自閉症児や難病児を育てていると、実に多くの、無神経なお言葉に遭遇する。
「育て方のせいだろう」
障害児や難病の子供のことなんかさっぱり知らないような人に限って、訳知り顔にこういうことを言いたがる。
「腎臓病とかってぇ、母親のを臓器移植すれば治るんでしょ。どーしてやらないの?」
移植したって治らない腎臓病もあるんだと、いくら説明しても、こういう方は人は絶対に信じない。
「でも知り合いの友達の親戚でー、移植で治ったっていう人いるんだよー」
とか言われる。私が小児腎臓専門医の主治医から聞いた話よりも、知り合いの友達の親戚の話のほうが「確か」だと思ってる。
それにしても、どうして「母親の」なのか。あんたの腎臓でもいいんだよ。そんなに言うんなら、自前のを片方寄越せ、といっぺん言ってみたらよかった。
「大人になると、ものすごく迷惑なんだよな」
これは、まだ幼児だった息子を見ながら言われた言葉。
でも、しゃべってる途中で、私の形相が変わったのに気づいたらしくて、
「あ、でも治るんだろ、自閉症って」
などと、フォローしようとしていた。
近頃は、何言われても、感情が波立つようなことは全くない。
タフになったもんだ。
(2005年04月29日)