Amazon プライム・ビデオで、西野麻衣子氏というバレリーナのドキュメンタリー映画を見た。
「Maiko ふたたびの白鳥」
予備知識ゼロで見始めたのだけど、すぐに引き込まれた。
十五歳で英国ロイヤルバレエスクールに留学するにあたり、麻衣子氏のご両親は家と車を売り払って費用を作ったという。
ホームシックに苦しみながらも才能を伸ばし、十九歳でノルウェー国立バレエ団に入団。
二十五歳でプリンシパルになって以来、第一線で踊り続けてキャリアを積んでいたけれど、三十代で予期せぬ妊娠。
産休でキャリアを中断することは大きな痛手なのだろうけど、麻衣子氏は出産を決意。深い信頼関係にある夫と、幼いころから尊敬する実家の母の存在が、彼女の選択を支えたのだろう。
自分の代役として他のバレエ団から呼ばれた可憐なバレリーナの舞台を、少し複雑な表情で見守りつつも、麻衣子氏は、医師と相談しながら妊娠中もトレーニングを続ける。
そして、無事に出産。
産後は夫の協力のもと、産休中に衰えた肉体を徹底的に鍛え直して、見事にプリンシパルへと返り咲く。
(_ _).。o○
バレリーナの生活の過酷さは、いろいろな作品を通して、それなりに知っていたつもりだったけれど、作中の描写は、私の想像をはるかに超えるものだった。
ボルタレンなどの抗炎症薬や痛み止め、精神安定剤などを、お菓子や湯水のように服用しながら、些細なミスも許されない舞台に立って踊る彼女ら、彼らの風貌は、まるで死線に赴く戦士のようだ。
演技の後、痛みに呻きながらトウシューズを足から剥がす麻衣子氏は、私には歴戦の勇者にも見えた。
大柄できつい顔立ちの麻衣子氏の容姿は、どちらかというと、可憐なヒロインというよりは、戦闘スキルをカンストした悪役令嬢、もしくはラスボス向きだと思う。
それだけに、彼女の演じる黒鳥のオディールは迫力も余裕も満点で格好良く、白鳥モードのオデットも、王子などいなくても、自力でロッドバルドを討伐できそうな気迫を秘めていた。
そんなハンサムウーマンの麻衣子氏が、産休のあと、最強のハンサムママとなって舞台に戻る過程は、「白鳥の湖」以上にドラマチックで素敵だった。
ドキュメンタリーだからというのもあるのだろうけど、作中、嫌な人間が一人も出てこない。
他の団員やスタッフとも、強い信頼関係ができていて、尊敬しあっているようだったし、何よりも、先々までスケジュールがみっちり入っているプリンシパルの産休という、バレエ団にとっては一大事に際して、ネガティブな反応を見せる人がいないのがすごかった。
産休明けの復帰の舞台が、難易度の高い「白鳥の湖」に決まったため、生まれて間もない息子と過ごす時間がほとんど無くなってしまうことを、母親である麻衣子氏の心情を思い遣って心配するスタッフもいた。
常に競い合うことを求められる職場なのだから、人間関係は綺麗事だけではすまないだろうし、他の団員やスタッフにも、表には出せない様々な思惑だってあるのかもしれない。
けれども、麻衣子氏が復帰後の舞台を見事に踊りきったあとの団員やスタッフたちの喜びと称賛は、共に奇跡の舞台を作り上げたことに対する真実の感動だと思えた。
(_ _).。o○
作中の会話はほぼ英語。 ノルウェーのバレエ団だけれど、レッスンは英語メインで行われているようで、麻衣子氏と夫の会話も英語だった。
Duolingo を毎日続けている成果は…あまりなかった。(´・ω・`)
ただ、ここのところ頻繁に聞き取りレッスンに出てくる「I'm scared」だけは、しっかり聞き取れた。
もっと頑張ろう。
字幕なしで英語の映画を鑑賞できるようになるのが、一応の目標だから。
