何日か前、とにかく速攻で眠くなる本を読みたいという末っ子のリクエストで、この本を選んだ。
「定義集 ちくま哲学の森」筑摩書房
30年くらい前に買って、ときどきチラっと見るだけの積読本だった。
辞書みたいな様式で、多くの作品からの引用文が満載だから、まともに読もうとすると、ものすごく疲れるのだ。
ぱらっとめくって、「酒」のところを読んでもらった。
朝もよし昼もなおよし晩もよし その合い合いにチョイチョイとよし
蜀山人「酒仙伝」
末っ子「むしやまびと?」
私「誰それ」
末っ子「ろうそくさんじん?」
私「もしかして、ショクサンジンか?」
末っ子「そう読むのか?」
私「その虫が入ってる蝋燭みたいな漢字、ショクだよ」
末っ子「読めん!」
「蜀」が読めないとは……末っ子には、三国志の世界を教えないといけないようだ。(´・ω・`)
一日中飲んでいそうな歌だ。
死因は内臓疾患じゃなかろうかと想像したけど、違ったようだ。
文政6年(1823年)、登城の道での転倒が元で死去。75歳。辞世の歌は
「今までは人のことだと思ふたに俺が死ぬとはこいつはたまらん」
と伝わる。墓は小石川の本念寺(文京区白山)にある。
そういえば、しばらく前に読んだ「身代わり狂想曲」(風花千里 著)という小説の脇役で、若い頃の大田南畝が登場していた。
読書メモ…「発達障害という才能」(岩波明) - 湯飲みの横に防水機能のない日記
面白い小説だったから、同じ作者の別の作品も読んでみようと思っていたのに、そのままになっていた。Kindleで探しておこう。
酒ハ酔ウタメモノデス。ホカニ功徳ハアリマセヌ。
太宰治「右大臣実朝」
ついこのあいだ読んだばかりの作品だから、この部分も記憶していた。
実朝の台詞は、なぜか漢字カタカナ混じり文のデスマス体で書かれている。そのせいで、身も蓋もないようなことを言っていても、極端に俗世離れした、人外の高貴な存在のような印象になっている。
そういえば、実朝の父親の源頼朝は、糖尿病を患っていたという説があるようだ。
「吾妻鏡」では、頼朝の晩年の記述がほとんどないらしいけど、鎌倉幕府を礼賛するために書かれた歴史書には書きにくいような病状だったのかもしれない、などと想像してみる。
お酒はほどほどが良い。