今回は、「更科日記」で詠まれている、萩の葉と笛の音の歌について。
作者の菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)は、菅原道真から五代後の子孫だという。
上総介(かずさのすけ)だった父と義母と姉とともに赴任地(いまの千葉県)に下って暮らしていた作者は、1020年、父の任期終了とともに13歳(数え年)で都に戻り、伯母から贈られた「源氏物語」全巻を読み耽る少女時代を送る。
上総で共に暮らした義母は、元々は宮仕えをする女房で、帰京後に父親との夫婦仲が悪化したらしく、離婚して出て行ってしまう。
上総で暮らす間、物語について語り聞かせてくれた義母を、作者は深く慕っていて、離婚後も自分に会いに来て欲しいと手紙を送ったけれど、大人の事情があったのか、再会は叶わなかったようだ。
義母はその後、後一条天皇の中宮、藤原威子(道長の娘)に仕える女房となって、上総大輔(かずさのおおすけ)と呼ばれた。
「後拾遺和歌集」に、彼女の歌が一首ある。
「人にはかなきたはぶれごといふ」とて、うらみける人に
上総大輔
これもさはあしかりけりな津の国のこや言付くる始めなるらん
(これもさわ あしかりけりな つのくにの こやことづくる はじめなるらん)
後拾遺和歌集 巻16 雑二 959
【語釈】
- はかなし…ちょっとした、たわいもない。
- たはぶれごと…ふざけて言う言葉。冗談。
- うらむ…憎く思う。恨みごとを言う。
- さは…それならば。
- あしかり…「悪しかり」と「葦刈り」が掛けてある。
- 津の国…摂津国。今の大阪府北中部と、兵庫県南東部にあたる。
- こや…これはまあ、これこそ。「小屋」と掛けてある(津の国の難波には、葦刈りのための小屋が多かったらしい)
- ことづく(言付く)…口実にする。
【若干怪しい意訳】
うわ、今彼から、めんどくさいメール来た…
他の男とふざけて色っぽい冗談とか言い合ってるのを、浮気だって決めつけて、一方的にネチネチ恨みごと書いてきてるんだけど。
こういうのって、経験上、こっちが弁解すればするほど拗れるのよねえ。
ていうか、この人って、ネチネチ嫉妬するタイプじゃなかったと思うんだけど…
あ、もしかして、私が二股かけてるってことにして、私の有責で別れるつもりだったりとか?
ありそうだわー。
ネチネチ言われたのもムカつくし、こっちからバッサリ切ってやろうかな。
よし、返事書こう!
「はいはーい、バツイチでイケイケな悪女でーす! 悪いのはぜーんぶ私でございますわ。
てことで、もう終わりにしましょ。
破局記念に、今のあなたにぴったりの名言を教えてあげる。
〈お前が二股を疑う時、二股もまたお前を疑っているのだ〉
じゃあね、永遠にサヨナラ!」
はい返信。でもって着拒! 次行こ次!
(AIに描いてもらったイラストが超時空なことになってるけど、気にしないでください)
……
ここまで短気だったかどうかは分からないけど、堅実な第二夫人として家庭に生きるよりも、恋愛沙汰に事欠かない、華やかな宮仕えのほうが性に合う女性だったことが伺える歌だと思う。
社交的で機知に富み、宮仕えの事情にも詳しい義母は、幼かった作者の考え方や価値観に、大きな影響を与えたことだろう。
(_ _).。o○
義母との別離のあとにも、作者はつらい別れを経験している。
1021年、都で疫病が大流行し、上総にも同行して可愛がってくれた乳母が亡くなってしまうのだ。
愛する乳母を失った作者は、悲しみのあまり、一時は物語への憧れも見失うほどだった。
さらに、作者の憧れのお姫様だった、侍従大納言(藤原行成)の娘も、あっけなく亡くなってしまったという。
作者と同世代だった侍従大納言の娘は、藤原道長の息子である長家と、華やかなセレブ婚をして評判になったばかりだった。
乳母に死なれた悲しみにくれていた作者には、妻を失った長家の悲嘆が、他人事ではなく思われたようだった。
現実世界でのつらい別れと、物語世界への傾倒は、多感な少女の心に分け隔てなく吸い込まれ、晩年に彼女が綴る日記の糧となっていく。
……
1022年7月13日…
いまから千年ちょっと前、月の美しい夜空を眺めながら、仲のいい姉と二人で、とりとめもなく語り合っていると、隣家でちょっとした出来事が起きる。
その十三日の夜、月いみじくくまなくあかきに、みな人もねたる夜中許に、縁にいでゐて、姉なる人、空をつくづくとながめて、
