湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

映画「クォ・ヴァディス」

 

Amazonプライム・ビデオで、視聴した映画のメモ。

 

クォ・ヴァディス

 

暴君ネロによるキリスト教徒弾圧と、その顛末を描いた歴史映画。

 

原作は、ノーベル文学賞作家のヘンリク・シェンキェヴィチ。

 

長期の遠征からローマに帰還したマーカス将軍は、リジアという美しい娘を見初めて求愛したけれど、リジアは女を所有物のように扱うマーカスを拒む。

 

諦めきれないマーカスは、リジアが亡国の王女であり、ローマでは奴隷の身分であることを突きとめ、権力で言うことを聞かせようとしたけれども、リジアを保護していた養父母のはからいで、身を隠してしまう。

 

リジアに執着するマーカスは、ギリシャ人の占い師の力を借りて彼女を捜索し、リジアと養父母がローマでは禁じられているキリスト教徒であることを突きとめ、彼らの秘密の集会に潜入する。

 

そこでマーカスは、イエス使徒であったペテロの教えを聞き、わずかに心を動かされたものの、リジアを捕まえる前に、彼女の護衛に倒されてしまう。

 

意識を失っていたマーカスを、自分の家で介抱したリジアは、自分の気持ちがマーカスに傾いていることを自覚する。傲慢な男性優位の考えの持ち主ではあっても、マーカスの恋情はリジアに対してまっすぐで、誠実だったのだ。

 

リジアの献身的な介護によって目覚めたマーカスは、彼女の信仰する神を、数多あるローマの神々と共に受け入れるのにやぶさかではないと言い、改めて求婚したものの、イエスの教えのみを唯一としてほしいリジアとは相容れず、二人は決別してしまう。

 

この時点で、マーカスはリジアと対等の立場に自分を置いており、彼女の心を強引に変えようとはしなくなっているのだけれど、マーカス自身は、そんな自分の心の変化には気づかない。

 

その後、とち狂った阿呆である皇帝ネロによって、ローマに火が放たれ、大火災が引き起こされる。

 

燃え落ちる街で再会したマーカスとリジアは、互いに深く思い合っていることを確かめあったけれど、ネロが放火の罪をキリスト教徒になすりつけたために、他のキリスト教徒たちと共にローマ兵によって捕縛されてしまう。

 

死を覚悟したリジアは、永遠に共にあるために、共に獄中にあったペテロの立ち合いの元で、マーカスとの結婚を願う。まだキリスト教を信じきれていないマーカスは躊躇するけれども、リジアの願いを叶えるために、ペテロの前で結婚を誓う。

 

処刑の決まったキリスト教徒たちは、皇帝ネロとローマの大群衆が見守る闘技場に引き出されながら、死を恐れることなく神を賛美する歌をうたい、微笑みながら死んでいった。

 

火災後、ローマを離脱していペテロは、道中で神の光を目撃し、「主よ、どこへ行かれるのか(クォ・ヴァディス)」と問いかけ、一緒に逃げていた孤児の口を通して、イエスの声を聞く。

 

ローマの信徒を見捨てるのであれば、私が行って、もう一度十字架にかかるという主イエスの思いを知ったペテロは、闘技場に行き、処刑されようとしている信徒たちのために祈りの声をあげたために、反逆者として捕縛され、十字架につけられる。

 

キリスト教徒として捕縛されたリジアとマーカスの処刑は、ネロの妻であるポッペアの意向で、後回しにされていた。

 

密かにマーカスに横恋慕していたポッペアは、マーカスに愛されるリジアを嫉み、他の信者よりも酷い殺し方をしてマーカスに見せつけようと目論んでいた。

 

それは、わざわざ美しく着飾らせたリジアを闘技場の杭に縛りつけ、猛り狂った雄牛をしむけ、一緒に捕まっていた彼女の護衛に素手で守らせるという、悪趣味な趣向だった。

 

ポッペアは、マーカスを自分の座の近くに呼び出して拘束し、彼の苦しむ顔を眺めて楽しもうとしていたようだった。

 

手を縛られて繋がれていたマーカスは、心のなかでリジアたちの信じる神に救いを求めながら、全力で革紐を引きちぎろうとしていた。

 

そうこうするうちに、リジアの護衛は、素手で雄牛を締め殺してしまう。

 

同時にマーカスも革紐を引きちぎり、リジアの元へと飛び出していく。将軍としての彼を慕う部下たちに守られながら、闘技場の中心に立ったマーカスは、放火の首謀者がネロであることをローマ市民たちに暴露する。

 

真実を知った市民の暴動を恐れたネロは逃げようとしたものの、かつての愛妾だったキリスト教徒の女性に、最後くらい皇帝らしくあれと諭され、彼女の介助で自害する。

 

マーカスは、新皇帝となるべき人物に後を託し、リジアと共にローマを離れた。

 

 

(_ _).。o○

 

この映画は1951年に公開されている。

 

主なキャストは…

 

 

他に、女奴隷役でソフィア・ローレンエリザベス・テイラーがこっそり出演していたらしいけど、見つけられなかった。

 

74年も前の映画だから、出演者はほぼ故人になっているはず。

 

この映画で、ネロ役のピーター・ユスティノフゴールデングローブ賞助演男優賞を取ったという。あとの出演者には賞はなかったようだ。デボラ・カーのリジア、怖いほど美しくて魅力的だったのに、ネロに負けたのか…。

 

映画の中のネロは、幼稚で情緒不安定な愚物でしかなく、不世出の芸術家を自認するものの、どうやらアートの才能は皆無だったようで、事あるごとに自作自演のひどい歌を披露しては、臣下の忍耐力を試していた。

 

ネロがほんとうにそんな人物だったかどうかはわからないけど、実際にジャイアンリサイタルみたいなのを開催しては顰蹙を買ってはいたらしい。退屈した観客のなかには、死んだふりをして担ぎ出されたような者いたとか、観客が逃げ出さないように閉じ込めたため、臨月の妊婦が何人も客席で出産したとか、ありえないようなエピソードがWikipediaに書いてあった。

 

 

シェンキェヴィチの小説は、岩波文庫に入っているようなので、そのうち読んでみようと思う。