ブログの下書きに感想をコツコツと書きためていると、どの作品の感想を書いたか忘れてしまって重複書きするという弊害があることが発覚した。
そのうちきっと、同じ作品の感想をあたかも初めて書いたかのように記すというのを絶対やらかす気がするけど……誰かに迷惑かけるわけでもないし、やらかしてもあまり気にしないことにする。
(´・ω・`)
「離縁された悪妻王妃は皇帝陛下に溺愛される 異国の地でエロラブ蜜月(ハネムーン)開始します♡」(華藤りえ 著 なま 絵)
kindle unlimited(読み放題)のおススメに出ていた作品。
タイトルだけ見ると、いささか(頭の)軽そうなヒロインが出てきそうな印象だけど、主人公のマリアは「えろらぶ蜜月開始します♡」なんて言いそうもない、知性と気品のある純情な女性だった。
読み放題のカタログではタイトルの後半が見えなかったのだけど、見えていたら、たぶんダウンロードしなかった。(´・ω・`)
マリアは5歳のときに、旅先の隣国で道に落ちていた指輪を拾ったために、瀕死の幼い王子の「冥婚」の相手として強制的に拉致されてしまう。
隣国では、王族が未婚のまま亡くなると国に災いをもたらすと信じられていたため、そういうやり方で強引に結婚させてから看取るというトンデモな伝統があり、マリアはその犠牲になったのだ。
ところが、ほとんど死にかけていたはずの王子が生き延びてしまう。
マリアが他国の貴族の令嬢だったため、外交問題に発展することを恐れた王家は事態を隠蔽することに決め、マリアの素性を隠して離宮に幽閉。その後、国王が亡くなるなどゴタゴタしたためか、マリアの存在はほとんど忘れ去られてしまう。だいぶメチャクチャな話だけど、ここの国はもとからそういう体質だったらしい。
さて、幽閉の身でありながら、豊かな教養と気品を身につけたマリアは、国王になってから妃の存在に気づいた夫に離婚を求められたため、自分に有利な条件を引き出せるように交渉した上で、離宮を離れて旅に出ることに成功する。
けれども隣国に到着した途端にトラブルに遭遇。困り果てていたところを、いかにも高貴そうな男性に保護され、その男性の願いによって、偽装結婚の相手を務めることになり……
あとは、概ねタイトル通りの展開となる。
ただ、幼少期の過酷な経験のせいで、本当の願いを叶えようとすれば周囲も自分も不幸になると思い込んでいるマリアは、「皇帝陛下」が溺愛すればするほど、「皇帝陛下」のために思い切りよく身を引こうとするので、結構ハラハラさせられた。
そして蜜猫文庫のお約束なのかどうかは分からないけど、閨のシーンがものすごく長かった……。
ルネッサンス期あたりのヨーロッパっぽい架空の世界のお話で、魔法などのファンタジー要素は出てこない。
ヒストリカルロマンス風というジャンルになるのだろうか。
お話の要である「冥婚」について、私は知らなかったけれども、伝承としては世界各地に存在するものだという。また現実の習俗としては、東南アジアから日本にかけて、広く行われていたのだとか。
そういう知識がなかった私は、「冥婚」という単語を見て、アーヴィングの「ガープの世界」という小説を思い出した、
主人公のガープの母親が、従軍看護師時代に、戦死が予想される「冥土組」の兵士と性交してガープを身ごもったというエピソードがあるのだ。
「ガープの世界」って猛烈に長い小説だったけど、思えば最初から最後まで、生半可なホラーよりも凄まじいエピソードばかりだった気がする。特にラストは、登場人物全員(一人を除く)の死因が丁寧に列挙してあったのには、あっけに取られるのを通り越して、物語のキャラたちへの作者の並々ならぬ愛情すら感じたものだ。死因を明らかにされなかった人物(ガープの妻の不倫相手であり、ガープの妻に局部を食いちぎられた男性)は、たぶん作者に嫌われていたのだと思う。
上の子どもたちが幼児だったころに、映画TSUTAYAでレンタルして、見た記憶がある。
Amazonプライム・ビデオで見られるようだけど、内容を思い出すだけで寒々とした気持ちになるので、もう一度見る勇気はない。とくに不倫中の妻の乗った車にガープの運転する車が激突するシーンは酷かった。間男は男性器を失い、ガープ夫妻は幼い息子を失うのだ。
なんか脱線した。
次に行こう。
「悪役令嬢の華麗なる王宮物語 ヤられる前にヤるのが仁義です」(藍里まめ 著)
以前読みかけて、序盤で繰り広げられる主人公の底意地の悪さに疲れてしまって、挫折した作品だった。
今回は最後まで読めたけど、パワハラと度を越した仕返しの応酬が続く序盤は、やっぱり読むのがしんどかった。
パワハラ要員は王妃と王女、侍女である主人公は仕返しする側なのだけど、双方とも性格がねじ曲がりすぎていて、うんざりしてしまうのだ。
序盤を乗り越えると、主人公の内面が掘り下げて語られて、守りたいもののために過剰に攻撃的になっていることが見えてくるのだけど、今度は彼女をそこまで非道な性格にした生い立ちの状況に腹が立ってしまうことになる。他の貴族との根深い遺恨がらみで、主人公が誘拐され、助けに行った母親が毒で下半身不随になるという、悲惨な事件があったのだ。
もちろん最後には諸々の悪がきちんと滅びて、主人公は愛する人たちを守り切って幸せになるのだけど、ここの国は王家の内情はズタボロだし貴族もとんでもなく腐敗していて、いろいろ見直さないと滅びそうな勢いなので、主人公はその後も苦労するのだろうなと思った。
「かの侯爵令嬢に転生したので今度は絶対に生き残ります!」(十帖 著)
以前、「小説家になろう」で読んだことがあって、気に入っていた作品。
kindle読み放題リストで見つけたので、楽しく再読した。
主人公は、かつて日本で通り魔に惨殺された記憶を持つ、異世界の侯爵令嬢。前世の死に際がトラウマになっているため、今生ではとにかく安全に長生きすることだけを目標に、あらゆる護身スキルを磨きながら暮らしていた。
ところが、父親である侯爵に、国王の夜伽という名目の見合いをしてこいと命じられたのをキッカケに、血で血を洗う命がけの生活に放り込まれることになってしまい……
異世界恋愛ラノベだけれど、親に愛されなかったために自分の命を大切にできない子どもや、子どもを愛するあまり殺そうとする歪んだ親の心など、恋愛の成就だけでは片づかない闇が、だいぶ盛り込まれたお話だった。
「モブに転生したら、断罪後の悪役令嬢の身代わりにされました」(風間くのえ著)
主人公は、大魔法使いの弟子であり、日本人だった前世の記憶のある平民の少女。
性格最悪な令嬢の身代わりとなって、破談になった婚約者と復縁するという、無茶振りにもほどがあるミッションを師匠に課せられる。
詰め込み式で礼儀作法を叩き込まれ、魔法で令嬢そっくりの姿に変えられて学園の寮に送りこまれたものの、悪役令嬢としての評判のせいで、生徒たちには蛇蝎のように嫌われるし、元婚約者には近寄ることもできない。
ところが、ひたむきに努力するうちに、復縁目標の令息だけでなく、若干腹黒な王太子を始めとした貴公子たちに密かに慕われるようになってしまい……
主人公の切ない状況が続くけれども、ラストは安定のハッピーエンド。楽しく読めた。