湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

漫画よんでラノベ読んで休んでいた日記

こんにちは。

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気がつけば、一月が終わっている。

 

先々週あたりから、書き物する気力がなかなか貯まらず、ブログ更新を休みがちになっていた。

 

書こうと思えば書けるけれども、気力のないときに、無理して書いてもつまらない。

 

無理するよりも、気力が貯まるように過ごすほうが生産的だろう。

 

というわけで、数日書かずに休んでいたら(続けていることを休むのにも、それはそれで結構な精神エネルギーを必要とするものだ)、書きたい気分が6割がた戻ってきたので、ゆるゆると更新再開することにした。

 

精神的に少しばかり萎えているときに、何をするかというと、マンガ本やラノベのドカ読みである。

 

本格的な抑鬱状態になると、とてもじゃないけど活字なんか読めないし、もともと苦手な映画など、もってのほかだ(人生初のパニック発作を起こしたのは映画館だった)。

 

けれども、「風邪のひきはじめ」程度の時期なら、私の場合、物語の大量投与が、とてもよく効く。葛根湯とビタミン剤みたいな感じかもしれない。

 

備忘録を兼ねて、読んだ作品をメモしてみる。

 

まず、椎名軽穂君に届け」全30巻。

 

君に届け 30 (マーガレットコミックス)

君に届け 30 (マーガレットコミックス)

 

 

kindle版で、全巻揃えてある。

読み返すたびに、最初の5巻くらいまでは号泣モードである。

 

どの辺りが号泣のトリガーなのかは、自分でもいまだによく分からない。

 

ただ、高校時代の自分の立ち位置が、卒業までの3年間、ほぼずっと「貞子(爽子)」相当だったことは間違いない。

 

クラスの仕事だの委員長だの部長だのはお約束のように回ってきたけど、友人はいなかった。挨拶しても挨拶を返されないし、休み時間はぼっちだし、グループ分けなどあれば余りの寄せ集め組の常連である。クラスメートとの間の壁を崩してくれる「風早君」など存在しなかったし(女子高だった)、生徒の心の成長に必要なことを本能的に見抜く「ピン」のような担任にも出会わなかった。底意地の悪いいじめを仕掛けてくる「くるみちゃん」のような子たちはたくさんいたけど、ドンデン返しで親友になるようなこともなかった。

 

まあ、私自身が「爽子」のようなピュアホワイトな心の持ち主でもなかったのだから、いろいろ仕方ないとも思う。

 

過去の自分にとっての「叶えられるはずもなかった希望の物語」である「君に届け」で、なぜいまさら感動して泣けるのか。

 

もしかすると、いま自分の中で無意識に叶えたいと思いながら、叶えられずにいる希望につながるものが、「君に届け」のなかにあるのかもしれない。

 

君に届け」のテーマは、タイトル通り、自分の本当の気持ちを、大切な人に届けることだ。そのためには、自分自身の気持ちを見極めることや、意志を固めることも必要になる。

 

それは十代の子どもたちにとっては、未知の恐怖を乗り越えなくてはならない大きな試練だけれども、歳をとった人間にとっても、簡単なことではない。

 

心の上に重く降り積もった日常の埃を払いのけて、見ないようにしていた自分の本心や、相手の思いを敢えて直視することは、年齢を重ねれば重ねるほど難しくなるのではなかろうか。

 

君に届け」を読むたびに、顧みられることなく脳のどこかに埋もれ続けて、日の目を見たがっている何かが揺さぶられるから、泣けるのかもしれない。

 

カルロ・ゼン 原作、東條チカ 漫画「幼女戦記

 

幼女戦記(17) (角川コミックス・エース)

幼女戦記(17) (角川コミックス・エース)

 

 

先月コミックの最新刊が出たのをきっかけに、前のほうの巻も再読。

 

いわゆる転生ものだけれども、転生先の世界がリアル地球にダブる部分が多いため、歴史、とくに近代史オンチの私には、いろいろな意味で勉強になる。

 

現代日本のサラリーマンだった主人公は、転生先の人類が初めて遭遇する「世界大戦」の最前線で、唯一その戦争の本質を「過去生の知識」として知る者であるために、図らずも戦局を左右するほどの役割を果たし続けている。

 

