湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

先月Kindleで読んだ本(2022年10月)

先月は斜め読みした本が多くて、感想メモを書ききれていない。思い出した分だけでも書いておく。

 

※ネタバレも含むので、お気をつけください。

Kindle Unlimited(読み放題)利用と書いている書籍については、今後読み放題期間が終了する場合もあるので、ご注意ください。

 

悪の華道を行きましょう」(やましろ、梅太、真冬日

 

 

(このシリーズは、一話ずつバラ売りになっているものと、数話まとめて一巻としているものがあるようなので、Kindle版購入時には注意が必要です)

 

以前から気に入っていて、単話売りの最初の数話を購入していたのだけど、知らないうちにずいぶん巻数が増えていた。

 

悪役令嬢の異世界転生ものにあたるのだろうけど、転生要素を感じるのは最初の一話くらいで、その後は異世界の事情メインでお話が進んでいく。

 

主人公は王太子の婚約者だった令嬢セレスティーヌ。傲慢な性格だった彼女は、王太子が寵愛する男爵令嬢が気に入らず、なにかと虐めていたところ、余計な罪まで着せられて婚約破棄された上、父親ほどの年齢の醜く太ったバーコード頭の腹黒宰相と、無理やり結婚させられてしまう。

 

ところが、宰相との結婚式の真っ最中に、セレスティーヌは前世の記憶を取り戻す。

 

彼女は、日本人だった前世で父親を早く亡くしたためか、年上の男性にしかときめかず、メタボもハゲも大好物、加齢臭は最高の媚薬という、コアな「枯れ専」の女性だった。

 

そんなわけで、王太子の陰謀によって強いられた結婚だったはずなのに、セレスティーヌの新婚生活は幸せそのもの。

 

王太子の命令でセレスティーヌをいたぶるつもりだった宰相も、そんな新妻の純愛に絆されて、妻として深く愛するようになる。

 

陥れたはずのセレスティーヌが幸福に暮らしていることに苛立ったらしい王太子と男爵令嬢は、さらなる陰謀を企んでいたようなのだけど、宰相に察知され、徹底的に根回しした上で、二人まとめて他国のサディスティックな女王に売り飛ばしてしまう。めでたしめでたし。 

 

最新話の「悪の華道を贈りましょう」(単話売りの8巻と9巻)では、男爵令嬢とセットで他国の女王のオモチャ(何番目かの王配)として売り飛ばされた元王太子が、外交に訪れた女王に付き従って、帰国してくる。

 

かつてセレスティーヌを断罪してまで結ばれた男爵令嬢は、元王太子をさっさと身限り、女王の王配たちとの不倫に明け暮れているという。

 

女王にいたぶられるばかりの自分の境遇に絶望した元王太子は、セレスティーヌにすがってヨリを戻そうとするのだけど…

 

 

悪の華道というだけあって、セレスティーヌも宰相もかなり黒い性格なのだけど、その黒さをフルに発揮して、国に巣食う病理を正し、邪念を抱く小物を踏みにじり、弱者から搾取する悪人たちを滅ぼしていくので、読後感が小気味良い。

 

楽しいので、まだまだ続いてほしい。

 

 

甘岸久弥「魔導具師ダリヤはうつむかない〜今日から自由な職人ライフ」

 

Kindle版を購入。

 

小説家になろう」で連載中の作品の書籍版なのだけど、「なろう版」では明かされていないエピソードが追加されているので、ファンなら買って損はない。というか、買わずにはいられない。

 

登場するキャラたちが、キツい生い立ちや試練を抱えながらも、時折とびきり美味しいものを食べて、ひたむきに生きる様子を読むうちに、なんとなく元気が出てくるので、体調の良くないときには欠かせない作品。コロナ闘病中にも何度も読み返した。

 

主人公のダリヤは、現代日本人女性としての前世の記憶(死因はブラック企業での過労死)を持っているけど、そのことを誰にも明かさずに、現世の父親と同じ魔導具師として、日々研鑽に励んでいる。

 

ダリヤの父親は、物語が始まる一年前に病死していて、ダリヤは緑の塔と呼ばれる王都郊外の自宅で一人暮らしをしながら、同業者であるトビアスとの結婚の日を待っていたのだけど、新居に引っ越した当日に、トビアスに婚約破棄されてしまう。

 

