現在、鬱で治療中だけれど、実のところ、鬱だという自覚はあんまりない。
更年期障害、甲状腺機能低下など、いくつもある持病のせいで調子が悪いんだろうぐらいに思っていたのに、それらの治療は絶好調で、検査結果も悪くない。にもかかわらず、苦しいのはなぜだということになって、消去法的に鬱であろうということになった。
眠れない。眠りが短い。
日常生活が、しんどい。
暗い想念にかられて苦しい。
食べたくない。食べても美味しくない。
楽しさが身の周りから消失した。
というわけで、抗うつ剤と、抗不安薬、睡眠薬を、それぞれ極少なく処方され、それで落ち着いている。
まず、平均睡眠時間が二時間近く長くなった。
投薬を受ける前までは、長くても五時間しか眠らなかったのに、いまは七時間ぐっすり寝ている。
そして、もう20年近くほとんど見なくなっていた夢を、毎晩たっぷり見るようになった。
それらの意味するところは、眠りの質が大きく変化したということだろう。
日常生活がしんどいのも、少しづつ改善されて、家事なども最小限できるようになってきた。
ただ、投薬だけでは根本的な解決には至らないだろうという気がしたので、カウンセリングも依頼して、受けることになった。今のところ、これまでの人生の整理中である。
自分のことを、他人に詳しく語るという経験があまりないので、とまどいながら、記憶を掘り起こしつづけているのだけど、語りながら、気づいたことがいくつかあった。
私は、他を押しのけて自分の感情を完全に優先させたことが、ほとんどない。もしかすると一度もない。
どんなときにも、周囲に合わせて、希望を押し殺したり削ったり、別のものにすり替えたりしながら、やってきた。
1番押し殺しているのは、怒りだろう。
怒っても、仕方がない。怒りの対象にそれを直接ぶつけても、何が変わるわけでもない。
そう思っている。
そのあたりに、根深い原因がありそうな気がしている。
実際、怒ることに対して罪悪感めいたものが自分のなかには存在している。
けれども、
身を守るための怒りというものもある。
怒らなければ、主体としての自分を売り渡す状況になりかねないこともある。
そういう時ですら、怒りを外に向けずにいたのだとすれば、それは随分不健全なことだろう。
なんてことを、人生の後半戦たけなわになってきて、年若いカウンセラーさんと会話しながら、ようやく気づいている。