私の子どもの頃は、「第三次世界大戦」がいつ起きるのかということが、折に触れ話題になり、恐怖されていたと記憶している。戦争やテロは各地で絶えることなく起きているけれども、「大戦」のようになりにくくなっているのは、世の中の経済などの成り立ちが、20世紀前半とは大きく違ってきているからなのかなと、社会に疎い私などでも薄っすらと感じられる。

 

50年後のサラリーマンが、「近代史」の知識を持って、この時代にやってきたなら、私にはよくわからない今の世界情勢をどう読み解いて教えてくれるのだろう。あと50年も生きられそうにないから、そういうチートな転生者がいてくれればいいのにと、ちょっと思うけれども、知らないほうが心穏やかに余生を送れるということもあるかもしれない。というか、たぶんそうだろう。

 

 

清水ともみ「その國の名を誰も言わない」

その國の名を誰も言わない

その國の名を誰も言わない

 

 

現代史、というか、リアルタイムで起きている、国家規模の人権侵害について、取材されて描かれた作品。

 

中国で、100万人以上ものウィグル人が、民族の独自性を消去するための再教育を行う施設に強制収容されているという。

 

国家権力によって合法的に収容されたウィグル人は、家族から引き離され、言語や風習を徹底的に取り除かれて、正しい中国人となることを求められるのだとか。

 

それだけでも十分に恐ろしいことだけど、施設内での拷問死や性的虐待、生きたまま臓器を摘出して売買する闇市場の存在など、信じたくないようなことが作品のなかでは描かれている。

 

この問題については、中国の外にも少しずつ情報が漏れているようで、その凄惨な状況について報道もされているけれども、中国は当然のことながら否定している。

 

中国政府、ウイグル人を収容所で「洗脳」 公文書が流出 - BBC News ニュース

 

これらのことが事実だとして、いったい誰が(どんな勢力が)、どのようにして、被害に遭っている人々を救うことができるのか、私には想像もつかない。

 

できることがあるとすれば、「知る」ということ、「知ろうとする」ことぐらいだろうか。起きていることが、広く「知られる」ようになれば、あまりにも凄惨な行いへの抑止になるかもしれない。

 

国家権力が多様性を強く忌避するようになることは、その国家の凋落の予兆なのじゃないかと、漠然と思っているけれども、筋金入りの歴史音痴だから、なかなか例証を思いつかない。思いつかないけれども、お隣の大国は、どうも危ういのではないのかと、心配になる。因果応報みたいなものとは別の次元での、もっと社会構造の根幹に触るような危うさが、せまっているのではないのか。

 

けれどもお隣の国は、文化大革命でも(たぶん天安門でも)わりと同じようなことをしていて、それでも「いま」があるのだから、もうその手法に十分な経験値と自信を蓄積しているのかもしれない。そのあたりのことは、私には何もわからない。

 

もうずいぶん前に読んだ「さらば、わが愛  覇王別姫」という小説のなかで、主人公たちが、文化大革命の渦に巻き込まれて、個人的な恋愛感情や夫婦関係の隅々まで暴かれて、徹底的に糾弾されるというくだりがあった。

 

BBCなどの報道による、ウィグル人の再教育センターで行われているという「再教育」の方法は、「覇王別姫」で描かれていた個人攻撃に、よく似ているように思われた。かつてそれを経験した人たちが、上の方にいるのだろうかと想像してしまうほどに。

 

さらば、わが愛―覇王別姫 (ハヤカワ文庫NV)

さらば、わが愛―覇王別姫 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

うーん……

 

分からないことを書き連ねても仕方がない。

視点を変えよう。

 

(_ _).。o○

 

大学生のころ、新疆ウイグル自治区からの留学生と親しくなって、故郷のお話をよく聞いていた。

 

夜の砂漠で、無数に光るオオカミの目を見たら、まず生きて帰れないと言われていること。

 

実家の天井には、新聞がびっしり貼ってあって、夜寝るとにきはそれをずっと読むのが習慣だったこと(彼女はとても目が良かったのだと思う)。

 

町にはウイグル人がたくさん住んでいて、皆大柄で言葉も違うので、漢民族の彼女は、少し怖い感じがしていたということ。

 

そして、ウィグル人のなかには、うちの亭主によく似た顔立ちの人が結構いるとも聞いた。現代のウィグル人は、モンゴロイドコーカソイドの混血だと言われているそうで(wiki)、うちの亭主もまさにそんな感じの顔立ちなのだ。

