四月中に読んだkindle本の感想メモ。
読了していない本も備忘録として書いておく。
…そして全部は書ききれなかった。(´・ω・`)
相澤理「歴史が面白くなる東大のディープな日本史-古代・中世編」
kindle Unlimited(読み放題)で読める本。
末っ子と日本史の勉強をするのに使えるかしらと思ってダウンロードして読み始めたら、読み物として面白いので、自分で少しづつ読んでいる。
八世紀ごろの日本の外交姿勢について問う問題と解説が、とても面白かった。超大国の唐のありかたを必死で模倣しながらも、唐から自立しようとするあり方は、明治時代以降の欧米との付き合い方でも繰り返されていると。いわれてみればそうだなと納得するばかりだった。
砂原浩太朗「高瀬庄左衛門御留書」
kindle unlimited(読み放題)で読める時代小説。
あとちょっとで読み終わるところ。
高瀬庄左衛門は、藩の郡方づとめとして農村を回り、年貢を管理する仕事をしている。一人息子も同じ仕事をしていたけれども、仕事中に事故に遭って亡くなってしまう。
妻に先立たれていた庄左衛門は、息子の嫁を実家に戻し、一人暮らしを始めるのだけど、趣味にしていた絵を通して、思いがけない人々との縁ができたことから、孤独だった生活が少しづつ彩を取り戻していく。
けれどもその縁が、藩を揺るがす事件の渦中へと庄左衛門を引き込んでいき……。
あまり読まないジャンルの作品だけど、文章がとても好ましいのと、時折出てくる食事や食べ物の描写が楽しいので、最後まで読み終えられそうだ。
カヤ「転生少女はまず一歩からはじめたい1〜魔物がいるとか聞いてない!」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
主人公のサラは、原因不明の虚弱体質のために、幼少期から苦労して暮らしていた。大人になって就職したものの、無理の聞かない身体のために苦しんでいたところ、女神だという無責任そうな存在によって、ろくなフォローもないまま、異世界に強制転生させられてしまう。
本来なら魔力の存在する世界に生まれるはずだったサラが、魔力のない地球に生まれてしまったために、魔力不足で慢性疲労症候群のような状態になっていたらしい。女神はそういう地球人を探し出して、魔力の枯渇で早死にする前に異世界に転生させるようにしていたらしいのだけど、転生した個人の感情などにはあまり短着しないようだった。
サラも10歳ほどの少女の姿で、周囲に凶悪な魔物しかいない魔の山にいきなり放り出され、女神の配慮のなさをだいぶ恨むことになる。
サラは魔の山の管理人だという、恐ろしく強くてコミュ障気味のネリーという女性に助けられ、彼女の手厚い保護と、いささか常識から外れた教育を受けながら、山小屋で共同生活を送ることになる。
何もかもが未知の異世界で、健やかな身体を手に入れたサラが、出会いを大切にしながら、非常識な強さを身につけつつ生きていく姿が好ましい。
シビアな状況は色々とあるけれど、殺伐とした事件が残虐シーンなども少なく、どうしようもない悪人というのもあまり出てこない。
権力者側の人間のなかに、だいぶ話を聞かない自己中タイプがちょくちょく出てきて、主人公たちに迷惑をかけるのだけど、その都度撃退したり回避したりできているので、いい感じに清涼感を味わえる。
カヤ「転生少女はまず一歩からはじめたい2〜魔物がいるとか聞いてない!」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
一巻目に続いて、サラの成長していく姿が楽しい。地球では27歳だったはずなのに、すっかり12歳が板についていて、子どもらしく色々なことを柔軟に吸収しながら育っている。
保護者のネリーの過保護っぷりにも拍車がかかり、他の人々との絡みも面白い。
カヤ「転生少女はまず一歩からはじめたい3〜魔物がいるとか聞いてない!」
Kindle Unlimited(読み放題)で3巻目まで読める作品って、とても貴重だと思う。
