2021年の紅白で一番印象に残ったのは、東京事変の「緑酒」だ。
大正や昭和の前半を思わせるような日本文化の上澄みで麗しく装いながら、拡声器に叫び続ける刃物みたいな言葉が、現代社会をグサグサと刺している。
初見では歌詞があまり聞き取れず、流れるテロップをほとんど読み取れずだったので、元日になってからネットで探して読んだ。
大きな不安孕んだ正体憚る膨満感に噦(えず)いてどこから嚥下できようか
自由という名の富
歌詞のなかのあれこれを、そのまんま政府批判とか与党批判とか読み取ってしまうのはたぶん違うし、そもそも野暮すぎて興醒めだろうけど、NHK頑張ってるなとこっそり思うくらいは見逃してもらいたい。
そんなことはどうでもいいといえばどうでもよくて、結局椎名林檎はとびっきり格好いいのだ、と言いたかった。そして椎名林檎の詞は凄い。大伴家持張りの長歌だもん、これ。