湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ラノベ読んだ日記

ひさびさにKindle unlimited(読み放題)でラノベを読んだ。

 

「転生したら、モブでした(涙)  死亡フラグを回避するため、薬師になります」(江本マシメサ著)

 

 

前世でプレイしていた乙女ゲームに出てくるモブキャラに生まれ変わってしまった主人公が、学校の大火災で死ぬ運命を回避するため進路を変えたら、想像もしなかった大事件に巻き込まれる、というお話だった。

 

 

お料理の描写がうまい作者さんだけに、少しだけ出てくるネズミ型妖精族たちのスイーツ作りや、魔法薬製造のシーンも楽しく読めた。

 

そういうほんわかした要素とは対照的に、主人公たちの生育歴はもの寂しく、巻き起こる事件はドス黒さを極めている。

 

子どもに関心の薄い両親の元で育った主人公。過去の猟奇殺人事件で肉親を失っている友人や教師。通っている学校では退学した生徒が何人も消息を絶っていて、巷では誘拐事件も珍しくない。

 

事件には直接関係がないけれど、作中で描かれている貴族社会も殺伐としていて暖かみが一切ない。夫婦揃って愛人を持つことが前提の冷めた政略結婚が一般的で、損得勘定と妬み嫉みが人付き合いの主目的って、あんまりな気がする。

 

クライマックスの戦闘シーンも、ずいぶん厳しかった。たった三人だけで大量殺人犯に本拠地に向かうって、無理すぎる。しかもそのうち二人は戦闘経験が一回しかない女子生徒だ。唯一の大人である先生は、生徒たちの同行を許可したものの、彼が敵の攻撃から守りきれたのは主人公だけだった。残りの生徒は自力で身を守っていて無事だったけど、いいのかそれで、と思わなくもない。

 

だけど、なによりも救いのなさを感じたのは、事件解決後に、主人公と親友になった悪役令嬢と、作中で何一ついいところのなかった馬鹿王太子との婚約が復活してしまったことだった。令嬢ご本人はサバサバと受け入れていたけれども、どう考えても愚王にしかならなそうな人物の妃になるなんて、作者さん、容赦なさすぎる。(´・ω・`)

 

 

闇の深さに見合うぐらい、もっといろいろ人物同士突っ込んだエピソードとか人間関係について読みたかったのだけど、書籍化の事情とかで、あの分量に収める必要があるのだろうか。書籍化されてKindle unlimitedで読める異世界ラノベって、そういうもったいなさを感じる作品が多い気がする。