湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

kindle unlimited(読み放題)で読んだ本のメモ

 

定額の読み放題サービスで安く読ませていただいた作品には、できるだけ感想を書くことにしている。

 

こんな辺境のブログに感想を書いても、たいして恩返しにも応援にもならないだろうけど、お話を書いてくれる人がいなければ読めないのだから、物語中毒気味の読者としては、ささやかなお返しがしたいのだ。

 

とはいうものの、ここのところ読む数が多すぎて、書くのが追いつかない。書き物の瞬発力が無くなっているのを感じる。歳のせいにせずに(歳だけど)できるだけ頑張ってみる。

 

 

「敵国王子との政略結婚は一途な初恋に染められる」(日野さつき 著  夢中文庫プランセ)

 

ヒロインを始めとした王族の人々の苦労人っぷりが凄まじすぎて、ある意味泣けるお話だった。

 

敵国同士の王子と王女が、互いの素性を知らないまま、難民キャンプ的な村で知り合い、終戦ともに生き別れになったものの、和平のための政略結婚で国王夫妻となったあとに、配偶者が実は初恋の相手だったと分かってアッと驚く、というところまでが前半。

 

新郎新婦は結婚初夜が済むまでは絶対に会話してはならないという、意味不明の王家のしきたりがあったのと、初夜以降、国王が王妃をガン無視して会わなかったせいで、お互いが初恋の相手だと確認できるまで、呆れるほど時間がかかってしまう。

 

王妃のほうは、初日に相手に気づいていたので、頑なに妻に会おうとしない国王にせっせと手紙を書くなどして、あの手この手でアピールしたのに、国王はその手紙すら無視して封も開けていなかった。

 

いくら初恋の相手に心を残していたとしても、国情も安定しない自分の国に、平和のために身一つで敵国に嫁いできた王妃に対して、あまりに大人気ない仕打ちだったので、読んでいて、国王への評価は下落する一方だった。恋愛に一途なら許されるというものではないと思う。もしも国王がそのまま王妃を無視し続けていたら、最悪、そのまま二人とも暗殺されて国が滅んでいたのだから、なおさらである。

 

で、ようやくお互いが求めていた最愛の人だとわかった途端に、国王夫妻が乗っていた馬車が襲撃されるという事件が起きる。乗っていたのは替え玉だったので、国王も王妃も無事だったのだけど、暗殺の危険を感じた国王は、数少ない支援者の力を借りて、王妃とともに身を隠すことに。

 

国王のそういう行動力は評価できるけれども、ラストで黒幕が明らかになったのと同時に、国王の人を見る目の節穴っぷりも露呈するので、差し引きすると、評価はやっぱりマイナスになる。

 

しかも、黒幕による市民の弾圧を直前で防いだのは、王妃の母国から軍隊を連れ戻った乳母だし、黒幕の正体を暴いたのは国王の母親だった。

 

国王、ほとんどいいところがなかった。(´・ω・`)

 

あ、長い難民生活の影響で修理とかが得意なのと、石投げの名人という長所はあったけど、ヒーローたる国王の特技としては、ちょっとショボいかもしれない。

 

騒動がおさまってすぐに、王妃の妊娠がわかって(そこだけは王様頑張った)、喜びのうちに物語は終了。

 

ダメな国王だったけど、きっと今後は王妃のお尻に敷かれながら、それなりに成長していくのだろう。

 

 

 

「女嫌い将軍と政略結婚した、見せかけの悪女です」「木下杏 著  夢中文庫プランセ)

 

 

ヒロインは男漁りの激しい妖艶な悪女というゴシップの絶えない女性だけど、表紙絵の顔を見ると童顔で、とてもそういう悪女と思えない。

 

で、物語の中でもやっぱり堅実で純情な女性だった。

 

