息子(5歳・重度自閉症)は、家庭保育室での自分の居場所や役割を、少しづつ理解しつつあるらしい。
なにしろ息子が最年長である。ほかの子供たちより、頭ひとつぶん、デカい。夕方になれば、ママが恋しくてメソメソないている子もいる。あまえる相手がほしくて、手にもったオモチャを大切そうに渡しにくる赤ちゃんもいる。ケンカして大泣きして、ごめんなさいが喉から出ずに、じたばたしちゃっている男の子たちもいる。
そんなありさまを、頭ひとつぶん高いところから見下ろしているうちに、自分が混乱して暴走している場合ではない、と思ったのだろうか。
保育室についても、最初のころのように半パニックになってメチャクチャに走りまわったり、先生の手をふりほどいて好きなところに行っちゃったり、しなくなった。
なんだか妙に落ち着いた顔で、みんなの様子を見回したりしている。
昨日は、先生に、
「ほら、ママにバイバイして」
とうながされると、ちょっと照れたような顔をして、腰のあたりで手を振ってくれた。
夜、お迎えにいったら、
「ちゃんといい子にして、麦茶をみんなと一緒に飲んだんですよー」
と先生が報告してくれた。
思わず「ほんとに飲んだんですか!?」と聞き返した。
息子はあらゆるお茶の類を、家では絶対に飲まないのである。
先生方も、息子の偏食のものすごさを察して、数日前から、すこーしだけお茶をなめさせたりして、心の準備をさせてくれていたのだという。
そしたら、最初はいやがっていたけれど、オヤツの時間になって、みんなでテーブルの前にすわったら、素直に飲んだという。
「みんなといっしょに、お片づけもしたんですよー」
とも言われた。もう、びっくりすることばっかりだ。
家に帰ってから、あらためて息子の顔をみると、なんだか引き締まって、大人びて見えた。
(2003年1月30日)
※過去日記を転載しています。