(2005年06月23日)
⭐︎過去日記を転載しています。
朝、学校を休ませることにして、一日相手をする覚悟を決めたものの、今日の息子(7歳・重度自閉症)は、ハンパじゃなかった。
雨降りのベランダに出て、手すりから身を乗り出すこと数回。放っておいたら、墜落したかもしれないと思うと、背筋がひやーっと、引きつる気がする。
出てから引きずり戻すというのを繰り返すと、本人の意志にかかわらず、出ることが自動化して定着してしまうので、出る前にとにかく制止。泣いて怒ること一時間弱。なんとか外に出ようとする反復行動を停止できた。
その次は、牛乳をコップの口すれすれまで注いで、こぼれるかこぼれないかを試すという遊びにハマッてしまい、これを諦めさせるのに、やはり一時間かかった。
テレビを最大音量にして自分だけ離れた部屋に逃げるという遊びは、半日、断続的に続いた。
勉強は、不思議なほど素直にしてくれた。プリント類を、いつもの倍量もこなして、満足そうにしていた。そのかわり、ちょっと書くたびに、鉛筆削りを使うというこだわりが炸裂。本人も、やりたくもないのに、やらずにはいられない気持ちになってしまうらしい。
お昼ごはんは、自分に出されたものでなく、私の分を横取りして食べた。さすがにこれは制止しきれず、そのまま流した。このあたりで、私の気力はほぼ底をついていたのだった。
その後、息子は、細川ふみえ(十九歳当時)のビデオをひっぱりだしてきて、何度も何度も繰り返し見ていた。これが、息子の神経を休ませてくれたらしい。こだわりの頻度が下がり、しだいにゆるんできて、普段の息子の表情にもどったところで、絵本を一冊読んでやった。これが大当たりだった。
「14ひきのこもりうた」という絵本を、息子は、五回も六回も、読んでほしがった。こんなことは、ものすごくめずらしいのである。
私が声をからしてしまうと、息子は、ひとりで本を開いて、にこにこしながら黙読しはじめた。こんな日がくるのを、私は五年も六年も、待ち続けていたのである。
そのあと、夕方まで、しっとりと落ち着いた状態で過ごすことができ、夕方から出た療育も、先生にものすごくほめられるほどの出来だった。
息子の療育中、本屋さんに寄って、「14ひき」シリーズを一冊購入。
猛烈に疲れたけど、少しだけ、明るい光も見えた気がした一日だった。