湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ファミレスにて

長女さん(4歳)と一緒に、ファミレスでランチを食べた。
そのとき隣に座った三人の客の会話に、私は耳を奪われた。

 

「見かけはほんとに、普通なんですよ」
「そうそう、スポーツとかも、よくしてたしね」
「言葉もよくできるし」
「だけどねえ、結局中学で・・・」
「いまはたしか、工場に」
「手作業をね。ある種の特殊技術ですよ。一定の依頼もあるしね」
「頭はいいんですよ。仕事もほんとに、きちんとこなす。そういうところだけ見てると、すごいのよあの子は」
「凝り性よ」
「進学、出来なかったんでしょうかねえ」
「親御さんがね、小学校就学のときに、学校側からずいぶんいじめられたらしくて、それでねえ・・・」
「そうそう、言葉はほんとに自然なんだけど、めちゃくちゃなことを、ほんとにさらっと言うから」
「昨日も今日も一年前も、いっしょなのよ、あの子。昨日なにしたのって聞くと、ずっと前のことを言っちゃったり。ほほほ」
「そのくせあれなのよ、どっかの会社に出かけて、いきなり商品購入の契約結んじゃったりするのよ」
「あはは、そうそう。そういうことは、ほんとに普通にさらっと、やっちゃうのよねえ」
「放浪癖も、困るわねえ」
「閉じこもってるのかと思うと、いきなりカラオケ屋で歌っていたりね」

 

私はふりむいて、その客たちの顔をまじまじと観察した。

年齢的には中高年。三人とも、非常に物柔らかなだけれど決して揺るぐことのない目の雰囲気を持っていた。 そして、穏やかに、少しこもるように話す声。

 

たぶん、知的ハンディのある子供たちに関わる職業の人達なのだろう。 息子のために、私もこういう人々と何人も知り合ってきた。

 

話題にされていたのは、どこかの自閉症の青年だろうけれど、なんだか 息子(3歳・重度自閉症)の未来を言われているようで、食事のあいだじゅう、私はとても落ちつかず、長女さんにほとんど 話しかけなかった。ごめん、長女さん。

 


(2001年6月10日)

※過去日記を転載しています。