半分読んだ。
読みながら、「居場所がない」のとは違うことばかり考えていた。私は平和に主婦がしたい。平和だけじゃたりない。あったかいのがいい。しあわせにも興味がある。ときどき楽しければもっといい。できれば毎日。家にいる自分が好きだし、社会はともかく家庭の束縛から逃れたいなんて夢にもうつつにも思わない。長生きしたい私にはそれが絶対必要なのだ。けれど、思わないぞ思わないぞ思わないぞと力を込めて思っている私の裏側に、「茫洋たる海原」みたいなものに漂うことを日常に思う母親でも主婦でもないという詩人の言葉が入り込んできて、やばいぞやばいぞと言い募る。強く思うのを止めてしまえばみんなあっさり壊れる幻影なのじゃないかと思えてくる。あったかい服を着ていないときのナマの自分を思い出す。
本は毒だ。詩も毒だ。読まないほうがいいのかもしれない。
ときどきほんとにそう思う。
(1996年9月29日)
※過去日記を転載しています。