ここのブログの昨日のアクセス数が、おかしなことになっている。
今年の抱負と読書記録を書いただけで、いきなり2000超って何???
理由が分からなくて怖すぎる。😱
ほとんど人が来ないことに甘えて、細かいことを気にせずに好き勝手書いているのに。
いままで一番多かったのは、新型コロナで入院していたときの闘病日記だったけど、あの時でも瞬間(一日)最大風速はせいぜい700程度だった。
どこかにリンクを貼られているのだろうかと思ったけど、そういうこともなさそうだし。
もしかして、「はてな」側の不具合だろうか。
きっとそうに違いない。
ということにしておこう。
(_ _).。o○
三石由起子「これで読破! 更科日記」源光社
一応、読了。
三石由起子氏の「これで読破!」シリーズは、Kindle Unlimited(読み放題)で利用できるものも多く、よくお世話になっているけど、この「更科日記」は読み放題ではなかったので、買い取った。
章段ごとに、原文と現代語訳、解説がまとめられている。
解説部分では、主に国文学者の犬養廉氏の講義録が多く引用されている。 国文学者で犬養というと、万葉学者の犬養孝氏を思い出すけれど、Wikipediaによると、その実弟とのこと。
「更科日記」執筆当時の歴史的背景や、菅原孝標女に関わってくる人物の素性や関係性、詠まれている和歌の本歌など、私に足りない知識が解説部分でふんだんに語られているので、調べ物に時間を取られずに読み進められて、大変にありがたい。
今回初めて「更科日記」を通読してみて、一番印象に残ったのは、当時の受領階級の、女性を伴う旅行の描写だ。
律令制では、国司の赴任時に通行する街道には、約16キロメートルごとに駅が設けられ、官吏や使者に食料と馬を提供することになっているけれど、この制度は平安中期には廃れていた可能性があるという。
天候悪化や、急な病気などのために、駅までたどりつけず、設備のないところで宿泊することも、きっとあったはずだ。
女性や幼い子どもなど、体力のない家族を伴っての赴任の場合、どうしていたのかと、ずっと気になっていたのだけれど、その答えの一部を「更科日記」で見つけることができた。
ふたむらの山の中にとまりたる夜、おほきなる柿の木のしたに、庵をつくりたれば、夜ひとよ、庵の上に柿の落ちかゝりたるを、人 〳〵ひろひなどす。
父親の赴任先だった上総国から都に戻る旅の途中、大きな柿の木の下に「庵」を作って泊まったという。
この「庵」は、簡単に組み立てられる仮設住宅のようなものだろうか。
上総国を発つときの描写に、
「年ごろあそびなれつるところを、あらはにこほちちらして、たちさはぎて」
とある。
「こほす」は、壊す、打ち崩すと意味の動詞。
それまで慣れ親しんだ家を、単に「あらはに」(中が丸見えになるまで)破壊して騒いでいるわけではなくて、旅先に持っていくために、御簾(みす)や几帳、「庵」の壁や屋根になりそうな建具などを取り外していたのかもしれない。
同じ上総国からの帰京の途上、足柄山の山麓に宿泊した時には、どこからともなく三人の遊女が現れ、歌などを披露したという。
麓にやどりたるに、月もなく暗き夜の、闇にまどふやうなるに、遊女三人、いづくよりともなく出できたり。五十許なるひとり、二十許なる、十四五なるとあり。庵のまへにからかさをさゝせて、すへたり。
「これで読破!更科日記」足柄山
この時も作者たちは「庵」を設置して宿泊したようだけれど、遊女が出てくるくらいだから、旅人の利用する野営地として、それなりの設備や地元の人手が近隣にあったのかもしれない。
作者が初瀬詣をしたときの道中では、見ず知らずの庶民の家に泊めてもらっている。
所はしたにて、「いとあやしげなる下衆の小家なむある」といふに、「いかゞはせむ」とて、そこにやどりぬ。
「これで読破!更科日記」 初瀬詣
「所はしたにて」(中途半端な場所であるために)、「みすぼらしい下衆の小屋」に仕方なく泊まったというのだから、「所はした」ではない場所であれば、しかるべき宿泊所があるのだろう。
「いとあやしげなる下衆の小屋」というのは、おそらくは、地元の庶民の自宅なのだろう。
頼んで泊めてもらった家に対して酷い言い草だけれども、貴族の住む寝殿造の屋敷に比べれば、どうしたってみすぼらしく見えたのだろう。
NHK大河ドラマ「光る君へ」では、まひろ(紫式部)が父の藤原為時の越前任官に同行していたけれど、道中の描写はあっさり流されていて、宿泊の場面はなかった。
越前までの旅程では、駅の設備がしっかりしていて、野宿の必要はなかったのかもしれない。
(_ _).。o○
「更科日記」とは関係ないのだけど、「これで読破!」シリーズの著者である三石由起子氏の人生相談の動画をYouTubeで見つけたので、聞いてみた。
奥さんにキレて箸とかちゃぶ台とかを投げつけたせいで逃げられたのに、いけしゃあしゃあと復縁を求めているという相談者(夫)が、三石氏の電話越しの覇気で調伏されている。
「これで読破!」シリーズの解説文を読んでいると、時々、妙な具合に風圧の強さを感じることがあるのだけど、この人生相談を聞いて大変に納得した。