kindleの読み放題サービスで拾い読みしたマンガ作品のメモ。
ハーレクインコミックは、いろんな作品が期間限定で読み放題リストに入るようで、未読のものを見つけるたびに、片っ端から読んでいる。
いつも読みっぱなしでメモも取っていないから、何冊くらい読んだのかわからない。セールで激安(100円未満)になっている時に購入して読んだものも入れると、たぶん目眩を起こすような冊数になっていると思う。
自分のやっていることを把握できていないというのは、気持ちの悪いことである。今後は読むたびに、可能な限り、ここにメモしておくことにする。
ついでにエントリーのカテゴリーに「マンガ」と「ハーレクイン系」というのを立てておこう。
さて、どれくらいの冊数になることやら。(ちょっと知るのが怖くもある……)
「未婚の花嫁」
(みなみ恵夢、エマ・ゴールドリック原作)
ヒロインは、雑誌のライターとして不本意な記事を書かされることにストレスを感じている、長身の独身女性。
美しい人でありながら、大柄な体躯を生かしてさたパンチを繰り出すと、男性でも怯えて逃げるほどの迫力もある。
休暇を利用して、自分の書きたい作品を書くために、離島にある自分の別荘を訪れたヒロインは、見ず知らずの、弁護士だという男性(若くてイケメンなのはお約束)とその息子(8歳)に、不法侵入扱いされて、喧嘩沙汰になってしまう。
落ち着いてから、お互いの事情を照合したところ、ヒロインの大伯母が、別荘の所有者であるヒロインに無断で、その親子に別荘を貸し出してしまったことがわかった。
二人を追い出そうにも、島を出る船をすぐには用意できず(別荘のボートを息子が海に流してしまっていた)、男性が大伯母と交わした正式な賃貸契約書を盾にとって裁判を起こすとまで言いだしたため、ヒロインは仕方なく当面の共同生活を受け入れることになる。
暮らし始めてみると、男性の息子はヒロインに急激に懐いたものの、夜になると、別れた母親を探して夜泣きするなど、情緒に深刻な問題を抱えていることがわかる。
母親という人物は、男性の預金を全て引き落として、息子とともに家出したあと、まともに育児をしていないにも関わらず、膨大な養育費を請求し続けているのだという。
そのため男性は法的手段に訴えて、長く生き別れになっていた息子を引き取り、親子関係を築くために、離島の別荘を借りたらしい。
ヒロインと男性は、自然に惹かれあい、息子を囲んで家族のように打ち解けて過ごすようになるけれど、男性が自分のプロフィールをはっきり明かさないこともあって、女性としての魅力に自信のもてないヒロインは、将来性のある関係になれると思えず、どうしても心に壁を作ってしまう。
そんな中途半端な状態のところに、パパラッチがボートに乗って押し掛けてきて、男性とヒロインとの恋愛スキャンダルを暴こうとする。
男性は実は著名な議員で、男性の元妻と結託したパパラッチが、居場所をつかんだらしい。
パパラッチに執拗に迫られたヒロインは、離島の海岸にあった古い大砲をパパラッチのボードに向けて、脅しのために空砲をぶっ放す。
ところが砲身に残っていた砲弾が転がり出して、ボートに着弾し、沈没させてしまう。恐れをなしたパパラッチは、沖にいた船まで自力で泳いで逃げ帰っていった。
そんなゴタゴタのなかで、男性の息子はヒロインに自分の母親になってほしいと願い、男性もそうしたいというのだけど、どちらも言葉が足りなかったため、ヒロインは、男性が元妻と復縁するつもりだと思い込んでしまう。
話がこじれたところに、パパラッチが再び押し掛けてくる。今度は大勢の記者たちを引き連れてきたため、男性は記者会見を開かざるを得なくなる。
スキャンダルによる政治的失脚を回避するために、男性はヒロインとの偽装結婚を提案。
気の進まないヒロインに強引に同意させて会見で報告しただけでなく、偽の結婚式まで上げてしまう。
自分を利用できるだけ利用しようとする男性の心無い仕打ちに傷ついたヒロインは、結婚パーティーが始まる前に島を出て行く。
実家に戻ったヒロインは、男性親子と自分とのダブルブッキングが、実は、大伯母と母親が、婚期を逃しそうなヒロインのために仕組んだ婚活イベントであると聞かされる。
さらにヒロインの元に、結婚式を挙げた牧師から、本物の結婚証明書が届く。偽装結婚に利用されたと思い込んでいたヒロインは、そこで初めて男性が自分と本当に結婚するつもりだったことを知る。
あわてて男性の自宅に行ったヒロインは、そこで、息子を拉致しにきた元妻と遭遇。元妻は別の男性と既に再婚していたけれど、養育費を引っ張るために、息子を連れ去るつもりだったのだ。
事情を察したヒロインは、元妻とその再婚相手に殴りかかって撃退し、息子を守る。その後、州議会に乗り込んで、政敵と論戦中の男性に喧嘩を吹っかけて正式にプロポーズさせて、政敵たちの祝福の拍手を浴びながら、結婚を本物にするのだった。
……
短いマンガのなかに、ものすごくいろんなことが超圧縮して詰め込まれているので、読んでいて目が回りそうだった。
そのあたり、コミック化した漫画家さんのご苦労が偲ばれる。
面白いかと言われれば、まあ面白かったと思うけれども、なんだかヒロイン以外の周囲の人々の常軌を逸した強引さが、不愉快ではあった。
まず、ヒロインの叔母と母親。
本人に無断で、見ず知らずの子持ち男性と離島に押し込めて結婚を期待するとか、ありえない。ペットや家畜の交配じゃあるまいし、非常識すぎる。ましてこの男性は、元妻に高額な養育費を取られ続けている上に、マスコミにスキャンダルを嗅ぎ回られるようなセレブでもある。将来は田舎で穏やかな家庭を持ちたいというヒロインの願いから、完全にズレた人選である。
実の息子を金づるとしか思わない元妻は、ほとんど犯罪者レベルだけれども、その元妻との関係をきっちり清算せず、ヒロインに偽装結婚と思わせたまま本当に結婚してしまう男性も、社会人としても夫としても、ダメすぎる。
おまけにこの男性、結婚式から逃げ出したヒロインを追いかけもせず、連絡すら入れないまま、さらには元妻による連れ去りの危険のある息子の安全すら確保せずに、仕事(議会)に逃げていたのである。ヒロインは、息子の親権を取った上で離婚しちゃっていいと思う。
たぶん原作小説のほうではもう少し納得のいく書き込みがあるのだろう(と思いたい)。