サラとネリーは、それまで暮らしていた魔の山を離れ、別の町へと旅立つのだけど、そこでも自己中な人々のせいで、色々なことに巻き込まれ…。
このシリーズ、主人公や(自己中でない)脇役たちのキャラが疲れた心に沁みるだけでなく、舞台になっている異世界の景色にも、どこかホッとするところがあって、読んでいて癖になる。残念ながら4巻目は読み放題できないようなので、自分へのご褒美にとっておこうと思う。
カヤ「転生令嬢は平和に暮らしたい!!〜虐げられる運命らしいので、脇役に徹します〜」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
同じ作者さんの「転生少女はまず第一歩から始めたい」が良かったので、こちらも読んでみた。
同じ異世界転生ものだけど、こちらの令嬢セーラは、留守がちで放任主義の父親の代わりに子爵家を切り盛りしたり、商会を立ち上げて儲けを出したりと、生活力が半端なく高い。母親は不倫相手との逢瀬中に事故で死んたという。
そんなセーラの家に、ある日いきなり継母と二人の義理の姉が出現する。お人好しの父親が、他国で路頭に迷っていた侯爵家の母娘を見かけて放っておけず、自分の妻子という名目で連れ帰ってしまったのだ。
日本で生きていた前世の記憶を持つセーラは、自分が継子として虐げられる未来を想像したものの、シンデレラと違って自分の資産や仕事を持つセーラにとって、継子いじめなど恐るに足るものではないと気づく。
結局、継子いじめなどは起きず、セーラの機転と活躍で、侯爵家の問題を根こそぎ解決され、さらに商売まで広がって、いろいろとめでたく収束した。
セーラの恋愛が全く進展しなかったので、続編があるなら読んでみたい。
アラスカぱん、桃春花、まろ「マリエル・クララックの婚約」第一巻(一迅社)
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだマンガ作品。
貴族令嬢のマリエルは、地味で印象の薄い容姿を生かして社交界で人間観察を楽しみながら、得た情報を元に恋愛小説を書くことを生きがいとしている。出版された小説は大人気だけど、世間に知られたら令嬢としての評価が地に落ちるのは間違いなく、家族は気が気ではない。
そんなマリエルに、社交界で人気の高い近衛騎士団の副団長が結婚を申し込んだため、大騒ぎになる。嫉妬にかられた令嬢たちの嫌がらせがヒートアップするものの、マリエルにとっては全て愛すべきが小説のネタなので、ほとんど効果がなくて……。
自分が恋愛の傍観者にすぎず主人公にはならないと思い込んでいるヒロインと、彼女に結構真剣に思いを寄せているヒーローのすれ違いが解決するのは、だいぶ先になりそうだ。
喜久田ゆい、由唯、椎名咲月「虫かぶり姫」(一迅社)
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだマンガ作品。
原作小説が、たしが「小説家になろう」で連載されていたように記憶している。
エリアーナは、第一王位継承者のクリストファー殿下の婚約者だけれど、社交もせず、王妃教育も受けることなく、ひたすら読書に耽溺する日々を送っているため、本の虫を通り越して「虫かぶり姫」と呼ばれている。実家も貴族としては弱小で、後ろ盾としては弱い。そんな自分が王妃になれるとは思わないエリアーナは、婚約はいずれ解消される仮初のものだと考えていた。
婚約四年、結婚の具体的な話が出ないまま、殿下とその部下たちの庇護下で穏やかに読書を楽しんでいたエリアーナだけれども、ある日、見知らぬ令嬢がクリストファー殿下と妙に親しくなっていることに気づく。その後、殿下がエリアーナから距離を置くようになり、部下たちも不自然に冷たい態度を取るように。
エリアーナは、殿下がそろそろ自分との婚約を解消するのだろうと考え、覚悟を決めるのだけど、相手の令嬢がエリアーナに加害の濡れ衣を着せようとして事件を起こし……
一巻できっちり「ざまぁ」が決まってすっきりするのだけど、確かこのお話の原作は、このあとかなりシリアスな展開になって、エリアーナはとんでもない苦労をするはず。マンガ版ではどうなるのだろう。
