湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

Kindle Unlimited(読み放題)乱読日記

 

「強面将軍の旦那様、田舎育ちの花嫁をやさしい愛で守り抜く」(なかゆん きなこ 著)

 

タイトル通りの、素直なお話だった。

(そして変態は出てこなかった)。

 

ヒロインのリリーは使用人と駆け落ちした伯爵家令嬢の遺児だった。最愛の両親を流行病で亡くしたあと、祖父である伯爵に引き取られ、政略結婚の駒として、救国の英雄として名高い侯爵との縁談を強要される。

 

リリーと婚約したシルヴェスター将軍には、女性を虐待する変態男色家という噂があり、国中の貴族女性に避けられていたのだけれども、実際に会ってみると、リリーの気持ちを気遣ってくれる、まっとうな人物に思えたため、リリーは結婚に同意する。

 

短い婚約期間を経て侯爵家に嫁いだリリーは、夫のシルヴェスターが、使用人たちにも慕われる、愛情深い男性であることを知り、ついでにサディストでも男色家でもないことを確認し、自分も心を寄せるようになる。

 

ところが、リリーと侯爵の仲睦まじい姿を見て、自分たちが嫌がって逃した獲物の価値を今更知った貴族令嬢たちは、リリーを離縁させて自分が後釜に座ろうとして、リリーを虐めるようになる。

 

そんな中、社交界の花と謳われるパトリシアだけが、夜会で令嬢集団にいびられるリリーをかばってくれたため、リリーも彼女を信頼するのだけど、夫のシルヴェスターは、なぜかパトリシアを毛嫌いして、リリーから遠ざけようとする。

 

やがてリリーは、夜会で知り合った令嬢たちに、パトリシアとシルヴェスターが、かつて相思相愛の婚約関係だったという噂を聞かされ、さらには、父親の反対で泣く泣く結婚を諦めたパトリシアのために、リリーが離縁して侯爵家を去るべきだとまで言われるようになる。

 

さらに、出かけた先でシルヴェスターを探していたところ、パトリシアがシルヴェスターらしき風貌の男性と抱き合っている場面に遭遇してしまう。

 

リリーが事の真偽を夫に確かめられずに悶々としていると、シルヴェスターが仕事の多忙を理由に、あまり家に寄り付かなくなった。ところがリリーが職場に差し入れを届けたところ、夫は休暇を取って出勤していないという。

 

なすすべもなく深まりゆく疑惑に耐えきれなくなったリリーは、両親の墓のある村を訪れたいと夫に申し出たところ、夫はなぜか血相を変えてリリーの外出を一切禁じてしまう。

 

……そこから先、多少すったもんだするものの、意外にあっさり「ザマァ」なクライマックスがやってくる。

 

シルヴェスターと泣く泣く別れさせられたという令嬢パトリシアは、強面すぎるシルヴェスターとの政略結婚を嫌ったものの、格上の家からの縁談を断りやすくするために、社交界でシルヴェスターが変態の男色家だと言いふらして、わざと評判を落としていたのだ。

 

シルヴェスターは、元からパトリシアの腐った性根を知っていたので、彼女がリリーに悪辣な攻撃をするのではないかと警戒していたところ、案の定、リリーを誘拐して殺害する計画を立てていたことが、パトリシアの侍女のタレコミによって発覚。

 

ゴロツキを雇った悪事が行われる前に全て片付けた上で、シルヴェスターは、大勢の貴族を集めた夜会で、パトリシアの悪行をすべて本人に語らせることで晒して、社会的に亡き者とすることに成功する。

 

そして二人は幸せな結婚生活を送るのだった。

 

ここのところずっと、悪役令嬢が実は素敵な令嬢だったというお話ばかり読んでいたので、パトリシアみたいな本物の悪役令嬢の登場が、妙に新鮮に感じられた。

 

 

 

 「獰猛な王は花嫁を愛でる」(佐倉紫 著 すがはらりゅう イラスト)

 

文武両道に秀でた16歳の姫君エルレインが、辺境国の野性味あふれるオズヴェルト王に嫁いで、活躍するお話。

 

初対面で胸の小ささを嘆いた王を、ブチ切れた王妃がぶん殴ってはじまった結婚生活は、最初から最後まで波乱万丈だった。

 

まだ法律の制定もできていない新興国だったため、エルレインは新婚早々ブレインとして国政に参加することになる。傭兵国家であるため、近隣で戦争が起きれば、新婚早々王自ら援軍として出陣する。

 

クライマックスでは、王妃の毒殺未遂に続く誘拐殺人未遂と、かなり物騒な展開になる。エルレインは危うく殺害される寸前だったけれども、ギリギリのところで王が単身で救出にかけつけ、敵勢力をなぎ倒す。つかまった反乱部族の長は、新婚のエルレインが一心不乱に作り上げた法律によって、厳重に処罰され、終了。

 

こうしてあらすじを書くと、色気も何もなさそうなお話であるし、実際政治に軍事と、夫婦生活を送るヒマもなさそうな状況なのに、甘いシーンのページ数がやたらと多いのはなぜなのか。

 

 

イラストの、すがはらりゅうというお名前が記憶にある。

かれこれ10数年前に読んでいたラノベのイラストを描いていた人だったような。そのころは「すがはら竜」という表記だったようにも記憶している。なんだかなつかしい。

 

昔読んでいた作品は、Kindle Unlimited(読み放題)に登録されているものも多いようだ。たくさん手放してまったので、探しながら再読してみようかと思う。