破棄の理由は、真実の愛を見つけたからだと聞いたダリヤは、前世で読んだ異世界ラノベを思い出して吹き出しそうになるのを堪えつつ、淡々と事後処理を進めていく。抜き打ちの婚約破棄にショックを受けたものの、相手に縋りつきたいような感情もないことから、ダリヤは、自分が婚約者を愛していなかったことを悟る。

 

ビアスはダリヤの父親の弟子でもあり、二人の婚約は、お互いの父親の意向と打算で決められたものだった。

 

だから恋愛感情などはお互いに持っていなかったのだけど、トビアスはダリヤの魔導具師としての才能に引け目を感じていたため、何かにつけてダリヤを試すように負担を強いては、ダリヤが従ってくれることに安堵していた。

 

化粧をするな、地味な恰好をしろ、人前で二杯以上の酒を飲むな、その他いろいろのモラハラな欲求に、ダリヤは全てこたえたばかりか、仕事でもトビアスの助手のような立ち位置で、ひたすら自分を殺して尽くしていた。

 

二年間、そうして尽くしていたにも関わらず、結婚当日に捨てられたダリヤは、前世でもうつむいたまま死んでいったことを思い出し、もう自分を殺して生きるのはやめようと決意する。

 

その日から、ダリヤの人生は見事に開花する。

持って生まれた前世の記憶と、心の痛みを持つ人々への思いやり深い心を生かすことで、魔導具師としての才能が大輪の花を咲かせ、大勢の人々を巻き込んでいくことになる。

 

ダリヤにも婚約破棄後に恋愛的な出会いはあるものの、本人が恋愛に懐疑的なため、全く進展しないまま経過していく。

 

お相手のほうも、極度の女性不信を抱えている上、ダリヤとの身分差も大きいため、双方ともに全力で「お友だち」でいようとするので、ゴールインを期待して見守っている周囲の人たちは、けしかけては落胆するというのを繰り返している。

 

先月は、自分への誕生日プレゼントのつもりで、最新刊の第八巻までと、コミック版の最新刊(´Д` )でを一気に購入。

 

何度も何度も読み返しているので、元は十分取れれていると思っている。

 

 

 

 

「校註 金塊和歌集」(源実朝 佐々木信綱)

 

Kindle Unlimited(読み放題)で利用した書籍。

 

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出てきた源実朝の和歌を調べるためにダウンロードした。(紙の本を持っているのに、見つからなかった…)


残念ながら現代語訳や解説はない。

巻末に類句索引があって、言葉から歌を逆引きできるようになっている(リンクで飛べるので、ちょっと便利)。

 

実朝の年譜も掲載されているけれども、「吾妻鏡」の本文を参照・引用して作られているので、当然、全部古文になっている。

 

というわけで、一般向けとは言い難いけど、歌を確認するには便利だった。

 

 

柴田宵曲「明治風物誌」

 

 

Kindle Unlimited(読み放題)で利用した本。

 

まだ一部を読んだだけだけど、面白いエピソードがいろいろ掲載されている。

 

夏目漱石が洋行の際に万年筆を贈られたのだけど、船の中で器械体操をやったときに壊してしまって、使っていなかったとか。

 

正岡子規は、膨大な原稿やハガキに至るまで、すべて毛筆で書いていて、生涯ペンを使わなかったらしいとか。

 

眠れない夜の読み物に、ちょうどいい。

 

 

クレイン「ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない」

 

Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。

魔法使いのララは、竜に捕食される寸前に身体を石像化して、竜の寿命が尽きる20年後に石化が解ける魔法を使った。

 

ララの愛弟子であるアリスティア少年は、恋い慕う師匠の仇の竜を倒し、石像のララを回収したものの、石化を解く方法を見つけることができないまま、石像を着飾らせて愛でルーテルことで孤独を癒す月日を送り続けた。

 

20年後、ララの年齢を超えてしまったアリスティアは、凄腕の魔法使いでありながら、石像しか愛せない特殊な性癖の持ち主として、広く世間に知られるようになっていた。

 

そこに、石化が解けた最愛のララが出現したものだから、アリスティアの20年分の病んだ偏愛が暴走し、ララにとってとんでもない事態が巻き起こることになる…

 

……密猫文庫には、なんというか、色々とヤバいお話が多いというのを、うっかり忘れていた。面白かったけど、以後気をつけよう。