湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ねこたま鬱日記

うつ病関連の本を粗忽に読んで、なんとなく理解していることを、備忘録がてら、分かる範囲で整理して書いてみた。

 

やたら長くなったので、最初に結論をかんたんに書いておく。

 

毎日歩くと治るかもしれない。

 

ってことなんだけど、一応いろいろ脳医学的な根拠はある。

 

ただ、かなりややこしい。

 

 

(_ _).。o○

 

やる気や楽しい気持ちが湧いた途端に、鬱に撃ち落とされる日々を送っているけど、うつ病のこういう状況には、ドーパミンという神経伝達物質が深く関わっているらしい。

 

私はADHDの治療のためのコンサータという薬を処方してもらって飲んでいる。うつ病の治療薬だけでは改善しなかったので、発達障害ADHD自閉症)の二次障害で鬱になったのではないかと疑われ、検査を受けたところ大当たりだったため、処方されるに至ったのだ。

 

コンサータドーパミンを増やす薬だと言われるけれど、正確には、ドーパミントランスポーターという部位がドーパミンを取り込んで片付けてしまうのを防ぐことで、ドーパミンの働きを強めているのだという。

 

ややこしいのだけど、ドーパミンを外から補って増やしているのではなくて、もともと中にあるものをしまい込まずに出し散らかしておくことで、量が増えたような状況を作り出している、という感じだろうか。(素人考え)

 

散らかしておく場所は、シナプス、つまり神経と神経のつなぎ目のところであるらしい。

 

ドーパミン神経伝達物質というもので、文字通り、神経から神経へと刺激を伝達する働きをしている。

 

前のほうの神経がビビッとくると、端っこから、シナプスドーパミンが放出される。すると後のほうの神経の端っこにある受容体がそれをキャッチしてビビッとなって、情報が伝わっていくらしい。(素人的喩え)

 

Wikipediaの「ドーパミン」のページには、次のような説明がある。

 

中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる。

 

 

シナプスに放出されるドーパミンが少なければ、ドーパミン神経がうまく働かず、意欲や動機や学習が阻害されて、どんより鬱状態になるだろうということは、私でも想像がつく。

 

でも、シナプスに放出されるドーパミンが足りていればうつ病が良くなるのかというと、そういう簡単な話ではないようだ。

 

論より証拠と言っていいのかどうか分からないけど、私のうつ病には、すでにコンサータが効かなくなっている。

 

初めてコンサータを飲んだ日のことは、よく覚えている。バカみたいな表現になるけど、自分の周囲がキラッキラに輝いて見えた。こんなに効くのなら、うつ病とはキッパリ縁が切れるだろうと思ったくらいだ。

 

でもそれは長くは続かず、初期に処方された量では効果が無くなったので、増量になった。その後、また効果が薄れてきたけど、それ以上の増量は希望せずに、現在に至る。

 

コンサータは毎日朝食後に服用している。飲んでからだいたい12時間ほど効果があるらしい。確かに「うっかり」や「忘れ物」は減る。

 

でも服用し始めたころのような、キラキラした意欲の活性化は起こらず、日没ごろまでどんよりと沈んでいる。本来、コンサータの効果が切れるはずの夜になってから、意欲が復活するのはなぜなのか。謎だ。

 

近年になって、ADHDの原因が、ドーパミンそのものの不足だけではないことが分かりつつあるらしい。

 

次のような記事がある。

 

発達障害ADHDの原因 脳受容体と炎症が関係

発達障害ADHDの原因 脳受容体と炎症が関係:中日新聞しずおかWeb

 

一部引用する。

ADHD当事者では、注意や感情などのコントロールに重要な役割を持つ前頭葉の内側部分で、ドーパミンの一種「ドーパミンD1」のうち神経伝達の受け皿の役割を果たす「受容体」部分の機能が低下。計画性などに関わる前頭葉の外側、下側部分で脳の環境を整える細胞「ミクログリア」が活性化して過剰に働き、脳内の神経が炎症していることが分かった。


 ADHDの症状が重いほど、ドーパミンD1受容体の機能が低下し、脳内の神経炎症が進んでいた。ドーパミンD1受容体の機能が低下することでミクログリアが活性化する相関関係も確認できた。

 

 

ADHDには、ドーパミンの受容体の機能低下や、脳内の神経炎症が絡んでいるらしい。

 

受容体がドーパミンをちゃんとキャッチしないのであれば、いくらシナプスドーパミンだけ増やしても、情報伝達は成功しない。

 

で、炎症を起こしているというミクログリアとは、一体何者なのか。

 

脳科学辞典」というホームページの「ミクログリア」の項目には、次のような説明があった。

 

ミクログリアは中枢神経系グリア細胞の一つで、中枢の免疫担当細胞として知られ、中枢神経系に存在する常在性マクロファージとも呼ばれる。アストロサイトやオリゴデンドロサイトなどとは異なり、胎生期卵黄嚢で発生する前駆細胞を起源とする。正常状態では脳や脊髄に点在し、細胞同士がお互いに重ならず分布している。

 

受容体の機能低下とミクログリアの炎症がどう関係しているのが(例えばどっちが先なのか)は私には分からないけど、ADHDだけじゃなくて、うつ病の人の脳内でも、このミクログリアの炎症が起きているのだという記事を見つけた。

 

で、読んでみたら、衝撃的なことが書いてあった。

 

新規治療標的としてのミクログリアの可能性 ─うつ病認知症の共通病態としての神経炎症─

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/32/1/32_38/_pdf

 

