こんばんは。
子どもの頃から、主人公が嘘をついたり、人を騙したりするドラマや映画に強いアレルギーがあって、見るのが苦しい。
そのせいで、「片桐はいり4倍速」という映画をAmazonビデオで見始めたのに、途中で挫折した。
ちょっとシュールな短編がいくつか入っている映画で、最初の二つまではよかった。
なにしろ、高校受験を控えた男の子と板尾創路が、街を出歩くたびに、見ず知らずの片桐はいり(が演じる女性)とすれ違って、視線を持っていかれるという、ただそれだけのお話だったから。
3つ目が、ダメだった。
片桐はいり(が演じる女性)が、自前の顔の説得力を利用して、スピリチュアル系のペテンで荒稼ぎしようという話だったのだ。
好きな女優さんの作品だし、頑張って最後まで見ようと努力はした。
でも、片桐はいり(が演じる女性)が、カモを騙すために自分の部屋をいかにもスピ系の怪しい感じに飾り立ててたあたりで猛烈に苦しくなってしまい、実際に霊能相談を始めてからは、5秒見て10秒休むペースで乗り切ろうとしたけど、無理だった。
この苦しさ、恐怖感は、私が倫理的な人間だから感じるのではないと思う。
たぶん、自分ではないもののフリをした人が、バレて破滅する瞬間を見たくないのだ。
その「見たくなさ」は、崖から墜落死する人のビフォアアフターを見たくない気持ちに近い。
とはいえ「片桐はいり4倍速」の片桐はいり(が演じる女性)が、ペテンがバレて破滅するかどうかは、未確認だからわからない。もしかしたら、バレることなく、霊能相談を受けに来た客たちを、救い続けてしまうかもしれない。それほど彼女の顔の説得力と圧力は、強大だった。
あの片桐はいりみたいな人が、相手の悩みに親身に耳を傾けて、その苦しみに完全に共鳴したかのように感情をあらわにしつつ、霊だのオーラだのを大袈裟なアクションで修理(?)する様子を見せられたなら、霊だのなんだのを全然信じていない人でも、なんだか元気になってしまいそうだから。
もしもそうなら、それはもはや純粋なペテンではなくて、パフォーマンスとか、演劇とか、そっち寄りの何かということに……ならないか。やっぱりペテンはペテンか。
勇気が溜まったら、最後まで見てみよう。
いつになるかわからないけど。