「漫画 人間とは何か? 自己啓発の劇薬 マーク・トウェインの教え」マーク・トウェイン原作
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ本。
(2022年3月29日現在読み放題可)
原作は未読。
妻子を失ったマーク・トウェインの、人間についての身も蓋もない思想を漫画化した作品。
「人間とは機械である」
「人間は自己満足の奴隷である」
「人間は自らの承認を求めて動く単なる機械に過ぎない」
漫画の中では、若い実業家がマーク・トウェインの主張に反発して、人間の創造性や情愛の価値を認めさせようとなんとして議論を挑むけれども、ことごとく潰されて終わっている。
相手を論破するときのマーク・トウェインの目が、だいぶ危険な世界にイッちゃってる人のようで、かなり怖い。
でも最後のほうで、こうも言っている。
人間は無力だ
何も産んじゃいないし何も発明していない
全ては神の手柄であり誇る要素などどこにも無い
しかし逆に言えばどうしようもない苦しみと悲しみもまた神が創り出した気質と環境が由縁だとも言えるのではないかね
他人から言われの無い差別を受けたり
身体が弱く思うように働けなかったり
生まれた時から片親であったり家の事情でらまともな教育が受けられなかったり
その全ては人々の気質と環境によるものだ
苦しむことも全て自分が悪いお思い込むこともまた人間の驕りだからな
他者と比べて落ち込むことも隣人の未熟さや至らなさに怒りを向けることも全ては自己満足であり設計通りに作用しているだけ
人間は気質や環境に形作られた存在なのだから誇りも尊厳も全て捨ててしまうべきなんだよ
そうして自らの無力さを自覚した時
人間は他者にも自分にも寛容になれるんだよ
これはほぼキリスト教の考え方に近いように思う。
本書では、こうしたマーク・トウェインの思想の理解を助けるような、脳医学方面の話題や、AI、「攻殻機動隊」でいうところの「ゴースト」などについても、「有識者に聞く」というコラムで触れている。
「漫画方丈記 日本最古の災害文学」鴨長明原作
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
丁寧に漫画化されている上に、巻末に「方丈記」全文が掲載されている。
何度も読んできた作品だけど、書かれている出来事が「鎌倉殿の13人」の時代と重なっていることもあり、一層生々しく感じられた。
大火事、飢饉、疫病、竜巻、大地震。
その上に強引な福原遷都とその失敗、戦乱に政変まであったのだから、ただ生きるだけでも苦しい状況の人々も少なくなかったことだろう。
「魔法使いの嫁」17巻(ヤマザキコレ著)
楽しみに待っていた最新刊。
そしてまたしても、超絶気になるところで終わっていて、次巻が出るのは9月とのこと。待ち遠しすぎる。(;_;)
「強制除霊師・斎 女系家族」小林薫・斎
主人公であり、このシリーズの監修者でもある斎さん亡くなって三年。現在の連載は、生前の斎さんが行った霊能相談の記録をもとに描かれているのだという。
オカルト、心霊方面の作品は実のところかなり苦手なのだけど(若い頃「いろいろ」見たせいもある。あ、いまではそういうのはほぼ脳神経の問題だと思っている)、この作品は例外で、全シリーズ読んでいる。到底理解できないものの世界を描いているはずなのに、こちら側の世界の人の心に真っ直ぐに通じる筋があると感じるからだろうか。それと、斎さんというキャラが好ましいのだと思う。
「予言の乙女は大公の従者になって魔境に潜伏中です」(日車メレ著)
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
(2022年3月29日現在読み放題可能)
両親に早く死なれて、働きながら大学に通っていたリオは、夜の繁華街を歩いている最中、突然異世界の遺蹟に召喚されてしまう。
リオが召喚された理由は、「予言の乙女」として、魔獣に侵略されつつある異世界を守るためだったのだけど、アルバイトの関係で少年にしか見えないユニフォームを着ていたため、現地にいた王太子に乙女と認識されず、不審者として切り捨てられそうになる。
そこにたまたま居合わせたローランドという大公がリオを庇ってくれて、そのまま彼が統治する魔境についていくことになる。
そこからは、ほぼお約束の展開で、前国王の嫡男だったローランドが残虐な王太子を廃して国王となり、リオは正しく予言の乙女としての役割を果たして世界を守ることになるのだけど、途中、二人の恋愛模様が芋虫レベルで遅々として進展しないので、これってどこまで引っ張るのかしらと心配になったりした。