湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

腐女子の万葉集

栗と爆乳(万葉集1745)

病院の待合室で「万葉集の食文化」という本を読んでいて、栗を詠んだ歌が目に止まった。 【目次】 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) いつもの妄想意訳コント 「三栗の那賀に向かへる」の歌(万葉集1745) 三栗の那賀に向へる曝井の絶えず通はむそ…

万葉集・カラスのまぶたはなぜ腫れたのか

前回に続き、高宮王の怪しい歌について。 【目次】 高宮王の怪しい歌 つまらない現代語訳 語釈 婆羅門 意訳とは名ばかりの何か 高宮王の怪しい歌 波羅門の作れる水田(をだ)を食む烏(からす)瞼(まなぶた)腫れて幡桙(はたほこ)に居り (3856) 万葉集 巻第十六 …

万葉集・クサい人?

今回は、ちょっとにおいそうな歌。 【目次】 高宮王の屎葛の歌 【意訳とは名ばかりの何か】 高宮王の屎葛の歌 皂莢(そうきょう)に延ひおほとれる屎葛(くそかづら)絶ゆることなく宮仕えせむ (3855) 万葉集 巻第十六 作者は高宮王という人。 「王」とあるので…

万葉集・ウナギを勧める理由

【目次】 大伴家持が吉田連老に送った歌 【意訳】 吉田連老と吉田連宜 痩せていた理由 《意訳とは名ばかりの何か》 大伴家持が吉田連老に送った歌 痩せたる人を嗤笑(わら)ひし歌二首 石麻呂に我物申す夏痩せに良しといふものそ鰻捕り食(め)せ (3853) 痩す痩…

万葉集・紀女郎と大伴家持

上代グルメ探訪・・・・のつもりだったけど、どうも違う話になってしまった。 【目次】 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎と安貴王 真実の愛を引き裂かれて懊悩する安貴王の歌 紀女郎の心情 意訳とは名ばかりの妄想コント 紀女郎と大伴家持の歌 紀女郎、大伴宿禰…

万葉集・干しアワビと逆ナンと僧侶

【目次】 通観の作りし歌一首(「万葉集」巻第三 雑歌 327)と意訳 景行天皇がハマグリの膾を食べた「日本書紀」の記事 【なんちゃって書き下し文】 【大雑把な意訳】 意訳とは名ばかりのただのコント「僧侶と干物とシーモンキー」 通観の作りし歌一首(「万葉…

万葉集とBL

万葉集に出てくる感動表現の「はしきやし」がどうにも気になって、いろいろ調べているのだけど、どうもよくわからない。 古典を専門とする亭主にも聞いてみても、「はしきやし」は、語源的にも意味分析面でも、すっきり解くのが難しいという。 で、単語その…

きょうの万葉集 僕は君のタマになりたい

【目次】 十代の家持の歌 大人になった家持の歌 手に巻いた玉 【意訳ではない別の何か】 十代の家持の歌 万葉集に出てくる大伴家持の最初の歌は、正妻となった大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)に贈った恋の歌である。 朝に日に 見まく欲り…

昼下がりの万葉集 大伴家持の憂鬱

目次 初恋の人にセカンドラブ 家持の憂鬱な人生(略年譜) 【意訳というより、もはや妄想】 初恋の人にセカンドラブ 今回は、大伴家持が大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)という女性に贈った歌。 まず、詞書(ことばがき)から。 大伴宿祢家持(…

昼下がりの万葉集 いけてない男たち

今日はめずらしく、「行けた?」男たちの歌である。 なぜ「?」というのがついているかというと、「出発」はしたけれど、目的地にちゃんと「到着」したのたかどうかが、どうもはっきりしないからなのだけど、それについては後述する。 今回とりあげる四首の…

午後四時の万葉集 萩の花にライダーキック

前回、酔っ払って登場した大伴旅人氏は、実はあの歌を詠んで一年もしないうちに、亡くなっている。筑紫でだいぶ体を壊していたらしい。赴任早々、愛妻を亡くしたことも痛手だったのかもしれない。 今日の歌は、その死を悼んだ舎人が詠んだものである。 天平…

微妙に腐女子の万葉集

今回は「イケてない」もしくは「行けなかった」男たちの歌、第三弾。 もしかしたら、これ、シリーズになるかもしれない。 沙弥満誓歌一首 世間乎 何物尓将譬 旦開 榜去師船之 跡無如 (351) 世の中を 何に譬(たと)へむ 朝開き 漕ぎ去にし船の跡なきごとし よ…

ちょっと腐女子の記紀歌謡

今日のネタは「古事記」中巻、神武東征の話の途中にある、奇妙な歌。 前回の釈通観の歌に出てきて散々人を迷わせた「高城(たかき)」が、この歌にも登場する。 ただし、こちらの「高城」は、優雅に白雲が棚引いている山ではなくて、ちょっと血生臭い事情があ…