うつ病に関するところを一部引用してみる。

 

b.うつ病におけるミクログリアの活性化


活性化したミクログリアを標識する PET imaging によると,うつ病患者の抑うつ症状と前頭前皮質, 前帯状皮質および海馬におけるミクログリアの活性化が正の相関を示すことが明らかになり ,特に自殺念慮の強さがミクログリアの活性化と相関するこ とが報告された 。

 

また,ラットにおける反復的な 社会敗北ストレスモデルにおいては,交感神経系
(sympathetic ner vous system:SNS)を介して骨髄造血が促進され,未熟な単球が脳内に移行して,ミクログリアを活性化することが報告されており,心理社会的ストレスによる情動反応(不安様行動)に より,末梢由来の単球と脳内ミクログリアが相互に 神経炎症を増幅させると示唆されている。

 

また ラットを含む動物モデルにおいて,ミクログリアの活動には概日リズムがあると報告されており,断眠 などによって概日リズムが崩れると,ミクログリアが過剰に活性化されることがわかっている。

 

 

素人頭で要約すると、

 

 

これってつまり、「眠れないほどの対人ストレスにさらされ続けると、脳が炎症でボロボロになる」っていうことじゃなかろうか。

 

うつ病は、もはや脳の風邪どころか、死に至る大怪我というべきかもしれない。

 

次に引用する部分には、さらに怖いことが書いてある。(引用文中のADというのは、「アルツハイマー認知症」、BDNFは「脳由来神経栄養因子」のことだそうだ)

 

a.うつ病と AD の共通病態としての BDNF 仮説


糖尿病,心血管疾患,肥満など慢性炎症関連疾患患者においては,血中BDNF濃度がいずれも低値 を示す。

 

また,慢性炎症疾患の発症予防に有効であると実証されている運動(エクササイズ)は骨格筋細胞を含む末梢組織における BDNF の発現を増加させることが知られており,慢性炎症疾患における共通の機序として,BDNF の役割が注目されている。

 

一方,うつ病患者の血清BDNF濃度は健常者と比較して低下しており,抗うつ薬治療後に濃度 が上昇すると報告されるなど,うつ病におけるBDNF の機能低下が示唆されている。

 

また,AD患者においても血清 BDNF 濃度は健常者と比較して低下しており,認知症治療薬ドネペジルによる治療後に濃度が健常者レベルにまで回復すると報告され ている。

 

さらに,認知機能低下のない高齢者を約 10 年間フォローアップした研究では,血清 BDNF 濃度が高い人ほど,その後に AD を発症するリスク が低いとの報告がある。

 

これらから,うつ病と AD の共通病態として BDNF の機能低下が示唆される。


b.BDNF はミクログリア活性化を抑制する


BDNF の作用は炎症性サイトカインで抑制されることが知られているが,BDNF はミクログリアの生存および増殖においても重要であり,ミクログリアにおける BDNF の発現を阻害すると,ミクログリアの機能が低下し,シナプス形成および運動学習が抑制される。

 

筆者らは,BDNF がミクログリア細胞内 Ca2 +シグナリングを制御し,一酸化窒素(nitric oxide:NO)の産生・放出を抑制する
など,ミクログリアの活性化を抑制することを報告した。


4.AD の発症を予防するために


健常高齢者において,1 日 40 分間のウォーキン グを 1 年間継続すると,血清 BDNF濃度が上昇し, 海馬の体積が増加し,空間記憶が改善するとの報告 がある。

 

血清 BDNF 濃度は加齢に伴い低下するが, 血清 BDNF 濃度は認知機能(特に空間記憶)と正 の相関を示すとされており,適度な運動により BDNF の機能を高め,認知機能を維持できる可能性が示唆される。

 

AD の発症を予防するうえで有効 な 7 つの是正可能なリスクファクターとして,うつ病,糖尿病,高血圧,肥満,身体不活動(physical inactivity)などが挙げられている。

 

うつ病と AD に共通する病態仮説として,神経炎症仮説,BDNF 仮説が注目されているが,病態には糖尿病,肥満な どの生活習慣病も関与しており,薬物療法以外にも食事,運動,睡眠など日ごろの生活習慣を見直すことが,発症予防や治療において大変重要であると考 えられる。

 

 

上には引用しなかったけど、アルツハイマー認知症でも、ミクログリアの活性化(炎症)が見られることはよく知られていると書かれていた。

 

素人頭で要約すると、

 

 

つまり、BDNFを増やさずにいると、うつ病アルツハイマー認知症のリスクがどんどん高まる(治らない)ということだろうか。

 

ものすごく気になったところを、もう一度引用する。

 

健常高齢者において,1 日 40 分間のウォーキン グを 1 年間継続すると,血清 BDNF濃度が上昇し, 海馬の体積が増加し,空間記憶が改善するとの報告 がある。

 

脳由来神経栄養因子(BDNF)が増えてくれれば、ミクログリアとやらの炎症がおさまって、ドーパミン周りの状況も改善するかもしれない。

 

そのために一番簡単にできるのは、やはり運動、ウォーキングだろう。鬱で行動を起こしにくい私にとっては、全く簡単じゃないけど。

 

正直、日中外に出るのは、ものすごくつらい。

 

家の中で歩くか。

一日40分。細切れでもいいなら、なんとかなりそうな気がする。

 

それを1年間継続できたら、何か変わるだろうか。

 

明日から、歩こう。