クレハ「鬼の花嫁〜運命の出会い」(スターツ出版文庫)
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
最近、この作品のコミック版のネット広告を頻繁に見かけて印象に残っていた。
ヒロインが家族にないがしろにされ、気持ちを踏みにじられるという胸糞な導入から一転して、高位の存在に見初められて問答無用の溺愛に突入するという、恋愛ラノベの王道と言うべき、ストレス発散向きのあらすじのようだった。
小説版が読み放題できるのに気がついたので、早速ダウンロードして読了。まさに王道の異種結婚譚だった。
舞台は、あやかしと呼ばれる強大な異種族が人間と共存し、国の繁栄を支える現代日本。
あやかしの男性は、ごく稀に、自分の力を高めてくれる人間の女性を見出して娶ることがある。あやかしにとって、そんな女性は全身全霊で愛せずにはいられない唯一無二の存在であり、選ばれた女性にとっては、栄華の絶頂に至るのと同義でもある。
主人公の柚子(ゆず)は、花梨という妹がいる。花梨は、もとから容姿に恵まれているばかりか、すでに有力な狐系列のあやかしに見初められて花嫁になることが決まっているため、両親は花梨のことだけを常に優先して不自然に甘やかし、姉の柚子には厳しく当たるか無視するばかりで、気持ちを顧みることがなかった。
そんな両親の態度を見て育ち、あやかしの恋人に宝物のように大切にされている妹の花梨は、みじめな気持ちで暮らす姉を侮蔑して傷つけることを喜ぶような歪んだ人間になっていたけど、見た目が麗しいために、誰かに非難されることもなかった。
けれども柚子の誕生日に、そんな家族関係が一変する出来事が起きる。
祖父母が柚子に心を込めて贈ってくれたワンピースを、花梨が無理に奪い取ろうとして引っ張り合いになり、ワンピースが裂けてしまう。それまで何をされても心を殺して耐えていた柚子は、我慢しきれずに花梨を叩いてしまうのだけど、その場に居合わせた花梨の婚約者が見咎めて、柚子の手に炎を放って大火傷をさせる。
そんな状況であっても花梨の側に立ち、柚子だけを悪者にしようとする両親の姿に心を抉られた柚子は、破れたワンピースを持って家を飛び出したものの、行くあてもないまま歩いていると、いきなり見ず知らずの絶世のイケメンに捕まり、あれよあれよと言う間に壮大な邸宅に拉致られて大勢の人々に傅かれ……
そのあとの展開は、
ふたたび胸糞→輪をかけた溺愛→疑念と危機→ざまあ→エンドレス相思相愛
だった。
まさに、安定の王道と言える。
柚子を見初めた絶世のイケメンは、鬼龍院玲夜といって、あやかし界のトップに君臨する鬼の一族の御曹司。他人に興味を持たない冷血なエリートだったのに、人間の女子高生を花嫁として見初めてからは、人が変わったように愛情ダダ漏れの困った人になってしまう。そのギャップが萌え要素の一つなんだろうけど、彼の周囲の人(あやかし)たちのほうが面白かった。
玲夜と側近(男性)が禁断の恋愛関係にあると信じて、その恋を見守るという建前で、彼らを主役にしたBLマンガを量産していた、玲夜の元婚約者の桜子とその腐女子仲間たち。彼女たちは最後の方で活動が玲夜に露見して激怒され、腐った作品を全部焚書されていたけど、その後秘密裏に二次創作の会を立ち上げていた。どうなることやら。
冷血っぽい息子とは正反対の、妙にキャピキャピした両親も、だいぶおかしいんだけど、まだそんなに表に出てこないので、これからの活躍が期待される。
続編も読み放題できるようなので、読んでみようと思う。
クレハ「鬼の花嫁二〜波乱のかくりよ学園〜」(スターツ出版文庫)
というわけで、二作目も読んでみた。
(Kindle Unlimited)
一巻目で柚子を苦しめていた強欲な両親と自己中な妹(とその婚約者)は一切登場しない。スッキリ駆逐されたらしい。
今回は、高校卒業後、あやかしメインの大学に進学した柚子が、彼女の嫁ぎ先である鬼龍院の家や、玲夜本人に思うところのある人々のせいで、いろいろと理不尽な事件に遭遇する。
