湯飲みの横に防水機能のない日記

色々壊れてて治療中。具合のよくないときに寝たまま携帯で書くために作ったブログです。ほんとにそれだけ。

ドラマ「グッド・オーメンズ」天使と悪魔のオタクで危なっかしい友情

なんとなく気分が暗くて寝つけなかったので、ちょっとだけ気分転換しようと思って、Amazonプライム・ビデオでドラマを見始めたのだけど、作品の独特の雰囲気が楽しくなって、ついつい二日がかりで最後まで見続けてしまった。(だから昨日はブログの更新ができなかった)

 

見たのは、「グッドオーメンズ(Good OMens)」というドラマ(全6話)。

 

AmazonBBCの共同制作とのこと。

 

 

「グッドオーメンズ(よい前兆)」というタイトルだけど、物語の冒頭に現れるのは反キリストの赤ん坊で、放置すればハルマゲドンからの人類滅亡、そして天使と悪魔の最終決戦なのだから、人間にとっては最悪の前兆ということになる。

 

ところが、天使たちも悪魔たちも、いよいよ自分たちが勝利する時がくると喜ぶばかりで、それまで良くも悪くも執着してちょっかいを出しまくっていたはずの人類の滅亡には、何の興味も示さない。

 

けれども、彼らの中にたった二人だけ、ハルマゲドンを喜ばない者たちがいた。

 

一人目は、天使アジラフェル。

ロンドンで古書店を経営し、大好きな本を集めて暮らしている。ちょっと小太りな体型なのは、美味しい食事に目がないのと、運動不足のせいらしい。

 

もう一人は、悪魔のクロウリー

見た目はチョイ悪オヤジだけど、自宅では観葉植物を大切に育てていたりする。車とロック音楽が大好きで、愛車のカーステレオでは、クイーンをよく聴いている。

 

超常的存在の二人は、善と悪という、それぞれの役割を果たすために、何千年も地上の人間たちに混じって過ごすうちに、なんとなく友だち付き合いをするようになっていた。

 

アダムとイブがエデンから追われるときも、イエス・キリストが十字架にかけられるときも、二人は一緒に見守っていた。

 

フランス革命のときには、貴族と間違えられてギロチンにかけられそうになっていたアジラフェルを、クロウリーが救っていた。

 

閑古鳥が鳴いていたシェークスピアハムレットの公演を二人で冷やかしていたこともあった。

 

第二次世界大戦のロンドン空襲の夜には、ナチスのスパイに騙されて殺されそうになっているアジラフェルを助けるために、クロウリーが駆けつけていた。

 

立場の違いから仲違いすることがあるし、互いの関係を友情によるものだと認めることもないけれど、完全に決裂することもない。

 

けれども、そんなつかず離れずの生暖かい関係は、世界の終わりの予兆とともに、変わっていくことになる。

 

事の始まりは、サタンの息子である反キリストの赤ん坊が、悪魔たちの手によって人間社会にもたらされたことだった。

 

反キリストは、地獄の番犬とヨハネの黙示録に記されている四騎士を率いて、メギドの丘で、ハルマゲドンと天使と悪魔の大軍団の戦争を引き起こすとされる存在だ。

 

悪魔のクロウリーは、その反キリストの赤ん坊を、アメリカ大使の赤ん坊とすり替える役割を与えられる。

 

地上の世界を愛するクロウリーは、そんな役割を引き受けたくなかったけれども、同僚の悪魔たちに裏切りを疑われるのを避けるため、仕方なく赤ん坊を預かる。

 

悪魔たちの計画では、産気づいたアメリカ大使の妻を、悪魔信仰の教会が運営している参院に誘導して出産させ、生まれたばかりの赤ん坊を反キリストの赤ん坊とすり替える予定だった。

 

ところが、産院のシスターたちの手違いで、反キリストの赤ん坊は、アメリカ大使の赤ん坊と同じ日に生まれた別の赤ん坊とすり替えられてしまう。

 

手違いに気づいていないアジラフェルとクロウリーは、アメリカ大使の家庭に潜入して赤ん坊を見守り、手分けして影響を与え続けることで、善悪のバランスの取れた、反キリスト的ではない性格に育つように奮闘する。

 

その甲斐があったのか、アメリカ大使の息子は、ごく普通の立派なクソガキに成長した。

 

けれども、反キリストの11歳の誕生日にやって来るはずの地獄の番犬が、アメリカ大使の息子の元には現れなかった。アジラフェルたちは、赤ん坊のすり替えが失敗していたことに気づき、本物を探すために奔走することになる。

 

反キリストの赤ん坊は、田舎町に住むヤング夫妻の一人息子のアダムとして大切に育てられ、機知に富んだ愛すべき少年になっていた。

 

アダムが11歳になった日、巨大な地獄の番犬がやってきたけれども、一緒に遊べる可愛い子犬を欲しがっていたアダムの願いに反応して、身も心も子犬になってしまう。反キリストとして目覚めたアダムの願ったことは、どんなことであれ、すべて実現してしまうのだ。

 

オカルト系の雑誌にハマってしまったアダムのせいで、世界中でトンデモな現象が起こり始める。

 

ヨハネの黙示録の四騎士たちも集結し、軍事基地のコンピューターに侵入して、世界中の核ミサイルを強制的に発射させようとする。

 

何をどうやっても近日中にに世界が終わるという状況で、アジラフェルとクロウリーは、裏切り者として追われる身となりながら、神がかった偶然の積み重ねや出会いに巻き込まれつつ、見事に世界を守り切り、ついでに自分たちの身の安全も確保して、お互いの友情を認め合うことになるのだった。

 

 

(_ _).。o○

 

「グッド・オーメンズ」の天使たちと悪魔たちは、見た目はだいぶ違うものの、傲慢で頭が硬いところや、教条主義的で人の話を聞かないところは、とてもよく似ていた。ある種の「右」と「左」の人たちみたいに、何でも極端な方向にいくと同じようなことになるんだろう。

 

あと、戦争が大好きで、生きとし生けるものに対する愛がないところもそっくりだった。

 

天使たちは、ハルマゲドンや悪魔との全面戦争は神の計画だと考えていて、悪魔側も概ね同意していたようだけれども、それを阻止しうとするアジラフェルやクロウリーたちに、神が罰を下すことがなかった。

 

逆にアジラフェルたちが窮地に陥ると、助けになるようなヒントが何故か偶然手に入ったり、ものすごい奇跡が起きたりもする。そのタイミングが、聖書に書かれている神の奇跡や導きによく似ていることから、神の計画は、世界の終焉ではなく救済だったのだろうなと察せられる。

 

神の試練は、人間だけじゃなく、天使や悪魔にも降りかかるものらしい。そしてその真意はとても分かりにくく、救済にたどり着くためには地獄を這い上がるような努力が求められ、その結果、望んだものとは全く違うものが、救いとして与えられたりもする。

 

天使と悪魔も非人情な存在だったけど、一番底意地の悪いのは、神なんじゃないかと思う。

 

 

(_ _).。o○

 

そういえば、画面の雰囲気が「シャーロック」に似ているなと思ったら、この作品のダグラス・マッキノン監督は、「シャーロック」シリーズ(主演、ベネディクト・カンバーバッチ)の「忌まわしき花嫁」の監督でもあると、Wikipediaで知った。

 

 

(_ _).。o○

 

「グッド・オーメンズ」の原作小説があるようなので、そのうち読んでみようと思う。

 

 

ドラマはシーズン2の制作が発表されているのだとか。ぜひ見てみたい。