2022年1月のKindle読書記録。
芥川龍之介「舞踏会」
青空文庫。無料で読める。
北村薫の本で触れられていたのに釣られて読み、四十九歳の女性を「老夫人」と書いているのにショックを受けた。そりゃ芥川は若かっただろうけど。
風花千里「身代わり狂騒曲」
Kindle Unlimitedで読んだ本。
平賀源内をめぐる人々のドラマ。この作家の本を読むのは本作が初めて。
思いがけず面白かったので、他の作品も読むつもり。
江戸川乱歩「黒蜥蜴」
青空文庫。
これも北村薫の本の影響で読んだ。
昭和初期の作品だから、ものすごく古臭いところも多々あるのだけど、読み始めたら耽美でグロテスクな情景に引き込まれてしまった。三島由紀夫がこの作品の戯曲を書いたり、映画(美輪明宏主演)に自分が出演したりした理由は分からなくもない。
鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」(1)
再読して、改めて大好きな作品だと確認できたので、続きを読むことにした。優しいだけの世界ではないけど、優しい気持ちを思い出せる作品。
鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」(2)
で、続きを購入。ほんとに好き。
女子高生と75歳未亡人の羨ましすぎる腐女子付き合いのその後が気になって仕方がないので、3巻目も買うことに決定。
サンドイッチマンの漫才でネタになっていたので気になっていたところ、無料マンガのリストにあったのを見つけてしまい、出来心でダウンロードして読んでしまった。
年相応に見える高校生が一人もいない。
教師も生徒も身体能力がバケモノレベルのバカしかいない。
校長が一番酷い。
主人公だけが、なぜかイケメンで賢い。間違って入学した風でもないし、なんでいるのか分からない。
2巻目もタダで読めるみたいだけど、老け顔でお腹いっぱいなので保留。
秋葉東子「ナイショの楽屋裏」
再読。BL漫画。
ずっと一緒にいるために漫才コンビになり、売れっ子になってしまった主人公たちと、彼らに振り回される同業者やマネージャーたちの日常を描いたお話。たまに読み返すと、心楽しい。
仔鹿リナ「八百森のエリー」5巻
Kindle Unlimited(読み放題)で読める漫画。
青果市場の仲卸で働く人々の熱い物語。
農家やスーパー、農林水産省など、関連する職業の人々の話もたくさん出てくる。
久しぶりに再読したけど、やっぱり面白い。
ただ、ものすごく気になるところで5巻目が終わっているので、続きが非常に待ち遠しい。
夏目漱石「夢十夜」青空文庫
青空文庫。
末っ子に音読してもらった。
鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」(3)
やさしい気持ちでいっぱいのマンガだけど、棘がないわけではない。
主人公の両親は離婚していて、たまに面会する父親は神経質なのに娘の感情には無神経で、傷つけていることに気づかない。幼馴染の少年のことが好きなのに、彼には美人で成績の良い彼女がいる。先々、いろいろありそうで、ドキドキする。
綾瀬ありる「悪役令嬢はとにかく恋はしたくない」
一番避けたい相手に恋されてしまうという、定番の悪役令嬢物だけど、楽しく読めた。
原田マハ「ギフト」
上質な果実水みたいな短編集だった。
出てくるのは善良な人々ばかりで、切なさがあってもページをめくれば癒されている。
常日頃「ざまあ」なお話ばかり読んでいるせいで、待ち合わせに大遅刻ばかりして彼女を泣かせる彼氏がいれば、すわ二股がけかと疑ったり(ほんとに仕事が詰まっていただけだった)、やたらと皮肉や批判の多い上司が出てくれば次のターンで倍返しかしらと予想したりして(部下思いの素敵な上司なだけだった)、無駄に心を騒がせながら読んでいる自分は、ほんとに心が汚れているなあと痛感した。
