ひとつ前の日記でヘッセを貶した責任を取るため、「車輪の下」、Kindle版をDLして、「ひこばえ」の有無を確認した。
↓ ひとつ前の日記
そして、発見した。
残念ながら、私がDLした新潮文庫版の翻訳は、「ひこばえ」という語を採用せず、「新しい芽」「根元にはえた芽」と訳している。
(なんで新潮文庫版をDLしたかというと、岩波文庫版の半額だったから(^_^;)
一本の木は頭を摘まれると、根の近くに好んで新しい芽を出すものである。それと同様に、青春のころに病みそこなわれた魂は、その当初と夢多い幼い日の春らしい時代に帰ることがよくある。そこに新しい希望を発見し、断ち切られた生命の糸を新たにつなぐことがてきるかのように。根元にはえた芽は水分豊かに急速に成長はするけれど、それは外見にすぎず、それがふたたび木になることはない。
口語訳としては読みやすいのかもしれないけれど、私は四十数年前に読んだ「ひこばえ」版のほうに軍配をあげたい。
だって、「ひこばえ」という単語がなければ、おそらくヘッセの「車輪の下」を読んだときの生々しい印象と幼い感想とを、ここまで長く記憶することはなかっただろうと思うから。
そして、四十数年ぶりに読み返した「車輪の下」は、驚くほど面白く、生き生きと感じられた。
今日は「ひこばえ」の確認のために猛スピードで斜め読みしたけれど、近日中に、きちんと読もうと思う。
それとは別に、「ひこばえ」訳の「車輪の下」も、探してみたい。
- 作者: ヘルマンヘッセ,Hermann Hesse,高橋健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/12/04
- メディア: 文庫
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