 

新疆ウイグル自治区に関する作品や報道が、遠い国の、自分には無縁の話であるとは思えないのは、こんなささやかな記憶があるからでもある。

 

 

漫画「その國の名を誰も言わない」は、kindle版以外でも、無料公開されている。

 

 

澪亜「公爵令嬢の嗜み」

公爵令嬢の嗜み (カドカワBOOKS)

公爵令嬢の嗜み (カドカワBOOKS)

 

 

異世界転生もののラノベ小説。

「ピッコマ」で少し読んでみたら、ハマってしまったので、ネットの小説サイトに投稿されていた全編を探し出してきて、イッキ読みした。

 

生前にやり込んでいた恋愛シミュレーションゲームそのままの世界の、脇役もしくは悪役令嬢に生まれ変わって、オリジナル(ゲーム)のヒロインを凌駕する存在になる…という作品を、少なくともこれまでに四つくらいは読んだと思う。

 

そういう基本仕様は似ていても、どの作品も工夫を凝らして独自の展開を見せてくれるので、意外なほど飽きはこない。

 

「公爵令嬢の嗜み」の主人公アイリスは、ゲーム世界のヒロインを虐待した悪役令嬢として、大勢の人々の前で断罪されている、まさにその瞬間に、日本人女性だった前世の記憶を取り戻す。

 

ゲームのシナリオでは、アイリスはその断罪シーンのあと、胡散臭いヒロインにたぶらかされた第二王子との婚約を破棄されて、学校も退学になり、父親の手で修道院に幽閉されて人生を終えることになっていた。

 

けれども、そんな真っ暗な人生は御免だと思ったアイリス(中身は日本人OL)は、父である公爵の考えを変えさせるために、前世で身につけていた社会問題に対する洞察力や分析力をフル動員して、王室や貴族社会のパワーバランスについての私見を披露し、自領の領主代理として赴任することに成功する。

 

そこから先の長い物語のほとんどは、アイリスが自領の行政改革で驚くべき辣腕をふるって、人心を掌握し、ドス黒い貴族社会の陰謀や、婚約者を奪ったヒロインが次々と仕掛けてくる悪辣な罠に対抗していく、やたら硬派なエピソードが、延々と続くことになる。

 

転生者であるアイリスの行政能力はハンパなく高かった。財政改善のために戸籍と税制を見直すと同時に、その世界には概念すらなかった銀行のシステムを作り上げ、やがては貨幣制度も変えてしまう。

 

交易面を強化するためには、街道や港湾の整備と、運送の安全確保のための警備強化、さらには商会を作って、自国で開発・生産した商品を国内外に売ることも成功させる。

 

さらには、一般庶民の教育機会の拡充のための学校設立、孤児院への支援、健康保険の創設、災害予防のための治水工事など、領民が幸福に暮らすための、ありとあらゆる立案を行い、超人的な仕事量をこなして実現していく。

 

一方、アイリスを追い落として、次期国王と目されている第二王子の婚約者となった、胡散臭いヒロインは、未来の姑(現国王の側室)に取り入ることで、国政への影響力を得て、アイリスと彼女がおさめる伯爵領への嫌がらせや妨害工作を、次々と繰り出してくる。

 

前世で会計に関わる仕事をしていたために、お金や物資の動きに対して高い情報処理能力をもつアイリスは、王室のある首都での物価の動きなどが怪しいことに気づき、さらには、胡散臭いヒロイン周辺に、亡国に繋がる陰謀が隠れていることを察知して……

 

こんな具合で、恋愛シミュレーション世界に転生したのに、類まれな美少女である主人公は完全にワーカホリックで、恋愛要素がとっても薄いという、かなり不思議なラノベではある。でもそこが面白かった。

 

あ、一応主人公の恋愛のエピソードはあるのだけど、相手の男性は主人公以上の行政マシーンで、甘々のラブシーンなど皆無。そもそもどちらも腹の底など絶対見せない仕様なのに、よくそれで一緒に恋に落ちることができたものだと感心したほどだ。

 

私が読んだのは「小説家になろう」に無料公開されているものなので、出版されているテキストは、もしかしたら恋愛要素増量を含めて、いろいろブラッシュアップされているのかもしれない。機会があれば読んでみたい。