紫水ゆきこ「かつて聖女と呼ばれた魔女は、」
Kindle Unlimitedで読んだ作品。
長い間、人間社会から遠ざかって暮らしていた不老不死の魔女が、たまたま命を救ってしまった騎士のせいで、人の世に戻っていくことになるお話。
騎士を含め、人の話を聞かない人物が多いので、主人公に気持ちを寄せて読んでいると多少イラッとするけれども、主人公も相当に頑固なので、周囲が強引じゃないと運命を変えられなかったかもしれないとは思う。
永井路子「執念の家譜」
読み応えのある歴史短編集。
表題作は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」よりも、少しあとに起きた、北条氏と三浦氏のドロドロした軋轢を取り上げている。
他に、曽我物語を題材にしたお話や、もっと時代が後の、秀吉の朝鮮出兵や、関ヶ原の戦いに絡んだ短編もあって、歴史音痴にはなかなかの試練だった。
十帖「断罪された伯爵令嬢の、華麗なる処刑ルート回避術」
冤罪でギロチンにかけられた主人公が、刃が首に落ちる寸前に発動した時間巻き戻しの魔法のお陰で救われて、人生をやり直すお話。
タイトルとは違って、主人公の処刑回避はなりふり構わず奮闘してのギリギリセーフだった。
冤罪を仕組んだのは、現代日本から異世界転移してきた女子高生。
癒しの力と優れた異文化をもたらしてくれる「聖女」として祭り上げられた彼女は、王城でちやほやされるうちに、もともとの我儘で自己チューな性格がモンスター級に悪化して、目障りな人間を排除することばかり考えるようになる。「聖女」の役割を少しも果たさない彼女に厳しい言葉をかけた国王をあっさり暗殺し、科学者として賞賛されていた主人公を犯人に仕立ててしまう。
処刑の数年前にタイムリープした主人公は、見た目だけは可憐な「聖女」の本性を知っているので、全力で接点を作らないように努力するものの、読みをことごとく外してしまい、「聖女」の妬み嫉みのターゲットになってしまう。
かなり際どいところで国王暗殺は回避したものの、怒り狂った「聖女」が天災級の迷惑物件へとメタモルフォーゼを遂げたために、主人公は捨て身で対抗。なんとか「聖女」を元の世界に叩き返したものの、王都は半壊。
お話はハッピーエンドだったけど、ここの国は異世界転移で「聖女」を迎えるのは金輪際やめた方がいいと思う。
こふで「べな」
マンガ。ジャンルはBL。江戸時代。
Kindle Unlimited(読み放題)リストにあったので、読んでみた。
見世物小屋で男娼扱いされていた壱という青年が、虐待されていた鬼の子どもを連れて出奔し、新たな人生を歩むお話。終盤までかなり痛いエピソードが続くけれども、たぶん幸せになるのだろうと思われるエンディングだった。続編も出ているようなので、もう少し痛くない人生になってあればいいなと思う。
鶴谷香央理「メタモルフォーゼ」の縁側」(4)
とくに大きく心を揺らしたり傷つけたりするような出来事はないけれども、なんとなくハラハラする巻だった。
描きたいと思って描き始めた漫画に、重い重圧を感じてしまう、うらら。好きなことを楽しむことができるほど、心の自由がないのが、切ない。
そして、いよいよコミケっぽいイベントで出店。でも一冊も売れないうちに四巻終了。次巻はもう出てるけど、落ち込んだりしたときまで、おあずけ。
甘岸久弥「服飾師ルチアはあきらめない 今日から始める幸服計画」第二巻
昨年暮れに一巻を読んでから、発売日を指折り数えて待っていた作品。
「魔導具師ダリヤはうつむかない」のスピンオフ的なシリーズだけど、こちらにしか登場しない人物やエピソードが多くて楽しい。
「魔導具師ダリヤ〜」には、ルチアのほかにも、主役になれそうな人物がたくさんいるので、スピンオフがもっとたくさん出るといいなと思う。