湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

コロナ読書日記(ラノベ)

そういえば、このブログでのペンネーム、「ねこんでるねこたま」だった。

 

体調崩して寝込みはじめた頃に、寝たままでも書きやすい「はてなブログ」のアプリに行き当たって開設したから、そんな名前にしたのだったか。

 

寝込んでいても、せめて読み書きは続けたいという思いもあった気がする。その思いはいまも変わらない。

 

だけど、コロナ入院後から、ある程度の長文を書くと、へんな具合に疲れを感じるようになった。

 

それだけ、体力が底をついているということなのだろう。

 

読書日記は、1作品ずつにしよう。

 

そんなペースだと、読んだ本の感想をいつまでたっても書き終わらないけど、当分は仕方がない。

 

パソコン前に座れるようになるまでは、我慢する。

 

 

 

 

聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました(神山りお 著)

 



小説家になろう」で連載中の作品で、私もそちらで読んでいるけど、書籍化、コミカライズもされている人気作品。

 

現代日本から強引に召喚されてしまった、リナという少女が主人公。

 

異世界転生物として、とてもよくある設定だけど、他の作品と違っているのは、主人方には、転生前も転生後も、生きるのに必要な理由が全くないというところだ。

 

リナは召喚される直前、自ら命を断とうとしていた。

 

両親と弟を自動車事故で失い、自分一人だけ助かってしまったリナは、家族を救えずに生き残ってしまったことに苦しみ続けていた。

 

助けを求めて自分の方に手を伸ばす弟の最期の姿が、深いトラウマとなってリナを追い詰め、とめどもない過食に走らせた。

 

肥満を極めた容姿を学校で嘲笑れ、いじめられても、無気力なリナの心には何も響かず、死んで家族の元にいくことを願うばかりだった。

 

けれども、自殺を図ろうとしたリナは、その瞬間によく分からない異世界に呼ばれてしまう。

 

リナを召喚したのは、異世界の第三王子と、配下の魔法使いたちだった。

 

自国を救う美貌の聖女を期待して召喚魔法を発動したのに、現れたのが美しいとは言い難い肥満体のリナだったため、第三王子は落胆のあまり、リナを豚呼ばわりして罵った。

 

でもその最低な扱いが、ある意味、リナに生きる活力を与えたのだと思う。

 

もともと活発で豪快な性格で、筋の通らないことを嫌うリナは、第三王子たちの理不尽で身勝手な願望を許さず、徹底的に糾弾する。

 

やがて、秘密裏に行われていた召喚の件は、第三王子の兄である国王や宰相の耳にも入り、リナは国王の謝罪を受けて、王宮で保護されることになる。

 

国王の命令で、召喚を行った第三王子と魔法使いたちは牢に入れられていたけれど、リナは彼らの釈放を願い出る。ついでに自分の生活費が国庫から出ていることを確認したリナは、それはで筋が通らないとして、召喚に関わった者たちに負担させるようにと進言し、受け入れられる。

 

このあたりで主人公リナの性格に惚れ込んだので、あとは、最新の更新分まで、ほぼ一気読みだった。

 

どんなにストーリーが面白いラノベでも、主人公の性格が好きになれないと、ワクワク度が割り引かれてしまう。

 

元の世界で失ってしまったものが大きすぎて、心が空っぽだったリナが、異世界で大切な「家族」と生きる目的を手に入れるまでの道のりは、まだまだ先が長そうだけれども、異世界の人々のほうは、かなり早い段階で、リナをかけがえのない存在として敬愛するようになる。

 

そのきっかけは、リナの作る家庭料理だった。

 

リナが召喚された国の食文化は、かなり残念なレベルだった。パンは恐ろしく硬く、料理にはほとんど味がない。

 

もともと家族を喜ばせるために料理の腕を振るうのが好きだったリナは、なりゆきで、王宮の厨房でコンソメスープを作ることになる。

 

そのスープが絶品だったことに驚愕した第三王子の勧めで、彼の兄である国王と宰相にも、リナの手料理がふるまわれることになる。

 

食が細いどころか、ポーション以外のものを口にしない宰相には、極甘のフレンチトーストとプリンを。

 

肉と酒ばかり好む国王には、ワインによく合うチーズのおつまみと、絶品のチーズオムレツを。

 

 

それらの料理は、王族ばかりか、王宮で働く人々を 強烈に魅了したため、リナはまるで美食をもたらす神のような扱いを受けることになる。

 

もっとも、そんなふうに周囲からの扱いが変化しても、リナの態度は一貫して変わらない。

 

基本的な礼節や思いやりは欠かさないものの、求められることに過度に応じることもなく、その関係性に依存することもない。

 

どんなに料理をもてはやされても、自分が開発したものではなく、自分の暮らしていた世界の文化を身につけただけだと言うばかりで、決して奢らず、自分のために料理のスキルを利用することもない。

 

ましてや、スキルに依存したかたちで、自分の存在意義を作り上げようともしない。

 

そういうところがまた、読者の私にとっては、大きな魅了でもある。また、切なく感じるところでもある。

 

どれだけ賞賛されても、人にはない力があっても、リナは空虚なのだ。

 

お話がだいぶ進んで、いろんな人々とのあたたかな絆ができたころ、リナは、国王に「生き方が分からない」と告白する。国王は、リナの心にある空虚さを察していて、彼女が本心では死にたがっていることを理解した上で、それとなくリナを支えようとする。

 

今後、リナと国王の関係がどうなっていくのか、まだまだわからないけれども、いい感じに発展していくといいなあと、一読者としては願っている。

 

もっとも、そうなってしまうと、国王の弟である宰相と第三王子が大変そうだけれども。ほかにも、リナに胃袋を掴まれてしまっている人々がたくさんいるので、いろんな騒動が起きそうな気がする。

 

はやく続き、出ないかなあ。