気が付けば、二月が終わっていた。(´・ω・`)
無料の青空文庫版や読み放題サービスを(kindle unlimited)を利用して、あいかわらずドカ読みしている。
読みかけの本も多いので、感想メモを全部書くのは無理だけど、可能な限り頑張ってみた。
太宰治「右大臣実朝」
「吾妻鏡」を引用しながら、在りし日の源実朝について、かつて身近に親しく仕えていた者が語るという形式で物語が進むのだけど…
とにかく視点が卑屈で陰湿だ。
実朝の非凡さや高貴さを心の底から讃えているようでいて、その長々しい賛美の言葉には、必ず貶して引きずり下ろすためのフックが忍ばせてある。
実朝を貶める言葉は、実情を知らない世間の人々の無責任な評価として語られるけれども、そこには真実を知るものとしての語り手の優越感や、悪意や批判にさらされる主君を、安全地帯から眺めて憐れむことを密かに楽しんでいるかのような、いやらしい気配がある。
この作品が発表されたときの評判や評価を知らないけれども、私には、不愉快な小説だった。
片桐はいり「もぎりよ今夜も有難う」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
映画の話がふんだんに出てきて、しかもこの上なく魅力的に語られるので、いちいち見たくなってしまって、読み終えるのに時間がかかった。
残念なことに、本書で取り上げられている映画のほとんどが、Amazonプライム・ビデオで見放題できない作品なので、涙を飲んで我慢するか、YouTubeで片鱗を探して拾い見するしかなかった。
作者は私と同い年で、大学時代にもぎりのバイトをしながら、あまたの映画を鑑賞したとのこと。同じころ東北で学生をしていた私は、名画座にも数えるほどしか行かず、映画にも舞台作品にもほとんど触れることなく過ごしていた。今思えば本当にもったいないことをした。つまらない悩みに囚われるヒマがあったら、映画を見倒していればよかったのに。
時空旅人 別冊「鎌倉殿 源氏三代と13人の武士」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ。
鎌倉幕府の主要人物のプロフィールや、主な出来事、縁のある土地や文化について、完結に説明されている。
歴史音痴には非常にありがたい本。最後まで読み終えた。
それにしても、知れば知るほど鎌倉幕府は血生臭い。
内部粛正というか、ほとんど内ゲバみたいな事件で、頼朝挙兵のときの功労者が次々と闇に葬られていき、果ては頼朝の子や孫まで根絶やしになっていく。
「鎌倉殿の13人」のあとに、「そして(ほとんど)誰もいなくなった」っていうサブタイトルをつけたくなる。
岡本綺堂「修善寺物語」
青空文庫版。
Kindleで無料で読める。
物凄い話だった。
夜叉王という「面作師(おもてつくりし)」が、頼家の依頼で、頼朝の顔を写した面を打つのだけど、何度作っても面に死相が出てしまい、納品することが出来ずにいた。
しびれを切らした頼家が、夜叉王の元へ来て、死相の出た面を無理やり引き取って行く。
けれどもその夜、頼家に差し向けられた刺客が修禅寺にやってきて…
頼家暗殺の惨劇は直接的には描かれていないけれど、死相の面の存在だけで、将軍家の運命の惨たらしさは十分に伝わってきた。
岡本綺堂の作品は、他にもいろいろ青空文庫版で出ているので、読んでみようと思う。
坂井孝一「源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか」
kindle unlimited(読み放題)で読める本。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」や、歴史関係の小説などを読みながら、少しづつ読み進めているのだけど、歴史音痴の私でも、十分に楽しめる内容だ。
感想はまだ後日。
「不器用なシンデレラ」(漫画:村岡恵、原作:キャシー・ウィリアムズ)
kindle unlimited(読み放題)で読んだハーレクインコミックス。
片思いの相手が自分の妹と結婚してしまい、実家に居場所がなくなったベッキーと、病弱な母親のために結婚相手を用意したい独身主義のテオが、なりゆきで偽装婚約するに至り、結果的に相思相愛になるという、定番のストーリー。序盤、テオがかなり不愉快な人物だったのが尾を引いて、なんとなく読後感がすっきりしなかったけど、まずまず面白かったかな。
石井あゆみ「信長協奏曲」22巻
楽しみにしていた最新刊。
とうとう本能寺に来てしまった。
次号が最終巻らしい。
秀吉と光秀(本物の信長)はどう動くのか。
信長(サブロー)は現代に戻れるのか。
どきどきするので、ひさびさに、第1巻めから全部再読してしまった。
タイムスリップから何年たってもほとんど老けていないように見えていたサブローだけど、一巻目の高校時代の姿と比べれば、それなりに年をとっているのが分かる。でもやっぱりアラ還には見えない。
甘岸久弥「魔導具師ダリヤはうつむかない」1巻
Kindle Unlimited(読み放題)で一巻目が読めるので、ついダウンロードして再読。
「小説家になろう」のほうで連載中の作品なので、いつもそちらで読むのだけど、もう何度も何度も最初っから再読しているので(たぶん10回くらい)、いい加減、ちゃんと本を買おうと思っている。
スピンオフの「服飾師ルチア」のシリーズは2巻目まで出ていて、そちらはKindle版を購入して、なめるように読んでいる。