「ただいま、ゆくゑなくとびうせなば、いかが思べき」
と問ふに、なまおそろしとおもへるけしきを見て、こと事にいひなして、わらひなどしてきけば、かたはらなる所に、さきをふ車とまりて、「おぎの葉、おぎの葉」とよばすれど、こたへざなり。よびわづらひて、笛をいとおかしくふきすまして、すぎぬなり。
笛のねのただ秋風ときこゆるに など荻の葉のそよとこたへぬ
といひたれば、げにとて、
荻の葉のこたふるまでもふきよらでただにすぎぬる笛のねぞうき
かやうに、明くるまでながめあかいて、夜あけてぞみな人ねぬる。
「更科日記」
【語釈】
先をふ…先払いをする。進行方向の邪魔なものをどかす。
かたはら…そば、隣。
萩の…秋の七草の一つ。
(動詞連用形)+わづらふ…〜するのに困る。難儀する。
(動詞連用形)+すます…集中してする。うまくする。
【意訳】
その月の(七月)十三日の夜。
月がとても陰りなく明るくて、家の人たちはみんな寝てしまった深夜に、一緒に縁側に出て座っていた姉が、夜空をしみじみと眺めて、
「いま、私がどこか分からない場所へ飛んで行ってしまったら、どう思う?」
と問いかけてきたけれも、私が怖がる様子を見て話題を変え、笑ったりしているのを聞いていたら、先払いをする車が隣の家にやってきて停まり、
「荻の葉、萩の葉」
と呼ばせる声がしたけれど、返事がない。
呼びあぐねて、笛をとても見事に吹いてから、行ってしまった。
「あの笛の音は、秋風そのもののように聞こえたのに、どうして萩の葉は、そよとも答えないのでしょうね。萩の葉は秋風に吹かれて色づくものなのでしょう? 情が薄いのかしら」
私がそう言うと、姉は、
「そうね。でも、萩の葉がそよいで答えるまで待ってあげずに、ほんの少し吹いただけで、あっさりいなくなってしまった笛の調べの無情さのほうが、私には憎らしく思えるわ」
と答えたのだった。
こんなふうに、夜通しずっと外を見ながら、姉と思いを語り、夜が明けてから眠った。
(AIに描いてもらったイラストの月の数とか楽器の種類とかがおかしいことについては、気にしないようお願いします)
……
菅原孝標の娘たちは、妹だけでなく姉のほうも、空想の世界に遊び、物語を愛する性質を持っていたようだ。
姉が 「ただいま、ゆくゑなくとびうせなば」(いま、私がどこへともなく飛んでいなくなったら…)どう思うかと問いかけた理由について、日記には書かれていない。
けれども、感受性の強い少女だった作者が、姉の言葉と気配から、不吉な予兆を感じ取ったであろうことは、想像に難くない。
姉も妹の怯えを察して、楽しい話題に変える配慮を見せる。
けれどもそこに、場の空気をぶち壊すような騒音が聞こえてくる。
我が身を儚くするかのような姉の言動と、それとは直接関係のない、隣家の妻問い騒動。
晩年になって日記を書いた作者は、なぜこの二つの出来事を、同じ章にまとめて入れたのか。
姉妹の詠んだ萩の葉の歌は、日記の中では具体的に語られていない、姉の個人的事情や、彼女が妹に伝えることのなかった心情を、暗示しているのかもしれない。
【完全に怪しい意訳】
(大河ドラマ「光る君へ」で菅原孝標女の名前が「ちぐさ」とされていたので、ここでもその名前を採用します)
「ねえ、お姉ちゃん」
「なあに、ちぐさちゃん」
「こんなにふうに月がきれいな夜って、何かとっても素敵なことが起きそうな気がしない?」
「たとえば?」
「セレブなイケメンが来て、ドライブに連れ出してくれるとか」
「光源氏が夕顔さんを車で連れ去ったみたいに? あれも月夜だったわね」
「うん! 夕顔の巻のお話、私大好き! だって夕顔って、すごく偉いおうちのお姫様とかじゃなくて、普通っぽい女の子なんだもの」
「普通が何かっていうのは難しいけど、光源氏がお付き合いしてる他の女性たちよりも、身分は低かったみたいね」
「うん。紫の上はお祖父様が天皇だし、葵の上は左大臣家でしょ? うちみたいにド田舎の受領(ずりょう)の子じゃ、源氏の君の正妻はムリだけど、夕顔ポジションだったら狙えると思うの」
「そんなこと言ったら、パパ泣いちゃうわよ、いろんな意味で」
「パパの聞こえないところで言うもん!」
「だけど夕顔さんは、その源氏の君とのデート中に、怨霊に取り憑かれてあっさり死んじゃうじゃないの」
「そこがいいのよ! 最高に素敵な彼に選ばれて、その腕の中で死ねるんだもの。想像しただけで、うっとりしちゃう」
