こんにちは。
雪の降った翌日には、車に冷房が必要になるという、冗談みたいな寒暖の差にげんなりする、今日この頃。(´・ω・`)
「ルイ・セローが見た自閉症 誰も知らない究極の愛」というドキュメンタリー番組を見た。
(Amazonプライム・ビデオ)
BBCが制作した作品らしいのだけど、ルイ・セロー(Louis Sebastian Theroux)という人物についての予備知識なしに見始めたので、冒頭から登場する彼が、自閉症スペクトラムの当事者なのかと思い込んで、途中までそういう認識で(つまり自閉症者が自閉症児と面会する番組として)見ていた。
だって、ルイ・セロー氏、なんだか振る舞いが不思議なのだ。
自閉症の少年と面会して、矢継ぎ早に、
「健常者になりたい?」
「自閉症でいたい?」
「自閉症はどんな症状がある? 他の人とどう違う?」
と詰問するような口調で聞いている。
しかも鉄仮面のような無表情。
少年が明らかに不快そうにしているのに、気遣う様子もない。
よく言えば「歯に衣を着せない」という意味合いでの誠実な語りかけだけど、一歩間違えれば、相手を傷つけ怒りを買うたぐいの喋り方だ。
少年の母親に「質問が多すぎて、混乱する」とたしなめられて、初めて、
「迷惑だと表明してくれてうれしい。でも同時に僕のことが退屈なのかと心配になる」
と、相手への配慮を口にするものの、少年にはっきりと、「退屈だ」と言われている。
私なら「帰れ」と言いたいところだ。
「健常者になりたい?」と聞かれた少年は、
「僕は一生自閉症だ。選べることじゃない」
と答える。自分の障害を理解している自閉症者なら、そう答えるしかないだろうに、何のために、それをカメラの前で言わせたのか。
冒頭の謎の詰問(インタビュー?)シーンのあと、ルイ・セロー氏の取材対象が、アメリカの自閉症児のための専門学校の児童生徒であると語られる。
学校には、21歳までの自閉症者(児)が通学していて、ソーシャルスキルを中心とした手厚い指導を受けているようで、そこはとても興味深かった。
日本の特別支援学校は、高等部三年、通常は18歳の時点で修了となる。息子のような重度の知的障害のある子には、そこからまた別の学校に進学するという選択肢は、事実上、存在しない。
息子がまだ学校に通っていたころ、障害児教育関連の行政の仕事をしておられる方の講演会で、講師の方が、知的障害のある子どもたちにこそ、高校卒業後の進学先があってほしいし、本当はあるべきだと語っておられたのを覚えている。
聞いた当時は、息子の通学の送迎(車で片道50分)や、さまざまな学校行事への参加などの負担の多さに、だいぶ疲れていたころだったこともあり、さすがに大学は勘弁してほしいという気持ちだった。
でも、学校を離れてみて、まだまだ伸びしろをたくさん残している息子の様子を見るにつけ、あと四年、手厚い理解のある学び舎に通う日々があったなら、ずいぶん違っていたかもしれないとも思うのである。
番組を見終わってから、ルイ・セロー氏のプロフィールをググって調べたところ、著名なドキュメンタリー番組制作者で、小児性犯罪者や麻薬中毒、地球防衛軍総司令官やネオナチ主婦などに突撃取材するような仕事で知られる人であると知った。あの鉄壁の鉄仮面のような表情は、そうした仕事の中で顔の防御力を培った結果身についたのだろうか。
興味が出たので、ほかの番組も探してみようかと思う。
ルイ・セローの著作だという「ヘンテコピープルUSA」も、ちょっと読んでみたいかも。