湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

「鎌倉殿の13人」(16)伝説の幕開け(歴史音痴と大河ドラマ)

第16回「伝説の幕開け」を視聴した。


サイコパスバーサーカー義経が主旋律となって駆け回り、北条の人々の人間らしい懊悩が安定のリズムを刻み、後白河と頼朝の陰謀めいた宿願が可聴域ぎりぎりのところで薄暗い重低音を流す。そんな感じの回だった。

 

ドラマの中の義経(菅田将暉)は、とにかく人を騙して裏をかく。

そして味方の心情には驚くほど疎く、その場の役に立たないとみると、容赦なく踏みにじる。

 

肉親や仲間への情はあるのに、それがいつか自分を守る力になるとは考えもしないらしい。だから打算なく人を使い潰して顧みない。その結果、「鵯越の逆落し」よりも勢いよく人望が消えていく。

 

中途半端に人たらしな頼朝よりも、裏表のない、純粋な人柄であるともいえる。


だからこそ、後の世の、義経を直接知ることのなかった人々が、判官贔屓の心情に駆られるのだろう。義経の近くで振り回され続けた坂東武者たちにしてみれば、冗談じゃないと罵りたくなるところだろうけど。

 


吾妻鏡」の空白の寿永二年(1183年)が終わり、寿永三年(1184年)、とうとう木曽義仲が討たれてしまう。享年三十一。若い。

 

義仲(青木崇高)に忠誠を誓った巴は、敗走中に和田義盛に捕縛され、そのまま嫁になって朝比奈義秀を産むらしいけど、本当かどうかは分からない。

 

その朝比奈義秀は、ずっとあとに鎌倉で勃発する和田合戦でも死なずに生き延び、何がどうしてそうなったのかは分からないけど宮城県に渡って松島湾を掘り上げ、出た土で船形山を築いたんだとか。びっくりだ。

 

北条義時(小栗旬)と八重の長男が無事に生まれ、頼朝によって「金剛」と名付けられていた。ダイヤモンドな赤ちゃんだ。

 

その金剛ちゃんと八重さん(新垣結衣)のところに、三浦義村(石田三成じゃなくて山本耕史)が女の赤ん坊を連れてくる。

 

義村曰く、母親がワケアリで、すでに亡くなっているんだとか。

 

仁安3年(1168年)生まれの義村は、寿永三年(1184年)には16歳前後だったはずで、いったいどんなワケがあって、自宅で育てられない子を持つことになったのか、想像もつかない。

 

赤ん坊の母親、誰だったのだろう。

 

三浦義村くん、だいぶ前の回に、頼朝の愛人の亀(江口のりこ)を見て、あれを我が物にすれば頼朝を超えられるとかなんとか、猛烈にゲスいことを言っていた気がするんだけど……まさかね。

 

 

( _ _ ).。o○

 

毎度おなじみの蛇足コーナー。

 

二回続けて、食事や食べ物の出てくるシーンがなかったので、ちょっとへそを曲げている。そういう状況じゃないから仕方ないけど、

 

食器は出てきた。

木曽義仲や巴たちが戦の相談をするシーンで、床に置かれた質素な椀などが、邪魔そうに払いのけられていた。

 

彼らの最後の食事は、何だったのだろう。

食器のないところでは、握り飯など食べたのだろうか。

 

私は読んでいないけど、「平家物語」には、義仲が猫間中納言(藤原光高)という人に、平茸汁をふるまったという話があるという。

 

魔窟みたいな書斎から「平家物語」をひっぱり出してくるのが超面倒くさいので、青空文庫にあった芥川龍之介の「木曾義仲論」から、当該箇所を引いてみる。

 

彼は「田舎合子の、きはめて大に、くぼかりけるに飯うづたかくよそひて、御菜三種して平茸の汁にて」猫間黄門にすゝめたり。而して黄門の之を食せざるを見るや、「猫殿は小食にておはすよ、聞ゆる猫おろしし給ひたり、掻き給へ/\や」と叫びたりき。何ぞ其頑童の号叫するが如くなる。

 

芥川龍之介「木曾義仲論」(青空文庫)

 

ねこたまインチキ意訳】

 

彼(義仲)は、ばかみたいにデカくて深い、田舎臭い蓋つきの食器に、ご飯をてんこ盛りにして、三種類のおかずに平茸の汁物を添えて、猫間中納言に勧めた。

 

猫間中納言が手を付けないのを見ると、義仲は、

 

「猫殿ってば小食だなあ。これが話に聞く『猫のお残し』ってやつだね。さあさあ遠慮なくカッ食らいなさいよ。」

 

と叫ぶように言った。その有様は、聞き分けのないガキんちょが癇癪を起して騒ぐのとほとんど変わらなかった。

 

 

昭和生まれの私にとって、芥川龍之介は「現代作家」だけど、こういう文章を読むと、もう「現代」の人ではないと言うしかない。旧字旧かなを改めたとしても、いまの高校生のほとんどは、これを辞書なしで読むのは不可能だろう。私でもキツい。

 

それはともかく、義仲にとって「平茸汁」は、きっと「ごちそう」だったのだろう。

 

「合子」の素材は分からないけど、なんとなく金属や焼き物ではなく、木製の蓋つきお椀のような気がする。

 

東京国立博物館のコレクションで、平安時代の「合子」を検索してみたけど、仏具や美術工芸品のようなものばかりで、ご飯をどっさり盛れそうな田舎風の巨大なデザインのものは見当たらなかった。

 

いずれにせよ、義仲の最後の食事は、蓋つきの椀に盛られてはいなかっただろう。

 

 

( _ _ ).。o○

 

さらなる蛇足。

 

「鎌倉殿の13人」の義経のキャラは、平野耕太ドリフターズ」の義経に近いと思う。

 

DRIFTERS 缶バッジ 源九郎判官義経 ドリフターズ

 

「ドリフ」仕様の義経カンパッジ、ちょっとほしい。キャラは好きになれないけど。

 

そういえば、鎌倉時代関連のご当地キャラやマスコットを探してみたけど、頼朝のマスコットは、どうもあまりパッとしないというか、カッコイイキャラのものが見当たらない気がする。なぜだろう。ヒーローの要素がないからかな。

 

鎌倉 大蔵頼朝商店会 キャラクター ヨリトモくん トートバッグ アイボリー Mサイズ TY-B001-IV-M

鎌倉限定 源頼朝 ご当地 地域限定 QP コスチューム キューピー 根付け マスコット ストラップ

 

それに比べて、義経や義仲は、美化される度合いがすごい。

 

以前遊んでいた「白猫プロジェクト」というゲームアプリには、義経(シャナオウ)と義仲(ヨシナカ)のキャラがいた。(シャナオウ・遮那王義経の幼名)

 

 

シャナオウ↑

ヨシナカ↓

 

 

どちらもお気に入りで、大事に育てながら使っていたけど、新しく出てくるキャラのほうが強いので、後半はほとんど使えなくなっていた。

 

白猫プロジェクト」には、シャナオウの兄でマザーヨリトモと呼ばれる敵キャラの存在もほのめかされていたけど、なぜか姿を見せなかった。その後どうなったのかはプレイをお休み中なので分からない。

 

ひさびさに、プレイしてみようかな。