柚子の進学先は花嫁学部といって、あやかしの花嫁になった人間の女性を対象に、必要な知識を学ぶところだった。けれどもそついう立場の女性は滅多にいないので、同学年には柚子を含めて三人しかいない。
そのうちの一人は、柚子の幼なじみの透子で、もう一人は梓という愛らしい少女だった。
梓は蛇塚というあやかしの青年の花嫁として愛されていた。けれども二人の結婚は、蛇塚の申し込みを受けた梓の父が、自分の事業への援助を期待して、梓に無断で受けたものだった。
以前から見目麗しい玲夜に片思いをしていた梓にとって、蛇系のコワモテな蛇塚青年は、いくら自分を思ってくれていても、ひたすら疎ましい存在でしかなかった。
花嫁学部に進学して、憧れの玲夜の花嫁である柚子と出会った梓は、なぜ自分ではなく、こんな平凡な娘が選ばれるのかと憤る。
そんな梓の妬み嫉みにつけ込んで利用し、柚子を傷つけ玲夜を貶めようと画策する人物が現れるのだけど……
まんまと拉致監禁→監禁場所発覚→強襲からのタコ殴り→粛清
あっけなかった。(´・ω・`)
玲夜の敵対勢力に利用された梓は、結局蛇塚青年の花嫁にならず、縁を切られたようだけど、その後は不明。あやかしは、花嫁と認めた人間の女性を生涯愛する宿命らしいので、蛇塚青年のその後の人生は暗いものになりそうだ。切ない。
一巻目で玲夜と側近(男性)のBLマンガを量産していた腐女子の人々は、焚書を食らったあと、あやかし大学で密かに漫画研究部を立ち上げて、さらなる活動に勤しんでいた。大変だ。その後が気になる。というか、そのマンガ、ちょっと読みたい。
クレハ「鬼の花嫁三〜龍に護られし娘~」
3巻目は読み放題ではないので、定価で購入。
龍の加護を得ている人間の一族の娘が、鬼の跡取りの玲夜に一目惚れして、花嫁の柚子を排除するために龍の力で物理攻撃を仕掛けてくるという事件が起きる。でも一族に使役されていぬ龍は、なぜか鎖で縛られて苦しんでいるらしく、柚子に危害を加えようとしながらも、なぜか泣きながら助けを求めてくる。
色々あって、龍を絡め取っていた鎖は断ち切られ、自由になった龍は柚子を守護する存在になる。それまで龍を縛り付けて加護を受け繁栄を極めていた一族は、鬼の眷属の報復によって、じわじわと落ちぶれていったようだ。
クレハ「鬼の花嫁 四~前世から繋がる縁~」
シリーズ四巻目。
ヒロイン柚子に絡みつく、どす黒い因縁が明らかにになる。
もちろんすっかり解決するのだけど、この柚子という女性は、前世も今世もつくづく粘着系の病んだ人間を引き寄せやすい体質なんだろうと思わされる巻だった。
クレア「鬼の花嫁五~未来へと続く誓い~」
最終巻。
最後の最後まで仲を裂こうとする妨害キャラが湧いてくるのは、もう気の毒としか言いようがない。
結婚間近なのに、どう考えても略奪狙いの女性が玲夜の屋敷に押しかけてきて強引に同居するというのは、もうフィナーレ(ざまあ)のための仕込みだとしか思えなかったけれども、そういう試練を経るたびに、柚子の自主性と意志の強さに磨きがかかってくる様子も語られるので、不必要ではなかったのだろう。
四つ目「引き籠り錬金術師は弾き引き籠れない お家でのんびりしたい奮闘記」第一巻
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
主人公のセレスは、凄腕の錬金術師にもかかわらず、半端ない対人恐怖症のせいで、一人ではまともな社会生活を営めず、母親の世話になって暮らしていた。
けれどもセレスの母親は、問答無用で引きニート娘を自立させることを決め、ある日簀巻きにして、自力では帰宅できないほど遠い他国に放り出してしまう。母強し。
母親に捨てられたセレスは、なんとかたどり着いた街で、理解ある親友と再会し、何から何まで彼女の世話になりながら、錬金術師としての仕事をし始める。
このあたりまでは、なんというか、セレスの依存体質にイラッとさせられることが多くて、ハズレ作品だったかもと思ったりもしたのだけど、次第にセレスの錬金術師としてのケタハズレな能力が見えてくるにつれて、これは天才的な自閉症者と似たようなパターンかもしれないと思うようになった。