昼飯時の万葉集

前回に引き続き、「イケてない」歌。 今回、「ゆきはばかって」いるのは、船上の旅人ではなく、「白雲」である。 釈通観歌一首 見吉野之 高城乃山尓 白雲者 行憚而 棚引所見 (353) みよしのの たかきのやまに しらくもは ゆきはばかりて たなびけりみゆ これ…

正午の万葉集

今回は、ちょっと地味系の歌を眺めてみたい。 学校の授業などで万葉集を読まされたころ、「こんなつまんない歌のどこがいいわけ?」といいたくなるような歌、結構見かけなかっただろうか。私は見かけた。たとえぱこんなの。 日置少老歌一首 縄乃浦尓 塩焼火…

昼下がりの古代歌謡 

前回、「古事記」から、日本武尊(やまとたけるのみこと)の断末魔の歌を引用した。 その歌のなかで、「乙女」のベッド脇に「つるぎのたち」を置いてきた、ということを、日本武尊が名残惜しげに訴えていた。その「乙女」とは、「美夜受比売(みやずひめ・宮簀…

真昼の古代歌謡

以前の記事で引用した、大友家持の歌が気になっている。 夢のごと 思ほゆるかも はしきやし 君が使の 数多く通へば (万葉集 巻4 787) 久須麻呂くん(藤原久須麻呂、藤原仲麻呂の息子)の使いがしょっちゅう来ることに対して家持くんが「夢のように思えるよ」「…

腐女子の万葉集 家持くんと久須麻呂くん

次の三首は、巻四の「相聞」の末尾近くに載っている歌である。 作者は、大伴家持。送った相手は藤原久須麻呂という男性。 大伴宿祢家持報贈藤原朝臣久須麻呂歌三首 春の雨は いやしき降るに 梅の花 いまだ咲かなく いと若みかも(786) はるさめは いやしきふ…

土曜の朝の万葉集

死と表裏一体の恋というのが、あるらしい。 戀尓毛曽 人者死為 水無瀬河 下従吾痩 月日異 (598) こひにもぞ ひとはしにする みなせがわ したゆあれやす つきにひにけに 《ひどい意訳》 いつのまにか、物が食えなくなっていた。 誰にも言えない。家族にも。 …

午前十一時の万葉集

万葉集には、「死」という言葉が詠み込まれた歌が五十首近くあるようだ。 四千五百首以上もある歌のなかの五十首を、多いとみるか、少ないと感じるかは、人によりけりだろうが、私は意外に少ないのだなと思った。直情的に「もう会えない! 死ぬ!」とか「苦…

腐女子の日本書紀

ネットを探索していて、こんな情報を拾った。 「日本最古のゲイのエピソードは、『日本書紀』の中にある」 それはぜひとも原文を見物しなければ。 「神功皇后紀摂政元年」の記事であるとのこと。 亭主の書庫にあった岩波古典体系(旧体系)「日本書紀 上」の、…

腐女子の万葉集

前から気になっていることがあった。だけど調べてみても、分からなかった。それで、亭主に聞いてみた。 「ねえ、聞きたいんだけど」「なんや」「万葉集の時代に、ゲイの人っていたの?」「え?」「古い時期でわかんなかったら、桓武帝のあたりでもいいんだけ…

午後一時の万葉集 朝明の姿

今日も万葉集の巻十二より。二首。 我背子之 朝明形 吉不見 今日間 戀暮鴨 (2841) わがせこが あさけのすがた よくみずて けふのあひだを こひくらすかも 朝烏 早勿鳴 吾背子之 旦開之容儀 見者悲毛 (3095) あさがらす はやくななきそ わがせこが あさけのす…

真昼の万葉集

今日は再び万葉集。巻十二。 前回の伊勢物語の軽薄ナンパ男の歌に食傷したから、もう少し純な歌を。 妹門 去過不得而 草結 風吹解勿 又将顧 一云 直相麻弖尓 (3056) いもがかど ゆきすぎかねて くさむすぶ かぜふきとくな またかへりみむ 一云 ただにあふま…

朝の人麻呂

前回の家持の歌と同じ「あきされば」「天の川」「霧」をパーツに持つ歌は、けっこうあるらしい。 下の人麻呂の歌もその一つ。 秋去者 川霧 天川 河向居而 戀夜多 これがうわさの正訓表記だ。漢文と一緒で、字面で意味はなんとなく分かるけど、どう読むかが難…

朝の万葉集(大友家持の歌)

たぶん、全部の歌に目を通したことはある。 でも覚えているのは、ほんの少しだ。 亭主にも聞いてみた。 「全部おぼえてる?」「万葉集? ちゃんと記憶しとるのは十分の一やね。見て思い出すので、半分ぐらい。万葉仮名で書いてあるのは覚えやすいけど、正訓…