湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ラノベ乱読メモ(筋肉、脳筋、恐怖症、そしてまた脳筋)

 

読んだら必ず感想を書く、などと誓ったのは、いつのことだったか。(遠い目)

 

今年に入ってから、kindleで読んだ本は、今日の時点で24冊。

 

このペースなら、「(ラノベや漫画を入れて)年間300冊を絶対超えない」という自重ルールは守れそうだけど、感想は書ききれそうにない。

 

 

f:id:puyomari1029:20210209175502j:image

 

そもそも、kindle本以外に、「小説家になろう」で公開されている作品や紙の書籍も山ほど読んでいるのだから、あんまり自重になっていない気もする。

 

やっぱり、感想頑張ろう。

一冊読んだら、せめてメモ程度の記録は残す。

 

読みすぎ、ダメ、絶対。

網膜剥離防止的な意味で)

 

 

「筋肉系騎士団長は聡明な王宮侍女との恋を静かに大切に育みます」(蒼山蛍 著)

 

kindle unlimited(読み放題)で読んだ作品。

初めて読む作者さんだったと思う。

表紙の絵が好みだったので、読んでみた。

 

ファンタジー要素は見当たらなくて、架空の西洋風王国の時代劇という感じだった。

 

タイトルそのままのお話なのかなと思ったら、そうでもなかった。

 

まずヒロインの王宮侍女に、「聡明」という言葉がいまいちしっくりこない。

 

お話の冒頭で王宮内で迷子になり、焦って階段で蹴つまずき、しがみついたカーテンにぶら下がっていたところを、たまたま通りかかった騎士団長に救われるのだ。

 

その後、有能な侍女として上司に認められるようになるのだけど、恋に夢中になって仕事で大ポカしたり、上司のいない時に恋人との逢瀬を繰り返しているエピソードの方が印象が強いので、聡明というよりは、「情熱的なドジっ子」のほうが、ぴったりくる。

 

そして騎士団長は、決して「静かに愛を育む」タイプではなかった。恋人が職場でいじめられているのを目撃すれば、憚ることなく首謀者をその場で罵るし、恋人への嫌がらせ行為などが発覚すれば、犯人探しのために周囲を恫喝して恐怖に陥れる。だいぶ騒々しい人だった。

 

「筋肉系」ではあるけど、決して「脳筋」ではない騎士団長は、殉職した部下たちの数だけ腕に蔦の葉の刺青を入れて、密かな自分の戒めとしている。

 

そういう、武骨な見た目に隠されたナイーブさが、侍女を陥落させるわけだけど、その蔦のなかに、恋人である侍女を表す赤い花を彫りこむエピソードは、ちょっとどうかと思った。絵柄的には素敵だけど、なんだか遺影の間に彼女の写真を飾るみたいなので、別の腕に彫っても良かったような気がしなくもない。

 

デリケートなのに、ちょっとだけデリカシーのないところがあるのが、「筋肉系」の味わいなんだろうか。

 

そんな二人の恋愛に横槍を入れる悪役令嬢が登場するけれども、王家遠縁を振りかざしていたわりには、ものすごくあっさり撃退されて退場する。

 

たぶん、縁故入社の御局様のパワハラや、婚活目的で腰掛け就職の同僚による仲間はずれに苦しんでいる人にとっては、とてもスカッとして心あたたまるお話なのだと思う。

 

日頃「異世界悪役令嬢もの」を好んで読んでいる私としては、もうちょっとこう、主人公と悪役令嬢の絡みを見たかったけど、たぶんメインの読者の方々とはニーズが違うのだろう。

 

 

 

「大預言者は前世から逃げる   三周目は公爵令嬢に転生したから、バラ色ライフを送りたい」(寿利真 著)

 

 

「ピッコマ」で公開されているコミック版が面白くて引き込まれたので、「小説家になろう」で公開されてている原作を読み始めた。

 

なぜか記憶を保持したまま転生し続ける、ガチの体育会系女子が主人公。

 

