先述したように、ミステリーにおけるホームズとワトソンの関係は、自閉症のある人と定型発達者の関係のあり方について、一つの可能性を示しているように思われる。
しかしもちろん、この二人の人物はフィクションである。
では、歴史上の実在の人物で、その可能性を示してくれる事例はないであろうか。
私見では、二〇世紀の哲学者であるルードヴィッヒ・ヴィトゲンシュタインと、彼についての回想録『回想のヴィトゲンシュタイン』を記したノーマン・マルコム(彼の弟子であり友人でもあったアメリカ人哲学者)との関係が、その事例として考えられるように思われる。
禿同。
推理小説が苦手な自閉症児の親がホームズのシリーズにハマるとしたら、原因はそこにあるし、哲学なんかろくに知らない私がマルコムの回想録などを読みかじる理由があるとするなら、それしかない。
ということを書きたいためだけに、この箇所を引用した。
この本、読了できるかどうかは不明。無理かも。