「ちぐさちゃんくらいの年頃の女の子なら、最高に素敵な彼との結婚を夢見るものだと思ってたけど」
「結婚にワクワクなんて、しないし」
「あら、どうして?」
「だって楽しくないでしょ、結婚って」
「もしかして、パパたちが離婚したから?」
「それもある。別れる前のママ、ずっと落ち込んでて、つらそうだったよね。ここの家を出て行くとき、梅の咲く春には会いに来てくれるって言ってたのに、ぜんぜん来てくれないし」
「そりゃあ、ここの家にはパパの正妻のお母様がいるんだもの。上総赴任中はお母様とは別居だったけど、こっちに戻ってからは同居で、いろいろ気詰まりだったでしょうし、離婚後だって、気安く遊びには来れないわよ」
「だけどママとお母様って、別に仲悪くなかったよね」
「表向きはね。口には出さなくても、思うところはあるのよ。ママも、お母様も、それにパパもね」
「そうなのかなあ。光源氏の奥様方は、みんな六条院でシェアハウスしてるじゃない。うちも、あんなだったらよかったのに」
「六条院と我が家とじゃ、広さとか建物の数とか、全然違うでしょ。奥様同士で顔を合わせることもないんじゃない?」
「そっか…私はママもお母様も大好きなのに…元気かな、ママ」
「もともとバリキャリな人だから、第二の人生は仕事に生きるんじゃないかな」
「……ねえ、お姉ちゃんは、結婚して幸せ?」
「ちぐさちゃんは、どう思う?」
「わかんない。だってお姉ちゃん、結婚する前と今とで、ほとんど変わってないみたいなんだもの」
「そうね」
「お義兄さんも、あんまりうちに通ってこないし、お姉ちゃんも、そんなに楽しみに待ってる感じでもないでしょ?」
「ふふふ、そうね」
「お義兄さんって、お姉ちゃんの他にも奥さんいるんだよね」
「そうみたいね」
「何人くらいいるの?」
「さあ。源氏の君よりは少ないみたいよ」
「他の奥さんて、どんな人たちなんだろう。お姉ちゃん知ってる?」
「まあねえ。お一人は結構ご近所だし」
「え、そうなの!? じゃあ私も知ってる人?」
「どうかしら。あまり外に出ない方だから、顔を合わせてはいないかもね」
「引っ込み思案なのか。末摘花っぽいタイプかなあ」
「お鼻が赤くて長いっていう話は、聞いたことがないわね」
「言ってないだけかも。ご近所なんだよね。今からこっそり覗きにいってみる! おうち教えて!」
「あー、いまはおやめなさいな。来客中みたいだから」
「来客中? そういえばさっきから、すぐ近くで車の音とか人の声とかしてるけど……え、まさか、お隣の萩の葉さん!?」
「彼女、今夜も居留守を使うみたいね。まあ気持ちは分かるわ。自分の夫が隣の家の女と結婚したんだもの。平等に交互に通われたって、有り難みなんて、ちっとも感じられないでしょうねえ」
「うわー、大声で名前呼んでるのに、ガン無視されてる。あ、なんか笛の音がしはじめた」
「秋風楽(しゅうふうらく)ね。なかなか上手だわ」
「それ、源氏物語にも出てくる曲だよね。あれって、お義兄さんが吹いてるの?」
「楽器を嗜む人じゃないから、誰か笛の上手い人に頼んで吹いてもらってるんだと思うわ。彼女に何回も居留守を使われて、そろそろ後がなさそうっていうので、焦ったんでしょうね」
「それで素敵な笛の音色で萩の葉さんの気を引いて、仲直りしようってこと?」
「そんなところね」
「その素敵な笛の音色を、お姉ちゃんにまで聞かせて、どうするのよ…」
「あら、一曲終わったわ。アンコールはなさそうね」
「もう帰り支度してるっぽいね。お義兄さん、このままだと萩の葉さんに捨てられちゃうんでしょうに、諦めるの早すぎない? 何考えてるんだろ」
「なーんにも考えてないと思うわよ。大雑把な人だから」
「大雑把でなかったら、自分の奥さんちの隣の家に婿入りしないよね…」
「そういうこと」
「ねえ、お姉ちゃん」
「なあに?」
「結婚って、みんなこんな、しょーもなくて、どうしようもない感じなの?」
「ふふふ、どうかしら。人によって、いろいろだとしか言えないわね」
「そう…」
「でもね、お姉ちゃんは、別に自分が不幸だとは、思ってないのよ」
「そうなの?」
「ええ。住む家にも食べるものにも困らない、親はまだまだ元気だし、かわいい妹と、こうして楽しく夜更かしできる暮らしだもの」
「うん…」
「ただね…こんな夜に、きれいな月を眺めたりしてるとね、夜空のかなたの誰も知らない場所に、一人で飛んで行って、あとかたもなく消え去っちゃいたいなあって、ふと思ったりすることもあるわねえ」