セレスは、他人の気持ちを想像したり理解したりすることができない。他人の悪意や打算を正確に察することが難しく、自分が他人にどう思われているかも分からない。
だから、セレスにとって、他人という存在は全て恐怖の対象であって、完全に心を許した相手にしか、素直な感情を見せることができない。
さらに悪いことに、恐怖を感じる相手に対して見せるセレスの表情や態度には、無意識のうちに凄まじい威圧が込められてしまうため、ほとんどの人が恐怖のあまりセレスの人格を見誤ってしまう。その結果、セレスと周囲の人々は、ごく一部の例外を除いて、お互いに猛烈に誤解しあい、恐怖しあうという、不幸な関係になってしまう。
そういうドツボな状況でありながら、セレスの優れた錬金術の成果のおかげで、セレスの暮らす街は異様なスピードで発展していく。すると当然のことながら、為政者の手がセレスに伸びてきて、否応なしに政治に巻き込まれていくことになるのだけど、そんな周囲の思惑に全く気づくことなく、引き籠って安全に暮らしたい一心で、セレスは日々奔走することに…
一巻目は、まだ序章という感じで、セレスを囲む人間関係は閉塞的で、理解者も少なく、恋愛要素も枯渇しているのだけど(対象になりそうな男性は出てくるけど、お互いに恐怖していて全くそのケがない)じわじわと心ある人々との出会いがありそうで、続きが楽しみだ。
四つ目「引き籠り錬金術師は弾き引き籠れない お家でのんびりしたい奮闘記」第二巻
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
第一巻が面白かったので、続きが出てるかなと探してみたら、読み放題できたので、即ダウンロードして読了。
他人に怯えて暮らすセレスのところに、ライバル宣言をして勝負を求めるアスバというツンデレ系の少女が押しかけてくる。魔法使いとして飛び抜けた実力を持つアスバは、錬金術師のセレスが難易度の高い討伐依頼を根こそぎ片付けてしまうことに苛立って、自分のほうが実力が上であると見せつけ用途考えたのだ。
猛烈に押しの強いアスバに怯えたセレスは、対人恐怖をMAX発動した結果、アスバに全く関心のないような態度を取ってしまう。存在を歯牙にも掛けられなかったと誤解したアスバは当然激怒するのだけど、成り行きでセレスを手伝うことになった素材採取の仕事で大失敗し、他所の土地の食料事情に壊滅的な損害を与えてしまう。その結果、セレスが政治的に厄介な立場に追い込まれることになったため、責任を感じたアスバは、セレスを助けるために働くことを決意。お互いがお互いを振り回すような奇妙な関係を続けるうちに、とちつもない実力を持つ錬金術師と魔法使いは、ほゆの少しづつ、相手を理解できるようになっていき…
相変わらずセレスは周囲に誤解されまくり、引き籠り体質にも変化がないのだけど、押しの強いライバルのおかげで、ほんの少しだけ見える世界が広がったようだった。
恋愛要素のカケラは見えてきつつあるけれど、本格発動の気配はまだない。先が長そう。
四つ目「引き籠り錬金術師は弾き引き籠れない お家でのんびりしたい奮闘記」第三巻
Kindle Unlimited(読み放題)で、三巻目まで読めるとは思わなかった。有り難く読了。
今回は、セレスが初めて他人に積極的に関わることになる事件が起きる。
セレスは領主に依頼されて、他の領地と合同での野盗狩りに派遣される。
ところが野盗に攫われて尊厳を奪われ続けていたメイナという少女が、無意識に召喚してしまった悪霊が、街を滅ぼすほどの災害をもたらしてしまう。悪霊は、セレスが捕まえた大勢の野盗の死体を生贄として強大化してしまったのだ。
壮絶な戦いの結果、なんとかセレスは悪霊を封じ込めることが出来たけれど、完全に消滅させると、召喚者であるメイナも死んでしまうことになる。野盗に虐待されたせいで他人を極度に恐れるメイナに、自分と通じるものを感じたセレスは、メイナを殺す選択をしようとする領主を脅して、自分の家で引き取ることにした。
ここへきて、セレスは初めて他人の内面を推測し、自分との類似や違いを正しく理解するという経験をすることになる。
