湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

昨日買った本…「絶叫委員会」穂村弘

 

穂村弘「絶叫委員会」

 

穂村弘という人の本を書店で手に取って中を見てしまうと、買わずに帰るのが難しい。だから家に何冊もあるし、Kindleの中にもあるけど、たぶん一冊も読了できていない。

 

短い章を一つ読んだだけで、頭も気持ちも満足してしまって、そこを踏み台にしていろいろ思い巡らすからだと思う。

 

倉橋由美子又吉直樹の小説以外の本も、似たような事情で読了した本が少ない。たぶん私の頭はあまり読書向きじゃないのだろう。

 

「絶叫委員会」という強烈なタイトルにふさわしく、ぴらりと開いたページには、こんな太字の一行があった。

 

「バーベキュー、バーベキューって何回やっても駄目なんです!」

 

頭が素直な私は、アウトドアな集まりで、バーベキューのセットに致命的な不具合を引き起こすことを繰り返すために困窮している人を想像したけれども、違っていた。

 

会社の勤怠用データ管理システムにアクセスするためのパスワードが各人に配布され、この女性社員は「barbecue」という文字列をもらったのだけど、設定側のミスで「barbeque」になっていたため、「何回やっても駄目なんです!」という状況に陥って、パニックになっていたのだという。

 

 

心の底から気の毒に思う。(´・ω・`)

 

でも歌人が注目したのは、その社員の窮状ではなく、

 

「バーベキューってやる」

 

という言い方への違和感に、「パニック状態の切実感と狂気」を感じたからだという。

 

「バーベキューってやる」は、より状況に即した表現に置き換えるなら、

 

「バーベキューって入力する」

 

となる。バーベキューがパスワードだと知っていれば、「バーベキューってやる」は、特に問題ない言い方となる。

 

けれども、それを知らされていない総務部の課長(著者)が、システム部の女性社員に「バーベキューって何回やっても駄目なんです!」と叫ばれたなら、狂気を疑ったとしても仕方がないのだろう、とは思う。

 

でも私がその場にいたなら、おそらくは狂気とはとらえず、この章段を読み始めたときと同じように、その女性のバーベキューの練度が足りないせいだと思っただろうし、キャンプ指南の本や初心者向けホームページなどを検索して教えてあげたほうがいいのだろうかと、余計なお節介を画策し始めるのではないかと思う。

 

会社の就業時間中に、他の部署にやってきてバーベキュー行為の不具合について絶叫するというシチュエーションに対して、私はとくに異常性を感じない。そういうこともあるだろうと思うだけだ。

 

だって私の人生では、そういう人はそんなにレアではなかったら。自分も含めて。

 

 

短歌を作るのは好きだけど、何十年たっても、上達の気配はない。

 

私ように空気が読めない人間は、歌人にも向かないのだろう。

 

 

スサノオクシナダヒメが蛇肉でバーベキューする神話の認証

 

ねこたま