作者の甘岸久弥さんの文章が、とにかく心地よくて、何度でも再読したくなる。レビュー欄を見ると、同じような読者さんが結構おられるようだ。
主人公のダリヤが出会って真心を尽くされた人々は、ことごとく幸せになっていく。そういう人々によって、ダリヤもまた守られていく。与えられた才能は努力によって健やかに芽吹いて育ち、誰かの思いにつながって花開いていく。現実にはあり得ないように奇跡だけれど、あっても不思議じゃないと思わせられるから、読んでいて幸せな気持ちになるのだと思う。
佐倉紫「侯爵様の一途な愛は、引っ込み思案の地味令嬢の傷ついた心を癒します」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
出来の良い姉妹と比べられて傷つきながら育ってきた主人公が、自分だけを見てくれる人と出会って、ようやく少しづつ自信を持って前向きに生きられるようになりかけたときに、傷を思いっきりえぐるような裏切りの場面を目撃して……
周囲の人々は誰も悪くないし、悪意で引き起こされたことでもないのだけど、ちょっと迂闊だったと思う。わざわざ人の彼氏に抱きつかなくてもいいんじゃないかと。
一応誤解は解けてハッピーエンドにはなるけど、主人公が明後日の方向に気持ちを拗らせて、好きなことを生かして一人で生きる人生を選択する可能性もあったと思うし、なんかもう、いっそそれでもいいような気もした。
佐倉紫「こじらせ侯爵、メイド志願の乙女と恋に落ちる」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
侯爵はタイトル通り、とんでもなく拗らせていた。もうちょっと視野を広く持てば、こんなことにはならなかったのにと思いつつ、読了。
山田順子「戦国ファッション図鑑 イラストで解説する戦国時代スタイリング」
Kindle Unlimited(読み放題)で利用できる本。
イラストが綺麗で楽しい。
兜のバリエーションの多さと、さりげなくつけられているコメントに笑った。
藍まりと「惑いの庭で伯爵と」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ漫画。
ヒロインのポーリーンは、幼いころに自動車事故で両親を失い、掃除婦として働きながら、医療系の学校に行くことを夢見て学資を貯めていた。
彼女は職場で知り合ったリーバイという男性に思いを寄せていたけれど、ビジネスエリートのリーバイは、貧しいポーリーンとの結婚など考えてもいなかった。
リーバイの本心を知って傷ついたポーリーンの元に、存在すら知らなかった伯母から連絡がきて、屋敷の管理をしてほしいと打診され、掃除婦の給料より遥かに高い報酬を提示される。伯母は亡き父の姉で、駆け落ち結婚した弟のかわりに、実家を守っていたのだ。その屋敷でポーリーンは不思議な出会いをする……
作者さんがハーレクインコミックをたくさん発表している方なので、この作品もハーレクインが原作のマンガかと思って読んだら、どうも違うようで、「ロマンス・ユニコ」という月刊web雑誌に連載されている、新作マンガのコミック版らしい。
再会がくれた苦しみ(漫画 百日紅ばなな、原作 シャーリー・ロジャーズ)
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
ハーレクインコミックスは、古めの作品を一時的に読み放題で公開してくれるので、ちょくちょくチェックして読んでいる。
数年前、友人や身内の陰謀で破局してしまったメリッサとダニエルは、地元のイベントでうっかり再会し、お互いに過去の恨みつらみが再燃してすったもんだするのだけど、物騒な銃撃事件などに巻き込まれた挙句、誤解を解いて結ばれる。
ハッピーエンドではあるのだけど、殺人事件も銃撃事件も未解決だし、二人を騙して破局させた連中(メリッサの友人とダニエルの弟)にお咎めなしなので、ちょっとモヤっとするものが残った。
超ビジュアル!マンガ戦国時代 乱世到来編(1467〜1582年頃)
kindle unlimited(読み放題)で読了。
応仁の乱から本能寺の変までの、主な戦乱を復習するのにちょうどいい本だった。
本書には関係ないけど、本能寺の変の1582年って、「いちごパンツ」って覚えるらしい。
山口志穂「オカマの日本史」
kindle版を購入して読んでいる。
たいへんわかりやすく、興味深い。一部、末っ子に音読してもらって楽しかった。
ただ、掲載されている図版に、だいぶ露骨なものがあって、末っ子がちょっと引いていた。
そのうちちゃんと感想を書こう。
菊池寛「応仁の乱」
無料で読める青空文庫版。
南北朝から応仁の乱のあたりまでの歴史は、日本史音痴の私の中でも特に苦手意識の強い時代だ。
とにかく、話がややこしすぎる。末っ子の試験勉強に付き合って、だいぶがんばって覚えたけれども、いまだに山名宗前がどっち側だったか迷う。
だいたい日野富子の行動が複雑すぎるのが悪い。自分の息子を将軍にしたいために、夫の弟と敵対したはずなのに、息子が早死にしたあとは、敵の息子を将軍に推している。自分の妹が生んだ子だからという理由らしいけど、結局その息子をクーデターで廃して別の将軍を立てている。我の強い女性だったのだろうというのは想像がつくけれども、どんな思いで生きていたのか、見当もつかない。