読み終わったラノベが溜まってしまっていた。(´・ω・`)
【目次】
- 「落ちこぼれ子竜の縁談 閣下に溺愛されるのは想定外ですが!?」(くるひなた 著)
- 「竜が来たりて恋びより」(くるひなた 著)
- 「オオカミ将軍はぽちゃ姫様がお好き」(深森ゆうか 著)
- 「エルフ公爵は呪われ令嬢をイヤイヤ娶る」(江本マシメサ 著)
- 「異世界パン屋さん 騎士様に魔法のパンを食べさせるお仕事です!?」(江本マシメサ 著)
- 「公爵様の最愛なる悪役花嫁」(藍里まめ 著)
- 「伯爵家の悪妻」(江本 マシメサ 著)
- 「聖女の力で婚約者を奪われたけど、やり直すからには好きにはさせない」(星見うさぎ 著)
「落ちこぼれ子竜の縁談 閣下に溺愛されるのは想定外ですが!?」(くるひなた 著)
竜に変身できるヒロインのパティと、動物を熱愛する辺境伯のシャルロが、散々すれ違ってから、ようやく結ばれるお話だったのだけど、恋愛よりも親子問題が印象に残る作品だったような気がする。
パティは、幼い頃に犬に襲われて、翼を食いちぎられて以来、強い恐怖を感じると幼竜に変身してしまい、自分の意志では人間の姿に戻れなくなるという問題を抱えていた。
家族にはしっかり愛されて育ったものの、翼を失った出来損ないであるというコンプレックスを克服できないまま大人になったパティは、叔父の持ってきた辺境伯の弟との縁談を断りきれず、見知らぬ地に嫁いでいくことになった。
ところが、嫁ぎ先に着いてみると、辺境伯の弟にはすでに結婚予定の恋人がいることがわかり、急遽、兄のシャルロとの結婚を周囲に勧められてしまう。
自分に関心のなさそうなシャルロの態度に傷ついたヒロインは、縁談を断ろうとしたものの、滞在中にうっかり幼竜に変身してしまったところをシャルロに見つかり、猛烈に愛玩されるハメになる。
冷淡な女嫌いとして知られていたシャルロは、実は幼い子どもと小動物に目がない人物だった。目の前に現れた幼竜が自分の縁談相手と気づかないまま、大喜びで自分のペットしようとしたため、パティは恐れをなして逃走する。けれども、翼のない自分の幼竜姿に偏見を持たないシャルロにたいして、少しづつ心を開き、シャルロのほうも、パティに親しい態度を見せるようになっていく。
そのまま行けば縁談がまとまりそうだというところに、たちの悪い悪役が複数突っ込んでくるのは、まあお約束ではあるのだけど、その悪役がそろいもそろって、親のせいで人格と人生が捻じ曲がった人物だったことと、そういう背景がかなり丁寧に説明されているために、読者視点でも悪と断じにくくなっていて、作中でも行った悪に見合うような罰を与えられずに終わるため、読後にもにゃっとしたものが残ることになる。
まず、シャルロの婚約者だという美女が押しかけてきて、城に居座ってしまう。彼女はシャルロとの縁談を嫌がって使用人と駆け落ちしたのはずなのに、シャルロとの間に既成事実を作るべく、ひたすらまとわりつこうとするばかりか、親が辺境伯よりも高位の貴族であることを盾にとって城の暮らしを取り仕切り、パティを追い出しにかかってくる。いたたまれなくなったパティは、辺境伯の元を去ることになる。
この美女は実は双子で、身勝手な親に自分だけ捨てられたことを恨むなどして性格がねじまがり、おなじ顔の姉が蹴った縁談を利用して辺境伯夫人の座を勝ち取って実家を見返そう、などという野望を秘めて押しかけてきたのだった……ような気がするのだけど、この女性の出てくるシーンがかなり不愉快だったので、詳細まで記憶できなかった。
で、パティが実家に戻ってみると、巨大な竜に変身したパティの姉が怒り狂って屋敷を破壊している最中だった。かつてパティの翼を食いちぎって怪物化した犬と、その犬をけしかけた飼い主である末の王子が、パティを手に入れるために辺境伯の領地でクーデターを起こそうとしているのだという。末の王子を逃したのは、彼を散々甘やかしてスポイルした国王だったため、パティを溺愛する姉が、国を滅ぼす勢いで激怒していたのだった。
ほかにも王位継承をめぐる陰謀なども絡んで、だいぶややこしい状況だったけど、辺境伯とパティが力を合わせて全部片付けて、無事に結ばれてハッピーエンド、なのだけど……。
まず、パティから翼を奪った上にクーデター未遂までやらかした末の王子が、ほぼ処罰なし、反省もなしで終わったこと。まともに反省できるほどの精神の健全さがなかったとはいうものの、兄たちにかばわれ、譲位の決まった父国王に引き取られて、それで終わりでいいんだろうか。
