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60 結婚こそが現実入門
女性は、いやもっと端的に言えば結婚は、
おまえが対決しなければならない実人生の代表である。
カフカは三回婚約して、三回とも自ら婚約解消したのだという。
最初の婚約者であるフェリーツェには、五年に渡って、全集二冊分にもなる膨大な手紙を送りつけるほど依存していたにもかかわらず、どうしても結婚に踏み切れなかったらしい。
なお、フェリーツェのほうは、カフカと別れた後、お金持ちの実業家と結婚し、子供も二人できました。
フェリーツェと実業家との結婚が幸福なものだったかどうかは分からないけれども、彼女の親は、娘がカフカと結婚せずに済んだことに、たぶんホッとしたことだろう。(´・ω・`)
実人生の代表との対戦に敗退したカフカの言葉から、著者の頭木氏が想起したのは、現代短歌を代表する歌人だったらしい。
歌人の穂村弘が書いた『現実入門』(光文社文庫)という本が思い出されます。
その本のコピーにはこうあります。「『現実』を怖れ、逃げてきた男が、四二歳にして初めて挑む。やるぞ、献血、合コン、部屋探し、そして遂にプロポーズ!」。
四十二歳というと、私は末っ子を産んだ年だ。
現実、ヘビィだったなあ……