きのう、押尾コータローというギタリストのDVDが、アマゾンから届いた。この人の演奏する、戦場のメリークリスマスのテーマ曲を、息子(7歳・重度自閉症)が猛烈に気に入ってしまったので、どうせなら演奏している姿も見せたいと思い、購入したのだった。
ところが、きのうの息子は神経ビリビリの、こだわり大魔神状態。
視覚刺激が辛いらしくて、リビングの蛍光灯すら我慢できず、悲鳴をあげながら消してしまう。新しいDVDなんて、とても受け入れられる状態ではなかった。
それでもせっかく買ったのだからと、ためしに上映してみた。
案の定、オープニングの映像が始まった途端、息子がテレビに走りより、DVDデッキのスイッチをぶちっと切った。完全拒否の表情で、頑として受け入れないぞという構え。
それで、オープニングから見せるのをやめて、戦メリのところから再生してみることにした。すぐにスイッチを切られないように、息子を少しテレビから引き離して、くすぐりごっこで気をそらしているあいだに、亭主に戦メリの画像を出してもらった。
途端に、息子、目の色が変わった。
自分の好きな曲だというのは、すぐに分かって、右手で私の手を取り、ぽんぽんと自分の膝をたたきながら、リズムを取り始めた。曲のスピードが微妙に変わっていくのをちゃんと追いかけて、正確にリズムを取るので、驚いた。もしかしたら、曲、全部覚えちゃっていたのかもしれない。
戦メリの曲だけ三回繰り返し聞くと、やはり視覚刺激がつらくなったらしく、息子は映像を消して、曲だけ聞こうとしていた。でもそれがうまくいかないと、軽くカンシャクを起こして音を消してしまい、しばらくテレビ前で逡巡していたかと思うと、DVDデッキのスイッチをいれて、泣きながら、最初から見始めた。
DVDを見たい気持ちと、ひどい知覚過敏とで、葛藤した結果、見たい気持ちのほうが勝ったのだろう。でもやっぱりつらいから、泣いてしまっていたのだろう。
もっと体調のいい日に見せてあげたらよかったのだろう。
でも、息子の好きなものが、また一つ増えたことは、とてもうれしい。
(2005年05月25日)
※過去日記を転載しています。