1回目は、脳筋気味の格闘家一家の娘として生まれたけれども、ランニング中に雷に当たって死亡。

 

2回目は、異世界ストリートチルドレンから成り上がり、文武両道の大預言者兼教育者として大活躍したけれど、馬車に轢かれて死亡。

 

3回目は、自分を馬車で轢き殺した貴族女性の娘として生まれたけれども、預言者だった前世の記憶と能力を取り戻すと同時に、この先ろくな死に方をしないことが分かってしまい……

 

豪胆な性格の主人公と、徹底した脳筋国家の王族や貴族たちが、面白いエピソードを次々と打ち上げながら物語をぐいぐい牽引していくので、勢いに乗せられて読み進めていたら、思いがけず奥行きの深い物語だった。

 

物語がかなり進んでから、主人公の転生が、異世界からの侵略者に対抗して世界の滅亡を防ぐために、はるか昔から意図的に行われているものであることが分かってくる。

 

転生を繰り返す運命を受け入れた主人公の深い孤独が、彼女を慕う多くの人々の熱い思いで埋められていく。

 

続きが出るのが待ち遠しい。

 

 

 

「記憶喪失の侯爵様に離縁されそうです」(ちろりん 著)

 

 

kindle読み放題(unlimited)で読んだ作品。

なんというか、読後にものすごく気まずいものが残る、三角関係のお話だった。

 

度し難い女性恐怖症を克服して結婚したのに、階段から落ちて頭を打ったせいで、最愛の妻の存在と女性恐怖症を克服した経緯をまとめて忘れてしまってパニック状態の、美貌の侯爵。

 

愛する夫が妻(女性)である自分に怯えて苦しむ姿に耐えられず、離婚を決行しようとする、地味でけなげな侯爵夫人。

 

そして、侯爵への秘めたる恋情と独占欲を押さえきれず、侯爵夫人を脅迫して離婚に追い込もうとする画策する、キモい王太子

 

侯爵は、ハゲタカの如く妻の座を狙う令嬢たちに捕まって監禁され、性的暴行(未遂)を受けて以来、若い女性を見ただけで深刻なパニック発作を起こすようになってしまったのだという。

 

侯爵に邪な思いを寄せる王太子は、ハゲタカ令嬢たちを全員捕らえて断罪したあと、社交の場ではつねに侯爵に寄り添い、執拗に群がる肉食令嬢たちを退けていた。

 

裏を返せば、王太子はトラウマを抱えた侯爵を自分に依存させて縛り付けていたわけで、肉食令嬢たちと中身はそんなに違わないのだけど、もともと裏表のない性格である上にトラウマでいっぱいいっぱいの侯爵が、王太子の邪心を感知できるはずもなかった。

 

一方、事件当時まだ幼かった侯爵夫人は、破廉恥な令嬢たちに脅されて、侯爵をおびき出す手引きをさせられたのだけど、ほのかな恋心を寄せていた侯爵が襲われるのを黙認できず、近場の大人たちに助けを求めた。そのおかげで、ギリギリのところで暴行は未遂に終わったのだけど、侯爵夫人は手引きしたことを深く後悔し、罪悪感に苦しんでいた。

 

国王の命令で侯爵との政略結婚が決まってからは、決して愛されない妻になる覚悟をして、侯爵のトラウマ克服のために人生を捧げることを決意。

 

お互いの努力が実り、侯爵が妻限定でパニックを起こさなくなってからは、いささか不自然な夫婦関係ではあるものの、支えあって暮らせるようにもなった。

 

そんな成り行きに王太子が我慢できるはずもなく、執拗に破局の機会を狙い、やがて侯爵夫人が暴行事件の手引きをした子どもだった可能性にたどり着く。

 

確証がつかめなかった王太子は、侯爵の留守を狙って屋敷に押しかけて、侯爵夫人に脅し半分のカマをかけて、自供させることに成功。もともと強罪悪感に囚われていた侯爵夫人は、王太子の言いなりに離婚に同意。

 

