歌二首 穂積皇子の孫女(めうまご)、上道王(かみつみちのおおきみ)の女(むすめ)なり 恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から (万葉集 4巻 694) (こいぐさを ちからぐるまに ななぐるま つみてこうらく わがこころから) 【だいぶ盛った…

今日のテキスト(3)和歌

お友だちに、楽しくて元気があって夏っぽい和歌を探してほしいというリクエストをいただいたので、いろいろ眺めて、とりあえず四首選んでみた。 夏山の木末(こぬれ)の茂(しげ)に霍公鳥(ほととぎす)鳴き響(とよ)むなる声の遥けさ 大伴家持 (万葉集 1…

栗と爆乳(万葉集1745)

病院の待合室で「万葉集の食文化」という本を読んでいて、栗を詠んだ歌が目に止まった。 【目次】 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) いつもの妄想意訳コント 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) 三栗の那賀に向へる曝井の絶えず通はむそ…

万葉集・カラスのまぶたはなぜ腫れたのか

前回に続き、高宮王の怪しい歌について。 【目次】 高宮王の怪しい歌 つまらない現代語訳 語釈 婆羅門 意訳とは名ばかりの何か 高宮王の怪しい歌 波羅門の作れる水田(をだ)を食む烏(からす)瞼(まなぶた)腫れて幡桙(はたほこ)に居り (3856) 万葉集 巻第十六 …

万葉集・クサい人?

今回は、ちょっとにおいそうな歌。 【目次】 高宮王の屎葛の歌 【意訳とは名ばかりの何か】 高宮王の屎葛の歌 皂莢(そうきょう)に延ひおほとれる屎葛(くそかづら)絶ゆることなく宮仕えせむ (3855) 万葉集 巻第十六 作者は高宮王という人。 「王」とあるので…

万葉集・ウナギを勧める理由

【目次】 大伴家持が吉田連老に送った歌 【意訳】 吉田連老と吉田連宜 痩せていた理由 《意訳とは名ばかりの何か》 大伴家持が吉田連老に送った歌 痩せたる人を嗤笑(わら)ひし歌二首 石麻呂に我物申す夏痩せに良しといふものそ鰻捕り食(め)せ (3853) 痩す痩…

万葉集・紀女郎と大伴家持

上代グルメ探訪・・・・のつもりだったけど、どうも違う話になってしまった。 【目次】 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎と安貴王 真実の愛を引き裂かれて懊悩する安貴王の歌 紀女郎の心情 意訳とは名ばかりの妄想コント 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎、大伴宿禰…

万葉集・干しアワビと逆ナンと僧侶

【目次】 通観の作りし歌一首(「万葉集」巻第三 雑歌 327)と意訳 景行天皇がハマグリの膾を食べた「日本書紀」の記事 【なんちゃって書き下し文】 【大雑把な意訳】 意訳とは名ばかりのただのコント「僧侶と干物とシーモンキー」 通観の作りし歌一首(「万葉…

万葉集…山上憶良と奈良時代の中二病

長い記事なので目次をつけてみる。 【目次】 山上憶良の長歌「瓜食めば」と反歌 【ねこたま意訳】 詞書 【ねこたま意訳】 山上憶良が惑へる中二病患者に贈った歌 【ねこたま意訳】 意訳という名のコント 学校で習った万葉集の歌のなかでは、山上憶良の「子等…

万葉集メモ 大伴家持の初春の歌

ふと、万葉集を最後の方から読んでみようと思い立って、読み始めた。 読んだらメモを取らないと忘れてしまうので、順番に書いてみることにした。 というわけで、今日は万葉集(岩波文庫版)の最後に載っている、天平宝字三年(759年)の正月に、大伴家持が詠…

秋の七草の逆襲

昨年十月に、ボケ防止のために秋の七草を覚えた話を日記に書いた。 七草とボケ防止…… - 湯飲みの横に防水機能のない日記 今日の晩ごはんに、亭主が七草がゆを作ってくれたのを見た末っ子が、「せり、なずな、すずな、すずしろ、ほとけのざ、ごぎょう、はこべ…

女神転生Ⅴ日記

結局、買ってしまった。 今作も神や悪魔が東京で暴れ回る物語のはずだけど、冒頭、なぜか万葉集の大伴家持の和歌で始まる。 うつせみの常なき見れば世の中に心つけずて思ふ日ぞ多き (万葉集 巻19 - 4162 ) 人生というものが無常であるのを見ていれば、この…