姉の名をかたって辺境伯夫人になろうとした美女も、実家は爵位はく奪されるようだけれど、本人にはとくにおとがめなしだった。
悪役ではないけれど、パティの家族たちも、ちょっとどうかと思う。
お話のクライマックス直前で、翼を食いちぎられたときの記憶を姉によって封じられていたために、本来なら再生するはずの翼が、失われたままだったことが明らかになる。つらいことを思い出させるのはかわいそうだからという家族の過保護のせいで、パティが自分に自信を持てずに長年苦しんできたことを思うと、いい家族愛とは思えない。少なくとも、本人の人生を考えるなら、嫁に出す前に、きちんと克服させるべきだったのではないか。
ほかにもいろいろあるけど、結局、このお話の中でパティに襲いかかった苦難の大半は、ダメな保護者たちに原因があったような気がする。
ちなみに、シャルロの深刻な女性恐怖症も、彼の姉たちの執拗なDVを知っていながら放置していた前辺境伯夫妻が原因だった。ものすごくダメだ。
(´・ω・`)
「竜が来たりて恋びより」(くるひなた 著)
上に書いた「落ちこぼれ子竜の縁談」と同じシリーズで、お話の時系列としては、こちらのほうが先になる。
で、やっぱりダメ親のせいで騒動が起きるお話だった。
祖母と二人で洗濯屋を切り盛りするアミィという少女のところに、家事能力のやたら高いロイという青年が転がり込んでくる。
ロイは、辺境伯(シャルロの父)が酔って寝ていた間に、見知らぬ女性が「既成事実」を作り上げて産んだ子どもだった。身に覚えのない辺境伯は、赤ん坊の引き取りを要求してきた女性を追い返そうとしたものの、赤ん坊に代々の辺境伯の血筋に現れる身体的特徴と能力があったために、辺境伯の次男として引き取ることになったのだ。
辺境伯は引き取った次男には全く愛情を示さなかった。夫人のほうは我が子として愛情を持って育ててくれたものの、ベランダから落ちるという不慮の事故で、下半身不随になってしまう。成長して自分の出生の秘密を知ったロイは、夫人の事故も自分が元気ではないかと思い悩み、家族の中に居場所を失って苦しんでいた。
そんなときにアミィと出会い、成り行きで彼女の洗濯屋の仕事を手伝ううちに、お互いにかけがえのない存在になっていくのだけど、ここでも、親にスポイルされたバカ息子の妨害が炸裂する。
いくらナンパしても靡かないアミィを強引に自分の嫁にするために、あろうことか、隣家の赤ん坊ごと自分の屋敷に拉致したのだ。
しかもバカなのはバカ息子だけでなく、屋敷の執事や父親までもがグルになって、バカ息子がアミィと「既成事実」を作るのをバックアップしようとする。
ぎりぎりで助かったからよかったものの、もしも助けが間に合わなかったら、竜の祟りその他で辺境伯領は滅びていたかもしれない。
他にもダメ親は複数登場している。
辺境伯も、認知して引き取った次男を完全にネグレクトするダメ親だったけど、アミィの父親はもっと酷かった。
すでに故人であるアミィの父親は、結婚早々愛人をこしらえて仕事をしないロクデナシだったのに、辺境伯領に大洪水が起きそうになったときに、水門を開いて命を落としたために、英雄扱いされてしまう。そのせいで、アミィの家は辺境伯から多額の見舞金をもらったとのではないかと邪推され、いたたまれなくなったアミィの母親は再婚して街を出てしまったのだった。
お話自体はあたたかなハッピーエンドを迎えるのだけど、物語世界のバカ親頻度の高すぎるせいで、なんとなく不安感が残るのが残念なところではある。せめて主人公たちだけでも、まともな親になってもらいたい。
「オオカミ将軍はぽちゃ姫様がお好き」(深森ゆうか 著)
kindle読み放題(unlimited)で読んだ作品。
「肉」という文字がやたらと出てくるお話だった。kindle本なので、検索機能で「肉」を数えてみたら、71もあった。
ヒロインのお姫様が「肉々しい」という言葉で讃えられる恋愛小説を読んだのは、たぶん初めてだと思う。
ぽっちゃり体型のクレアは、夫ルドルフの愛が自分の「肉」だけに向けられているのではないかと疑っていた。
ダイエットしようとすると巧妙に妨害されるし、日々囁かれる愛の言葉も、太めのボディを愛でるものばかり。
ルドルフがオオカミに変身できる血筋であることもあって、「嫁」=「食べ応えのある肉」として執着されているのではないかと感じて、クレアはなかなか夫の愛を信じることができない。
夫婦の心がすれ違っているときに、ルドルフの妻の座を狙っていた女性が、悪獣との戦闘で負傷したルドルフを自分の屋敷に拉致して、洗脳の魔術をかけてしまう。
