先月(2022年8月)Kindleで読んだ本の感想メモ。
ネタバレがありますので、気になる方はご注意ください。
また、書籍によっては、Kindle Unlimited(読み放題)で利用できる期間が終了する場合がありますので、そちらもご注意をお願いします。
永井路子「望みしばらく何ぞ」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
主人公は、藤原能信。藤原道長の息子の一人で、母は明子。出世の早かった倫子の息子たちに比べると、日の当たりにくい道を歩いている印象で、能信自身も若い頃からやりきれない思いを抱えていた。
けれども、この世を我がと思うほどに繁栄していた道長の栄光も、入内させた娘たちが、なぜか男子を産まないまま次々と早死にしたことから、次第に陰りが見えてくる。
そんな中、姸子(道長の娘)の産んだ禎子内親王が、皇太子敦良親王(後の御朱雀天皇)に入内し、尊仁親王(後の後三条天皇)を出産し、生母が藤原氏ではない天皇が登場したたことから、時代の流れが変わっていくことになる。
禎子内親王の中宮大夫として支えた藤原能信は、異母兄弟の藤原頼道などの圧力から内親王や敦良親王を守ったものの、尊仁親王の即位を見届ける前に、大臣にもなれないまま死去する。
誰の娘が皇太子を産むかで、出世の道筋が決まってくる人生について、作中の能信は、痛烈な皮肉を放っている。
「しかし考えてみればおかしな話じゃないか。よってたかって、女の股の間を覗きこんでいる」
とはいうものの、能信自身は、天皇の外戚として権力を振るうスタイルについて、否定や批判の気持ちがあったわけではないようで、自分の養女の茂子を尊仁親王に入内させてもいる。
その茂子の産んだ息子が白河天皇になり、その白河天皇のひ孫が、「鎌倉殿の13人」で平清盛や源頼朝とバチバチやり合っていた、あの後白河法皇だと思うと、道長の息子の中では日陰者だった能信の頑張りは、確かに歴史を動かしたと言えるように思う。
D・キッサン「神作家・紫式部のありえない日々」第1巻
Kindle版を購入。
未亡人となった紫式部が、宮仕えの人間関係で四苦八苦しつつも、生き生きと「同人活動」に勤しむお話。
いい意味でタイトル通りの作品だった。続きも読みたい。
「今日も絵に描いた餅が美味しい」第1巻(梅渡飛鳥、もちもち物質、転)
Kindle Unlimited(読み放題)のカタログで見つけたマンガ。
主人公は、絵を描くのが大好きな少年。
親に絵を禁じられ、画材を全部捨てられてしまっても、昼食用に貰っているお金を全部画材につぎ込んで、隠れて絵を描き続けている。
ところがある日、少年は見知らぬ異世界の森に飛ばされてしまう。所持品は、制服のポケットに入っていた紙と鉛筆だけ。お腹が空いた少年が、その紙に、餅と麦茶を描いたところ、なぜかそれが実体化して、飲食できてしまった。
描いたものが手に入ることが分かった少年は、森の中にあるもので絵の具を作り、生活に必要なあらゆるものを描いて実体化させていく。
ひとりぼっちの暮らしは少し寂しいけれど、理解のない両親のいる元の世界に戻る気にもならず、描いて暮らす日々を楽しんでいたところ、人間ではない、不思議な森の住人たちと知り合うことになり…
読み放題の1巻目は、ものすごく気になるところで終わってしまった。(´・ω・`)
原作小説も書籍化されているようだけど、「小説家になろう」にもあるようなので、そちらも読んでみようと思う。(なろう版は本編完結済)
D・キッサン「三千世の心中」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだマンガ。
「神作家・紫式部のありえない日々」の作者さんの別作品。
先祖代々の呪いのために、早死にする宿命にある主人公が、不老不死の少女と出会い、命懸けで次世代を宿命から解き放つ物語。ラストが切なかったけど、暗い気持ちにはならなかった。
D・キッサン「千歳オチコチ」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだマンガ作品。
平安貴族の変わり者の少女と少年の出会いの物語だった。続巻がたくさんでているようなので、いつか読みたい。
猫乃森シマ「オーバードライブ」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ、BLマンガ。売り出し中のバンドのメンバーと、元から彼のファンだったマネージャーの物語。短い作品だけど、出会いのときめきがよく出ていて楽しいお話だった。
室生犀星「かげろうの日記遺文」
Kindle Unlimited(読み放題)で読んだ作品。
最初はチラ見するつもりだったのに、平安時代の女性たちの心身を生々しく描写してみせる文章の魔力に引き込まれて、一気に読了。室生犀星の作品を読んだのは、たぶん初めてだと思う。