テレビのニュースで、どこかの動物園のレッサーパンダが直立して、大いに人寄せしているというのをやっているのを見ていた長女さん(8歳)が、
「なんで、うれしいニュースなのに、悲しそうにしゃべるのよ。悲しいニュースなのかと思っちゃったじゃない」
と、つぶやいた。
たしかに、そのニュースを伝えていた女子アナは、眉間の縦じわが濃い目の不幸そうな人で、私もてっきりパンダが死んだニュースなのだと思ったほどだった。
その女子アナは、パンダの次の、ひどい殺人事件のニュースでも、全く調子を変えずに話していた。世の中もうすこし分かりやすいほうがいいだろうに。
そういえば、長女さんは、悲しいニュースが好きではないのだった。同時多発テロのとき、私が一日中、ニュースにかぶりついていたら、幼稚園児だった長女さんが、うんざりしたように、
「もう、ひこーきぶちゅかりの話は、みたくない!」
と言ったのを思い出す。それでも気になってニュースを見ていた私は、すっかり体を壊してしまった。入院したあと、長女さんの忠告を聞くべきだったと、ずいぶん後悔した。
(2005年05月21日)
※過去日記を転載しています。