湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

マウスと息子

私がパソコンをいじっていると、息子(3歳・重度自閉症)が、ずーっと足元に座っている。ときどき自分の椅子を持ってきて、私と並んで座ることもある。そして、じぃーっと、ディスプレイや私の手が動くのを見つめている。

 

私がパソコンを離れると、息子はこっそり私の椅子に座ってみる。それから、私そっくりの手つきでキーボードを叩きながら、ディスプレイを見たりする。マウスを動かす手つきなども、堂に入ったものである。

 

パソコンの電源が入っているときは、マウスのカーソルが動いたりするから、息子はとてもうれしい。カーソルのさきっぽを、フォルダーの名前のところにあてがって、ちょんっとクリックすると、名前のところが青く反転する。またマウスを動かすと、どうしてだか、書いてあった名前がぽん、と消えてしまい、空欄になる。そこは、息子のための、小さな小さなエディタである。

 

息子は、マウスからキーボードに手をうつして、文字を叩く。すると、息子の思ったとおりの文字が、箱(フォルダー)の下の小さなエディタのなかに現れる。息子はもう、うれしくてたまらない。どんどんどんどん文字を入れると、息子のエディタも大きくなる。息子は、うっとりする。それから、にかっと笑う。

 

あんまりうれしそうだから、つい、叱るのを延期してしまうのだが、おかげで私のパソコンには、変ななまえのフォルダがたくさん入っている。


(2001年6月14日)

※過去日記を転載しています。