洗脳状態のルドルフと面会したクレアは、彼が本当に愛しているのは別の女性だという言質を取り、その場で離婚を決意。掠奪を狙っていた女性に大いに感謝されてその場を辞したあと、クレアは自分がルドルフを疑いながらも深く愛していたことに気づいて、涙にくれる。
その後ルドルフは自力で洗脳状態を脱却してクレアの元に戻り、自分がクレアの肉だけでなく全てを愛していることを実証するものの、愛の囁きは相変わらず「肉」礼賛。
楽しいお話ではあったけど、いささか「肉」に胸焼けした気がする。それと、ヒロインのクレアの素敵なところを、できればもうちょっとたくさん見たかった。ルドルフの一族には愛されているけど、彼女への世間の評価は低いままお話が終わってしまって、ちょっと残念。
「エルフ公爵は呪われ令嬢をイヤイヤ娶る」(江本マシメサ 著)
冷徹で女嫌いのエルフ公爵ハイドランジアが、 言い寄ってくる女性を避けるために会ったこともない令嬢のヴィオレットと強引に結婚したものの、ヴィオレットに厄介な呪いがかかっていたことから、お互いの前世の因縁に絡んだ命がけの騒動に巻き込まれていく…というお話だった。
お話の中盤まで、人情に疎いエルフ公爵の性格が好きになれず、あまり魅力的に思えなかったけれども、ヴィオレットへの愛情が深まってからは、だいぶ情けないお兄さんになってきて、面白かった。
「異世界パン屋さん 騎士様に魔法のパンを食べさせるお仕事です!?」(江本マシメサ 著)
上の「エルフ公爵」のお話と同じ著者の作品。
主人公のユッテは、辺境の町のパン屋の娘だったけど、魔力があるために、王都の魔法薬工房にスカウトされ、就職することになる。ところが、そこで待っていたのは超ブラックな職場環境と、同僚からのイジメだった。
薬をうまく作れなかったユッテは、早々に工房をクビになってしまったものの、魔法薬の効果を持つパンを焼いて売り始めたことから、運命が開けてくる。
ユッテの前世の初恋の記憶につながる人物との出会いとか、思いを寄せる王子の不幸な出生の秘密など、切ない要素がたくさんあるお話だけども、途中でユッテが召喚した、不動明王そっくりの花の妖精の圧が凄まじすぎて、いろいろ吹き飛んでいったような気がする。
そういえば、「エルフ公爵」のお話にも、やたらゴツい妖精が出てきて、ロマンティックな展開をすっかり台無しにしていた。不動明王系妖精、なんだか気に入ってしまった。
「公爵様の最愛なる悪役花嫁」(藍里まめ 著)
領主の圧政に苦しむ町を救うために、視察に訪れた公爵に直訴する孤児クレアと、クレアの出自を利用して政敵を陥れようともくろむ公爵とが、協力してろくでもない謀略に励むうちに、お互いを愛するようになるお話。
主人公たちが結ばれて幸せになったのはよかったけれども、王家を含む貴族たちの人間性がひどすぎて、何一ついいところがなかったので、とっとと革命でも起きて社会の仕組みが変わったらいいのにと思いながら読了した。
「伯爵家の悪妻」(江本 マシメサ 著)
「小説家になろう」サイトで読んだ作品。書籍化もされているようだ。
悪妻というよりも、能力が高すぎて規格外な行動に走りがちな妻ヘルミーナと、あらゆる面で完璧すぎて底の知れない夫エーリヒのお話だった。
面白かったのだけど、最後まで気になったのは、エーリヒが教育係をしていた王子の隠し子を、ヘルミーナの姉の子どもと偽って養子にした経緯。産みの母親であり王子の思い人でもある女性は、一人孤独に修道院に入ってしまい、王子も実子の存在を知らないまま。ちょっとすっきりしなかった。
「聖女の力で婚約者を奪われたけど、やり直すからには好きにはさせない」(星見うさぎ 著)
https://ncode.syosetu.com/n5168gm/
「小説家になろう」で読んだ作品。
これから読まれる方のご迷惑にならないように、ネタバレを避けて感想を書いてみる。
いわゆる悪役令嬢もので、邪悪なヒロインの謀略で婚約者を奪われるという定番の展開なのだけど、物語の最後のほうで、「うあああコイツが真の悪役だっだったのか」と、だいぶ驚かされた。
後から思えば、確かにいろんなところに伏線はあったけれども、何しろ単細胞な読者なので、二重三重に隠ぺいされていた悪意に全く気づかず、主役の人々と一緒に騙され続けた。
サイコパス系の悪意の質感が、ハッピーエンドでは中和しきれずに読後まで残ってしまって、正直あまり気持ちのいいお話ではなかった。
でも、忘れられない作品になりそうな気がする。