七草とボケ防止……

どうも近頃記憶が怪しい。 ケアマネさんとの待ち合わせ時間を間違えて、一時間も早く待ち合わせ場所に行ってしまったり(同行した長女さんと一時間歩き回って時間をつぶした)。 内科の予約日を一日間違えて病院に行っちゃったり(予約を取り直した)。 今朝は、…

今日の本棚(ぶっ飛び万葉集系)「日本史が楽しい」(半藤一利編著)

「日本史が楽しい」(半藤一利編著) 昨夜寝る前に、この本の「大伴家持の怨念」という章を音読してもらった。 編著者の半藤一利氏と、中西進氏(万葉学者)、古橋信孝氏(国文学者)との座談会の記録なのだけど、印象としては…… ・中西氏が妄想をぶっ飛ばす。 ↓ …

コロナ入院日記(14日目)肺炎だったらしい

12月6日(日) 午前7時半ごろ ナースコールで起こされた。計測していなかったので、後ほどまた連絡をもらうことに。 計測。 体温 36.9度 血圧 118-85 脈拍 96 酸素飽和度 97 具合がだいぶいい。 僅かだけれども、体力の補充が消耗を上回っている手応えがあるの…

家持くんが漫画になってた

面白い漫画を見つけた。 「The 万葉歌謡ショー」(不火子 著) mangahack.com 無料マンガサイトで連載されていたので、最新話まで一気に読ませていただいた。 kindle版も刊行されはじめているようで、第一話が無料公開されていた。 第一話 ぬばたまの闇 The万…

万葉集とBL

万葉集に出てくる感動表現の「はしきやし」がどうにも気になって、いろいろ調べているのだけど、どうもよくわからない。 古典を専門とする亭主にも聞いてみても、「はしきやし」は、語源的にも意味分析面でも、すっきり解くのが難しいという。 で、単語その…

きょうの万葉集 僕は君のタマになりたい

【目次】 十代の家持の歌 大人になった家持の歌 手に巻いた玉 【意訳ではない別の何か】 十代の家持の歌 万葉集に出てくる大伴家持の最初の歌は、正妻となった大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)に贈った恋の歌である。 朝に日に 見まく欲り…

昨日と今日の日記

こんばんは。 あつ森 昨日は「あつまれどうぶつの森」のハロフィンパーティだった。 長らくサボっていたので、アメちゃんの用意もなく、住民たちに脅されながら、ひたすら在宅の住人を回ってアメをかき集めて・・・なんとかレシピを十個そろえることができた…

昼下がりの万葉集 大伴家持の憂鬱

目次 初恋の人にセカンドラブ 家持の憂鬱な人生(略年譜) 【意訳というより、もはや妄想】 初恋の人にセカンドラブ 今回は、大伴家持が大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)という女性に贈った歌。 まず、詞書(ことばがき)から。 大伴宿祢家持(…

昼下がりの万葉集 いけてない男たち

今日はめずらしく、「行けた?」男たちの歌である。 なぜ「?」というのがついているかというと、「出発」はしたけれど、目的地にちゃんと「到着」したのたかどうかが、どうもはっきりしないからなのだけど、それについては後述する。 今回とりあげる四首の…

午後四時の万葉集 萩の花にライダーキック

前回、酔っ払って登場した大伴旅人氏は、実はあの歌を詠んで一年もしないうちに、亡くなっている。筑紫でだいぶ体を壊していたらしい。赴任早々、愛妻を亡くしたことも痛手だったのかもしれない。 今日の歌は、その死を悼んだ舎人が詠んだものである。 天平…

微妙に腐女子の万葉集

今回は「イケてない」もしくは「行けなかった」男たちの歌、第三弾。 もしかしたら、これ、シリーズになるかもしれない。 沙弥満誓歌一首 世間乎 何物尓将譬 旦開 榜去師船之 跡無如 (351) 世の中を 何に譬(たと)へむ 朝開き 漕ぎ去にし船の跡なきごとし よ…

昼飯時の万葉集

前回に引き続き、「イケてない」歌。 今回、「ゆきはばかって」いるのは、船上の旅人ではなく、「白雲」である。 釈通観歌一首 見吉野之 高城乃山尓 白雲者 行憚而 棚引所見 (353) みよしのの たかきのやまに しらくもは ゆきはばかりて たなびけりみゆ これ…