「かぐや姫は、月の世界にある元の実家に戻っただけでしょう? ああでも、しがらみ捨てて生まれ変わって、月世界人になるっていうのも、素敵だわ。上総の受領の娘が月世界転生するお話、誰か書いてくれないかしらね」
「やめてよお姉ちゃん、転生なんて、まるで死んじゃうみたいなこと…」
「あら、ちぐさちゃんだって、夕顔さんみたいに死ぬのがいいわーって思ってたんじゃないの?」
「自分が死ぬのはいいけど、お姉ちゃんが死ぬのはイヤ! 消えちゃうなんて絶対ダメだからね!」
「ふふふ、ただの空想よ。物語と同じ、本当にはならないことだわ」
「…ねえ、お姉ちゃんはいなくなったりしないよね。ママもいなくなって、ナニーも死んじゃって、お姉ちゃんまでどっかにいっちゃったら、私…」
「どこにもいかないし、何も変わらないわ。だからそんなに心配しないの。ほら、あの人の"素敵な笛の音"も、聞かせてもらったことだしね。ふふふ」
「あんな役立たずの笛のどこが素敵なのよ。萩の葉さんだって、結局最後まで居留守してたし。秋風のほうがずっとマシよ」
「そうねえ。萩の葉は秋風で色を変えるっていうものね」
「あ、そうだ、今度お義兄さんがうちに来たら、この歌を叩きつけてやるわ!」
秋萩をいろどる風の吹きぬれば人のこころもうたがはれけり
「後撰和歌集」秋上 223 よみびとしらず
「それって、在原業平の心変わりを疑った恋人が、業平に贈った歌よね」
「そう! 萩の葉の色を変える秋風みたいな、とってもお上手な笛の音が、お隣りの家の前でしてましたけど、正直あなたの神経を疑いますわっていう意味を込めて、私が美しくお習字してあげる! お義兄さんのお着物に!」
「あははは、いいわねえ。でもあの人に、そんな高度な皮肉が通じるかしらね」
「通じなかったら、月にかわって私がバシバシお仕置きしてあげるんだから!」
「まあほどほどにお願いするわね。あら、もう夜が明けそうよ。そろそろ寝ないと」
「ほんとだ、明るくなってきてる。お姉ちゃんも一緒に寝よう。おやすみなさい」
「おやすみ」
「ちぐさちゃん、もう寝ちゃった?」
「……ん、なあに」
「あのね、いつか、あなたが大人になったら、物語を書いてほしいの」
「いいけど、どんな物語?」
「ちぐさちゃんのお話よ。ちぐさちゃんが見てきたこと、感じてきたことを文章にするの」
「うちの家族のお話ってこと? でも、源氏の君みたいにドラマチックなことなんて、うちには起きないと思うけど」
「それでいいのよ。あなたが書けば、きっと、かけがえのない物語になって、ずっと未来まで残るわ。そして、うちの子どもの、子どもの子どもの、そのずーっと先の子どもたちが、今夜の私たちのお話を読んで、笑ったり呆れたりするの。素敵でしょう?」
「お義兄さんが萩の葉さんにフラれそうなお話なんて、あんまり素敵じゃないと思うなあ」
「ちぐさちゃんの歌は、よかったわよ」
「お姉ちゃんの歌のほうが素敵よ。そっか、書いておけば、今日のことも、ずっと忘れずにいられるんだね。私書くよ。上総の頃のことも、旅したことも、お姉ちゃんと話したことも、荻の葉さんや、お義兄さんや、ママやお母様やナニーや、ほかのいろんなことも、全部。書いたら、一番最初にお姉ちゃんに読ませてあげる!」
「分かったわ。ふふふ、楽しみね」
(_ _).。o○
姉妹の会話から二年後。
1024年5月に、作者の姉は、二人目の子のお産が原因で、命を落とす。
三十歳を過ぎて、当時としては大変に遅い結婚をした作者は、夫に先立たれ、子どもたちが独立して手を離れるなどして、孤独な境遇になってから、日記を書き始めたようだ。
この「更科日記」のほか、「夜半の寝覚」「浜松中納言物語」も、菅原孝標女の作品であると言われるけれども、真偽は不明。
当時の女性として、決して薄幸ではなかったにせよ、悲しみや虚しさに苦しむことの多い人生ではあったと思う。
「更科日記」は、晩年の彼女の暮らしが、身内すら滅多に訪れることのない、侘しく孤独なものだったことを書いて、そこでふっつりと終わっている。
けれども、少女の頃に、世の中の物語をありったけ読ませてほしいと、なりふり構わず狂気を感じさせるほど祈り続けた彼女が、受け身のまま孤独に沈んで人生を終えたとは、どうしても思えない。
残りの人生を、「書く」という攻めの姿勢で、とことん生き抜いたのではなかろうか。亡くなった姉の分までも。