体調が悪いのをやりすごそうと思って読んだマンガのメモ。
「ハーレクイン 因縁の恋セット 2021年 vol.2」
多分、期間限定でKindle Unlimited(読み放題)になっている、ハーレクインコミックセット。
複数作品が収録されているので、読んだことを忘れないように、印象に残った作品だけでもメモしておこうと思う。
「億万長者との再会」(桜はるひ、トリッシュ・ワイリー)
家族の愛を求める天涯孤独のシャノンと、家族を切り捨てて生きるコナーが、散々な紆余曲折をへて結ばれるお話。
本当は相思相愛だったのに、シャノンはコナーに子ども扱いされていてたために脈なしと思い込み、コスプレで別人になりすまし、一夜だけ身を任せたあと、黙ってアメリカに働きに行ってしまう。
コナーのほうは、相手がシャノンだと見抜いていた上で一夜を共にしたものの、別れも告げずに去られたことに強いショックを受けて、諦めてしまう。
で、七年後。
こっそり帰国していたシャノンは、福祉施設を立ち上げて、信頼できる仲間とともに地域の働く母親たちを支援していた。
そこに、冷徹な不動産王になったコナーがやってきて、施設の入っているビルを取り壊すから立ち退くようにと求めてきて…
ハーレクインコミックのお約束で、短いマンガのなかに、盛りだくさんのエピソードが詰め合わされているので、ジェットコースター感がすごい。
シャノンの天涯孤独の事情、コナー一家との深い関わり、アメリカでの妊娠と流産(父親はコナー)、帰国後の福祉施設立ち上げに絡む人間関係、コナーの出生の秘密と家族との絶縁、亡き実父からの遺産相続、諸々の和解、双子出産…
原作小説の邦訳が出ているので、いつか読んでみたい。
「魔王からの伝言」(なかやま衣子、アン・ウィール」
ロンドンでインテリアコーディネーターをしているオリヴィアに、因縁の相手からの仕事が入る。
依頼者のルーダヴィク・ウェブは、オリヴィアの祖父が執事をしていた屋敷を相続した折に、祖父を老人ホームに追いやり、失意のうちに死なせてしまった人物で、オリヴィアも遺産にたかる虫呼ばわりされて一方的に追い払われた過去があった。
過去の恨みを抱えながら、ルーダヴィクからの依頼を受けたオリヴィアは、仕事を通して彼の抱えていた事情や思いを知ることになる。
ルーダヴィクも、オリヴィアに強く惹かれるのだけど、二人に横恋慕する従業員たちのせいで誤解が生じ、思いがすれ違い…
と、あらすじだけ拾うと身も蓋もない話のようだけど、背景には戦争体験者のPTSD問題や、アルコール中毒患者を抱える家族の苦悩、階級社会の軋轢など、重い事情がふんだんに詰め込まれている。たぶん原作は社会派小説的な面もあるのだと思う。
日本の女性向けの恋愛ラノベやマンガに、そういった社会問題がストレートに盛り込まれることは少ないように思う(全くないわけではないけど)。そういう意味でも、ハーレクインは大人の読み物として確立されたジャンルなんだろうなと思う。