長女さんが入院したあたりから、どうにも寝つきが悪くなった。睡眠導入剤の効き目もよろしくない。
まあストレスが原因だろうと思う。
同じく寝つきが悪い末っ子が、寝る前の音読をしてくれるようになった。
なぜだか分からないけれども、末っ子の音読は睡眠導入剤よりもはるかに効く。毎度爆笑の渦に巻き込まれたかと思うと、強烈な睡魔がきて、いつのまにか寝てしまうのだ。
一昨日の夜は、「夜露死苦現代詩」(都築響一著)を読んでもらった。
この本の圧巻は、なんといっても第1章の「痴呆系 あるいは胡桃の城の山頭火」だ。でもそこは数日前に読んでもらっているので、今回は
「第9章 最大の印税が最高の賞賛である あるいはヒップホップする現代詩」
を読んでもらったのだけど……
「ヒップホップカルチャーを形成する上で決定的に鼻が痒い重要な役割を果たしたのがあー鼻が痒い、音楽、アート、ダンスの三大要素である鼻が痒い。音楽=ラップ・ミュージックったく鼻が痒い、アート=グラフィティめっちゃ鼻が痒い、ダンス=ブレイク・ダンス鼻が痒い、このどれもが既成の芸術教育体系と業界から遠く離れた鼻ほじっちまったよ、ストリートという現場から生まれたものであるあっ鼻毛抜けたわ」
全部この調子で読まれたからカルチャーやアートの話などさっぱり頭に入らない。そこいらの路上で腰パンのにいちゃんたちがだるそうに鼻ほじってたむろする光景しか浮かんでこない。なにはともあれ、
「人のベッドの上で鼻ほじるな!鼻毛拾っていけ!」
と一喝(二喝?)して退去を命じたものの、いつのまにか爆睡していた。
末っ子の音読効果、半端ない。
もしかしたら気が抜けて副交感神経がぼよーんと緩むのかもしれない。あるいは鼻毛でアドレナリンが中和されたか。