湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

「小説家になろう」で読んだ作品の感想メモ

ろくでもない「聖女」が出てくるお話を、二つ続けて読んだ。


「婚約破棄された悪役令嬢は本物聖女の下仕えをさせられますが、むしろ喜んでお仕えします。いや、こんなはずじゃなかったと言われても困りますけど?」(つるこ。 著)

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9852hy/

 

わりと王道な婚約破棄ざまぁ系作品。全6話。

 

フェリーチェ・クレメンスは、アレクサンダー王太子に冤罪を着せられた上で婚約破棄され、王太子の新しい婚約者であるリリアの下仕えとして王宮で働かせられることになった。

 

未来の王妃の座を略奪できたリリアは大喜びしたけれども、婚約破棄されたフェリーチェはそれ以上に喜んでいた。なぜなら、王太子の婚約者としての生活は、ほぼ拷問ともいえるしきたりに雁字搦めにされたものだったから。

 

着替え一つにも膨大な手間がかかり、肉体的苦痛が半端ない王族の生活に、リリアは一日も持たずに根を上げて、勝手に婚約破棄したことで廃嫡された元王太子ともども、辺境の修道院へ送られてしまう。

 

未来の王妃の座からもリリアの下仕えからも解放されたフェリーチェは、自由になってめでたしめでたし……というわけには行かず、結局王家に絡め取られる未来が待っているようで、そこがちょっと残念だった。

 

着替えに手間がかかるというのは、江戸時代の殿様も似たような感じだったと、何かで読んだ覚えがある。

 

たしか、身体を布で擦るのが不吉とか不敬とかいう理由で、風呂上がりに濡れた身体を拭くとこが許されず、浴衣を何枚も脱いだり着たりすることで、水気を取るとか……

 

情報のソースが思い出せない(ググっても見つからない)のだけど、高貴な人生も大変だなと思ったのを、この作品を読んで思い出した。

 

 

「聖女の姉ですが、妹のための特殊魔石や特殊薬草の採取をやめたら、隣国の魔術師様の元で幸せになりました!」(かのん 著)

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9580hx/

 

性格の捻じ曲がった妹に搾取され続けていた姉が、自分の人生を取り戻す物語。全33話。

 

主人公のシェリーは、国の聖女である妹を支えるために、採取者として薬草や魔石を集める仕事をしていたけれど、親に完全にスポイルされて育っていた妹のアイリーンは、シェリーに感謝するどころか、自分に尽くすのが当然の奴隷ぐらいにしか思っておらず、正当な報酬も渡さないまま酷使し続けていた。

 

ところが、自分の婚約者の王子が姉を妾にしたがっていることを知ったアイリーンは、皆に内緒で姉を追放してしまう。

 

妹に追い出されたシェリーは、旅の途中で隣国の高名な魔術師と出会い、彼の専属採取者として働くことになる。

 

隣国ではシェリーの名前は天才採取者として知れ渡っており、自国とは比べものにならない高待遇を受けるのだけど、妹のための奴隷働きを当然と思って生きてきたシェリーは戸惑うばかり。

 

一方、支援してくれていた姉を追い出したアイリーンは聖女の力を発揮できなくなり、婚約者の王子にも顧みられなくなったことから、姉への逆恨みを募らせていく…

 

魔術による致死的な呪いよりも、家族によるマインドコントロールのほうが、はるかに解呪に手間がかかっていたのが印象的だった。

 

 

(_ _).。o○

 

 

異世界ラノベでよく登場する聖女は、高度な癒しのスキルを持った稀有な存在でありながら、上の二作品のように性格に甚だしい難があったり、逆に善良すぎて迷惑な物件だったりと、状況を引っ掻き回す役で出てくることが多いように思う。そして末路は幽閉か、酷使された挙句の早世。

 

聖女が主人公のお話だと、前世から凄まじい苦労人だったり、拉致同然の異世界召喚をされた挙句、冤罪で国外追放されたり、身体を張って世界を救わなくちゃならなかったり……やたらハードモードな展開が多い。

 

悪役令嬢ものも、命懸けで断罪回避するお話が多いけれども、全体として聖女の人生のほうが過酷な気がする。

 

なんでだろう。

不思議だ。