湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ラノベ読書日記・世知辛異世界転生記

こんにちは。

 「世知辛異世界転生記」(池崎数也 著)を読んだ。

 

Amazon unlimited(読み放題)の対象作品になっているシリーズで、現在2巻まで出ている。

 

 

まだ出ていない3巻以降の物語は、「小説家になろう」サイトで読むことができるようだ。


(以下ネタバレを含む感想。←これを表記しておくのが作法らしいと最近気づいた〕

 

前世で社畜のように働いて過労死した主人公は、基本的人権労働基準法も存在しない、文明の遅れた異世界農奴の息子、レウルスとして転生してしまう。

 

3歳で両親を失い、村人たちの監視のもと、満足な食事も与えられずにこき使われながら、なんとか15歳まで生き延びたものの、レウルスの分の人頭税を払うのを惜しんだ村の意向で、鉱山奴隷として売り飛ばされてしまう。

 

ところが、鉱山へ運ばれていく途中、レウルス一行は魔物が襲われる。レウルスは逃げ出したけれども、護送していた騎士たちは、魔物の餌食になって全滅。

 

はからずも自由の身になったレウルスは、数日がかりで魔物の住む森を抜けて、堅牢な防壁に守られた大きな街にたどり着いた。けれども、街の守衛は身分証明のできないレウルスを保護することなく追い払った。それでも飢え死にしそうなレウルスを哀れんだのか、防壁の外にあるラヴァル破棄街に行けば、生き延びられるかもしれないと教えてくれる。

 

破棄街は、ラヴァルの街が魔物に襲われたときのための囮として、市民権を持たない人々が身を寄せ合って暮らすことを許されている場所だった。

 

レウルスは転生者だけれど、親に早く死なれて教育も受けていないため、チートスキルどころか、まともな生活スキルすら持っていなかった。異世界では身体機能向上スキルの発動にかかわるという魔力も皆無。

 

けれども、持ち前の義理堅く誠実な性格と、前世の記憶に影響された知性的な振る舞いのせいで、廃棄街の人の目にはただ者ではないと見えたのか、冒険者として受け入れられることになる。

 

この廃棄街にたどり着くまでのレウルスの人生は、まるで第二次世界大戦後の日本兵のシベリア抑留や、泰緬鉄道建造での日本軍による捕虜虐待なみに凄惨で救いがない。

 

絶え間なく心身に加えられ続ける虐待と侮蔑に耐えながら、雑草や虫を食らって飢えをしのぎ、同じ境遇の幼い仲間たちの死骸を、深夜に一人で埋葬させられる生活が、やっと終わったと思ったら、奴隷として売られ、魔物に襲われ、命からがら逃げ延びたのに、餓死寸前にたどり着いた街で門前払い。キツすぎる。

 

それで、あやうく途中で読むのをやめそうになったけれども、廃棄街に受け入れられ、守るものができてからのレウルスは、少しずつ、自分でも気づいてきない、本来の力の片鱗を見せるようになる。

 

絶え間ない飢えに苦しんで育ってきたレウルスは、木の根だろうが虫だろうが、食物として口に入れ、血の滴る魔物の内臓をナマで食べる。にも関わらず、食中毒にならず、腹痛も起こさない。その上、常軌を逸した大食いでもある。不味すぎて誰も食べないキメラの肉を、何人分でも平らげる。

 

そうして食べたものが、レウルスの体内で魔力に変換されているらしいことが、2巻目で明らかにされる。

 

 

レウルスが時折思い出す前世の記憶は、異世界で暮らすためには全く役に立たないものばかりだけれども、その中に、同棲していたらしい彼女との不幸な経緯があった。

 

その彼女は料理好きだったらしいのに、前世のレウルスは、食卓に並んだ料理をひっくり返し、持たせられた弁当を職場のゴミ箱に捨てていた。原因は、彼女の料理が壊滅的に不味かったかららしい。コメを洗剤で洗っていたという彼女とは、過労死する直前に別れたようだけど、メシマズの苦行に耐えていたことや、彼女との関係性も、もしかしたら死因の一部でもあったかもしれない。

 

その前世の経緯と、転生後のレウルスが飢えに苦しんで不味い魔物や虫を喜んで食べることとが、どう繋がってくるのかはわからないけど、無関係とも思えない。

 

さて、3巻目が出るのが待ちきれないので、続きは「小説家になろう」で読むことにする。

 

でも、3巻以降も、読み放題で読めるといいなとも思う。

 

横書きの「なろう」よりも、書籍化された縦読みテキストのほうが、読みやすいのだ。書籍化に当たって作者さんがきちんと手を入れておられるからかもしれない。