女嫌い将軍のほうは、本気で女性が苦手だったものの、そうなった原因は最初の婚約者が事故物件レベルの性格破綻者だったせいなので、ヒロインの人となりを直接知ってからは、愛情深い夫兼最強のボディガードとなってしまう。

 

将軍の最初の婚約者が敵国に買収されてハニートラップを仕掛けようとしてくるなど、多少の波乱はあったものの、あっさり撃退して終了。

 

ヒロインの悪評の元凶だった、ワガママな姉との絡みが全くなかったのが、ちょっと残念だったかも。

 

 

「ドS様なんかいりません! 売れ残りそうなので密かに婚活したら地雷踏んだようです」(しき 著)

 

 

別の小説のスピンオフ作品らしいのだけど、元の作品を知らなくても楽しく読めた。

 

タイトルが説明している通りのお話。

 

ただ、ヒロインがうっかり地雷を踏んだのではなく、もともとヒロインを狙ってやってきた追尾型のドS爆弾だった。

 

感情を外に出すのが苦手なヒロインは、貧乏貴族である実家を支えるために、領地を離れて王城で働いていたけれど、仕事ができすぎるせいで周囲の男性たちに酷く疎まれ、同性の親しい友人もいなかった。

 

職場で陰口ばかり叩かれるような寂しい暮らしも、幼馴染でもある他家の青年と政略結婚するまでと思っていたのに、自分の妹がその青年と結婚して家を継ぐことになってしまう。

 

このままでは独身のまま人生が虚しく終わってしまうと思ったヒロインは、思い切って王都の婚活パーティーに出てみることにした。

 

職場の知人のいないパーティーであれば、よい出会いがあるかもと期待していたのに、なぜか会場には、王太子の有能な補佐官として知られる高位の貴族男性がいて、女性たちの注目を一身に集めていた。しかもその男性は、王城でほとんど面識のないはずのヒロインを目ざとく見つけて、婚活を妨害したばかりか、執拗に底意地の悪いことを言って絡んでくる。

 

実はその男性は、思いをかけた女性をわざと泣かせて愛でるという、ドS気味の愛情の持ち主で、 王城では冷徹な女性として知られるヒロインが、本当は泣き虫で感情豊かな女性であることを知った上で、婚活会場で捕獲すべく出向いてきたのだった。

 

いじめて泣かせはしても、決して心を傷つけることはしないドS男性に、ヒロインが心を開くのは早かった。

 

ただ、二人が結ばれるまでの道のりには、それなりに邪魔者がいた。

 

仕事をせずにヒロインの陰口を叩いたり、パワハラしてくる職場の男性たち。

 

ドS男性の玉の輿を狙って、ヒロインを社会的に排除しようとする悪役令嬢。

 

そうした邪魔者たちが、ドSな恋人によって次々と粛正されていく。ハラスメントな男性たちはいつのまにか左遷されて消えていった。悪役令嬢の末路は書かれていなかったけれども、ドS男性の台詞から推察するに、家ごと根絶やしにされたのではないかと思う。

 

ラスボスはヒロインの実の妹だった。

 

ラノベの世界では、姉の縁談を妬んで横取りしようとする無邪気で可愛い美人の妹というのは、わりと定番的な敵役だけれども、この作品の妹も、なかなか不快度の高いキャラだった。

 

遠い先祖が持っていたという、危険な洗脳魔術が隔世遺伝していた妹は、魔法の力で姉を排除して、ドS男性を自分のものにしようとしたのだ。

 

もっともラスボスといっても、だいぶ小物だったので、あっけないほど簡単に、ドS男性に撃退されて終わってしまう。

 

結婚相手にも職場環境にも恵まれないキャリアウーマンにとってのスーパーヒーローが、恋人をいじめて泣かせるのが趣味のドSでいいのかとも思うけれども、涙を流すことはストレスの解消に効果的だともいうから、これはこれでアリなのかもしれない。

 

ただこのヒーロー、王太子にこき使われてワーカホリック気味なので、過労死がちょっと心配だった。