アマゾンに頼んでた小説類やマンガがどっさり届いた。
それとは無関係に、なぜかふと、映画「ベニスに死す」のことを思い出した。
死臭や便臭の漂っていそうな疫病の町。老醜に沈みかけた音楽家。
ビヨルン・アンドレセンは、羽化したばっかりの透き通った虫みたいに見えた。
ずいぶん前に見た映画の情景を、脳内でぼーっと再生していると、繰り返し現れるのは、音楽家アッシェンバッハの化粧がどろどろと剥げてくるシーン。美を求めつづけた結末が化粧ドロドロの死というのは、どうなんだろう、とか考える。
ヴィスコンティの映画で見たのは、これと、「神々の黄昏」「家族の肖像」だけ。
極端な美と醜悪。それらを全部吸い込んで終わる死。
何がいいんだろうと思いながらも、何年たっても忘れない映画たちだ。