湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

「小説家なろう」で読んだ作品の感想メモ

今月は大量に読んでいるのに、感想メモを書けていない。

 

後でまとめて書こうと思って後回しにするのが良くない。読んだ直後は感想が頭のなかにたくさんあるのに、時間が経ってしまうと、それがどんどん薄れてしまって書くのが億劫になるのだ。

 

今度から、一作品読むごとに書こうと思う。

という決意をこれまで何度もやったような気もするけど、気にしないことにする。


「婚約破棄され続けたループ令嬢は、今世は諦めることにした。」(作者:かのん)

 

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n8105ge/

 

書籍化もされている作品。

 

お話の冒頭に、この作品のテーマがはっきりと書いてある。

 

現実と空想の間、そこに一つのバグ。バグから生まれた世界は現実となり得るのか。

 

それはおそらく、人の思い次第。

 

ゲームの世界に転生する異世界恋愛ものは多いけれども、この作品の登場人物たちは全員が、開発中のゲームの中のキャラクターたちであるらしい。本来、ただのプログラムであるはずなのに、彼らにはなぜか感情があり、独立した意志もある。

 

ちょっとワクワクする設定だ。

 

ヒロインと王子が恋に落ちる。

悪役令嬢が二人の仲を妨害しても、恋する二人はそれを跳ね除けて、結ばれる…

 

そんな定番ストーリーのはずなのに、なぜか悪役令嬢が自由意志を発揮して悪役を全うしないために、物語が完結しない。

 

発売日が迫っているのに、どうしてもバグを修正できないことに焦った開発者たちは、純粋無垢なヒロインに、現実世界の知識や事情に加えてらバグを滅するための武器まで持たせてしまう…

 

公爵令嬢のルミナは、王太子のステファンに婚約破棄される人生を、何十回も繰り返している。

 

ルミナがどんなに努力しても、ステファンの愛は腹違いの妹のソフィーに向かう。そして婚約破棄が為された次の瞬間、ルミナは王太子と初めて出会う日に連れ戻され、再び婚約者となってしまう。

 

まさか自分がゲームのキャラなどとは思わないルミナは、繰り返される人生の虚しさに耐えきれなくなり、婚約破棄を回避するための努力を全て放棄することにした。

 

その結果、婚約破棄どころか、王太子との婚約すら規定通りに進まず、ルミナの腹違いの妹ソフィーと王太子との関係も予定通りに進展しない。

 

ゲームのヒロインでもあるソフィーは、開発チームによって現実世界の事情と、バグ修正機能を搭載されていたため、バグである姉を放置していては、ゲーム発売が中止になり、世界が消滅してしまうと思い詰め、とんでもない行動に出てしまう……

 

物語を書いたことのある人は、自分が作ったはずのキャラが、いつのまにか勝手に動いて話を進めているように感じたり、こちらが動いて欲しいように動いてくれないように感じるというのを、多かれ少なかれ経験するのじゃないかと思う。

 

考えてみれば、創作物のなかのキャラクターたちは、心ある存在として物語世界の中に生み出されているのだから、その世界のなかで思い通りに動くのは、当たり前だと言える。キャラクターの精神力が作者の予想を超えた強さを持ってしまえば、作者があらかじめ予定したプロットから、勝手に外れることだってあるかもしれない。

 

そして、たぶんそういう作品のほうが、面白いのだろうと思う。

 

今気づいたのだけど、この作品、現在、電子書籍版がKindle Unlimited(読み放題)で利用できるようだ。「なろう」版と読み比べてみようと思う。

 

 

 


「脇役令嬢の失恋」(作者:夕燼)

 

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n2993be/

 

ハッピーエンドではあるものの、切ないお話だった。

 

「主役」は異世界転移してきた勇者の少女で、「脇役」は勇者に婚約者を譲って身を引くことになってしまった令嬢。

 

勇者の少女は、世界を救うために共に旅した公爵が、自分の婚約者の令嬢を心から愛していることを知りながら、異世界で孤独に生きるのがつらすぎて、公爵との結婚を望んでしまう。

 

公爵は、強制的に異世界に召喚されたことで人生を狂わされた勇者の少女に責任を感じていたけれども、共に過ごす時間が長くなるにつれて、勇者の少女をかけがえのない存在と思うようになり、婚約者を捨てて共に生きることを選んだのだった。

 

最愛の婚約者を奪われた令嬢は、深い心の傷を押し隠して辺境伯に嫁ぐ。辺境伯はそんな妻の気持ちを察していたわり、心の傷が癒えるまで待つつもりで、大切に慈しんでいる。二人は少しづつ心を寄せあい、信頼関係を築いていった。

 

二組の夫婦の問題は、放っておいても時間が解決してくれるはずだった。

 

けれども勇者の少女が、時間を巻き戻した上で、元の世界に帰る方法を手に入れてしまったために、彼らは改めて生きる道を選択することになる。

 

「主役」の勇者の少女は、辺境伯に嫁いだ「脇役令嬢」に、最終的な選択の権利を委ねる。

 

時間を巻き戻して、最愛の公爵と結ばれる人生を選ぶのか。暖かく愛してくれる辺境伯との生活を選ぶのか…

 

「脇役令嬢」の選んだのは、四人の誰もが痛みを抱えながらも幸せになる道だった。

 

登場人物の誰もが悪ではないし、不実でもない。だから切ない。

 

どうしても「ざまあ」要素が欲しいわけでもないけど、そもそも自己都合で異世界から勇者を召喚するだけして帰還させることができないシステムが駄目なので、そんなシステムを運用している誰かをもっと叩いて置いてほしかった気がする。