そんなかなりの成長を遂げたセレスだけど、恋愛イベントはまだだいぶ先になりそうだった。
星彼方「悪食令嬢と狂血公爵〜その魔物、私が美味しくいただかます!」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
魔物を食べるための研究に明け暮れているせいで婚期を逃しかけている伯爵令嬢メルフィエラと、強大な魔力で魔物を大量に屠るために恐れられて結婚相手が見つからないガルブレイス公爵との、出会いのお話。
彼らがそんな生活をしている背景には、深刻な国の事情が絡んでいるのに、貴族社会では理解されず、中傷のまとになっている。
けれども婚活のために訪れたパーティで、狂化した魔物が飛び込んでくるというアクシデントに巻き込まれ、血まみれになった状態で出会った二人は、あっという間に意気投合し、周囲が唖然とするスピードで婚約を果たしてしまう。
本書では、巨大な魔物の下処理や料理など、文字通り血湧き肉躍る共同作業をしながら、深く心を通わせていく二人の微笑ましい様子が、これでもかというほど語られるのだけど、ほのぼのだけでは終わらなさそうな状況も色々ありそうなので、次巻以降はスリリングな展開になりそうだ。
華宮ルキ「たくまし令嬢はへこたれない! 妹に聖女の座を奪われたけど、騎士団でメイドとして働いています」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
実家で継子いじめに遭っていた貴族令嬢のセイディは、義妹に婚約者と聖女としての立場を奪われた上、親に家から追い出されてしまう。
異世界ラノベでわりとよくある悲惨な境遇だけれど、セイディは婚約者にも家族にも既に見切りをつけていたので、淡々と勘当を受け入れて家を出る。
自活のための仕事を探していると、王都の騎士団寄宿舎が住み込みのメイドを募集しているという求人情報があったので、応募したところ、あっさり採用が決まる。
そんな職場でステキな騎士との出会いに恵まれ、玉の輿に乗っかって実家にザマァをかますお話なのかなと思ったのだけど、どうもそういうふうにはお話が進まないようだった。
まず、出会う騎士たちが誰も彼も一長一短というか、それぞれ厄介な問題持ちだったり、正確がねじ曲がったりしているので、読んでいる私から見てもこの人ならではという決め手に欠ける。恋愛フラグっぽいイベントは色々と起きるものの、そもそもヒロインのセイディに、色恋感情が皆無なため、関係が全く発展しない。
そうこうするうちに、セイディを追い出した実家の親や元婚約者が、王都のセイディのところに押しかけて復縁を迫ってきたりと、ごたごたするものの、色恋同様進展せず、結局、セイディが誰とも特別な関係にならないまま、一巻目が終わってしまった。
続きが気になるので、機会があれば読んでみようと思う。
歌月碧威「悪役令嬢はお断りします!〜二度目の人生なので、好きにさせてもらいます〜」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
前世で悲惨な最期を遂げた女性が、乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わってしまい、断罪イベントから逃れるために奮闘するお話。
異世界転生恋愛ラノベでは定番のストーリーだけど、お話の冒頭で、前世の事情がかなり濃いめに書かれているのが印象的だった。
親友と二人でカフェ開店の資金を貯めて頑張っていたのに、目標金額に届く寸前で親友に裏切られて全額持ち逃げされた直後にひったくりに遭って転倒、頭を強打して死亡。
ひどすぎた。(´・ω・`)
転生後の人生は、ゲームのシナリオ通りだと、ヒロインをいじめた罪で破滅決定なので、とにかくヒロインに関わらないように用心して暮らしていたのに、シナリオ補正が働いたのか、ゲームには登場していない人物の恨みを買って、散々命を狙われることに。
もちろん全て解決してしあわせになるのだけど、タイトルとは違って、なかなか好きにはさせてもらえない人生だった。