ところが、その直後に記憶喪失になった侯爵は、なぜか離婚に応じようとせず、家を出ようとする夫人を軟禁してしまう。

 

侯爵夫妻がなかなか離婚しないことに業を煮やした王太子は、またしても侯爵邸に押しかけて夫人を脅し、強引に修道院に送り込もうとするのだけど、とっくに記憶が戻っていた侯爵に阻止される。

 

侯爵は、手引きした子どもが夫人であることに最初から気づいていたけれど、彼女が自分を救ってくれたことも分かっていたので、罪に問われることがないように、黙っていたのだった。

 

侯爵夫妻がお互いの深い愛情を確かめ合う様子を見ても、王太子は全く諦める気にはならなかったようで、夫人を糾弾して離婚に持ち込もうと散々ごねまくった挙句、改めて侯爵夫人に宣戦布告を耳打ちしち帰っていく。

 

侯爵夫人も、厳しい憎悪と監視の目を向ける王太子の存在こそが、自分を律するために必要だと深く認識し、夫を誠実に愛することを誓う。

 

めでたしめでたし……なのか?

 

 

王太子のその後の動向や内面の思いについて、全く触れられないままお話が終わってしまったので、落ち着かないことこの上ない。

 

侯爵夫人、王太子に暗殺されたりしないだろうか。

 

そこまでいかなくても、この王太子、侯爵を自分の懐に取り戻すために、死ぬまで日常的に邪魔しにきそうな気がしてならない。

 

いやだなあ、そんな結婚生活。

 

(´・ω・`)

 

 

「私が聖女?いいえ、悪役令嬢です! 生存ルート目指したらなぜか聖女になってしまいそうな件」(藍上イオタ 著)

 

悪役令嬢転生もの。

小説家になろう」で読んだけれど、書籍化もされているようだ。

 

乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったオタクなOLが、不幸な未来を回避するために、前世の知識をかき集めて必死で努力した結果、多くの国民から慕われて、ゲームでは自分を捨てた王子と結ばれて幸せになる…という、このジャンルでの王道なストーリーだった。

テンポよく楽しく読めた。

 

お話の土台となった乙女ゲームのシナリオが、病んだ愛情を主軸としていたためか、「攻略対象」だった青年たちの性格が、エゴイスティックで押し付けがましかったので、序盤はどうにも好感が持てなかったのだけど、ポジィティブで脳筋気味な主人公の影響で、みんな次第に健全化していったので、ラストはとても爽やかだった。

 

主人公は、精霊の力を借りて天然痘のワクチンを開発することで、自分の破滅を回避するだけでなく、結果的に多くの人々を救うことになる。

 

異世界転生ラノベでは、そういう疫病克服のエピソードをときどき見かける。どの作品も、取り入れ方をいろいろ工夫していて面白い。

 

天然痘のワクチンが出てきたラノベは、前に1つ読んだ記憶があるけれど、そちらは魔法を使わずに、オーソドックスな医学研究で結果を出していた。新型コロナ的な感染症とその後遺症を描いたラノベも、いつか書かれないかなと、心待ちにしている。

 

それにしても、この物語の作中で語られる乙女ゲームは酷かった。

 

ハッピーエンドが、「国家滅亡を見届けてから心中」とか、「生涯、塔に監禁して愛人に据え置き」とか……ヒロインが気の毒すぎる。

 

悪役令嬢の末路はもっと酷くて、良くて惨殺か爆殺、悪ければ生命エネルギーを搾り取って使い捨てる家畜扱いという、人権のカケラもない人生を約束されている。

 

乙女ゲームをプレイした経験がほとんどないのだけど、こんなシナリオのゲームが無料アプリであったとしても、私なら絶対やらないと思う。そんなゲームに前世でドハマりしていたという主人公、だいぶ闇が深かったのかもしれない。

 

主人公の頑張りの結果、そういう未来は回避されるのだけど、立場の弱い相手を物のように扱うという、物語世界のハラスメント傾向を全面的に改変するには至らないので、読後感にちょっと毒が残った。