Twitterで流れてきた本がとても気になっている。
遠藤雅司「古代メソポタミア飯」
Kindle版もあるので、さっそくサンプルダウンロードでチラ見してみただけど、目次と「ギルガメッシュ叙事詩」の登場人物&登場神リストまでしか見られなかった。残念だ(;_;)
だけど目次に並んでいる料理はとても魅力的だった。
【無発酵パン】古代の持ち運び用お弁当パン クサープ
【野菜添え物/ネギと豆類】メソポタミアの青物に神々のソースを添えて ワルク
【からし粒汁】4600年前に誘う刺激的なマスタードスープ カスー
【ピスタチオとレンズ豆のビール煮】王様だけが味わった豆の特製リゾット ブトゥットゥム キシャーヌ
【鶏肉パイ】古代直伝!魚醤にんにく生地の鶏肉パイ アムルサーヌ
【麦酒】肝臓を喜ばせ、心を悦びで満たすもの シカル
【葡萄酒】山から運ばれる舶来のワイン カラーヌ
(目次の一部を抜粋した。)
気になる料理ばかりだ。
「神々のソース」って、どんなものなのか。
「肝臓を喜ばせ」る麦酒なんて、ぜひ飲んでみたい。
「山から運ばれる舶来」ワインって、どういうことなんだろう。どこの山? 海を渡らないとメソポタミアに輸送できない地域なの?
読みたい!
そして作りたい!
(正直に書こう。亭主に作ってもらいたい!)
上の本の関連書として、同じ著者のこちらも表示されていて、とても気になった。
遠藤雅司「歴メシ!世界の歴史料理をおいしく食べる」
この本もKindle版があったので、さっそく無料サンプルをダウンロード。
目次を見ると、上のメソポタミア飯と被るレシピもあるようだけど、古代ギリシャ、古代ローマ、中世イングランド、ルネサンス期イタリア、フランス・ブルボン朝、ナポレオン時代、プロセイン王国&ドイツ帝国と、広い時代の料理を取り上げているようで、大変に興味深い。
上記二冊の関連書として、こんな本もおススメ欄に登場した。
「復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理本
小泉八雲さん、こんな面白い本も書いていたのか。
Kindle版のサンプルをダウンロードしてみたら、目次と、本文を1ページ半だけ読むことができたのだけど、そのたった1ページ半の本文が非常に魅力的な随筆の冒頭だったので、即座にポチりたい衝動を抑えるのが大変だった。
夜明けのしらべ
『その耳には恐ろしい音が聞こえ』(ヨブ記 第一五章二一節)
果物やさまざまな珍味の物売りがこれほど町にあふれたことはなかったであろう。豊かな生活と活発な経済活動が営まれているという、頼もしい証左である。
東の空に夜明けの光明が輝きだすや否や、物売りの呼び声が通りに響きわたる。
しかも、かの名高い『ロンドン予備護衛辞典』などとは比較にならないほど珍妙な音声による広告、つまりはイタリア人や黒人、フランス人、スペイン人の宣伝合唱なるものがこだまするのである。
鶏肉売りは、開け放たれた窓の一つ一つに首を突っ込んで叫ぶ。「とーりぃ、奥さん、とーりぃー!」
そこに「レーモン、新鮮なレーモン」売りが続く。「リィンゴォ!」「イチゴォ、イチゴッ!」「黒イチゴォ!」それぞれ独特の、もったいぶつた節回しである。
ずるそうか黒い眼をしたイタリアの伊達男はガラクタをどっさり売っていて、「ラニャッパ(おまけ)」とい嬉しい言葉を腹の底からしぼり出す。もちろんイタリア語訛りで。この男は開け放たれた窓や扉にすーっと音もなくしのび寄り、真っ黒な眼をぎょろりとさせて、鋭く室内を見まわす。と、不意に稲妻のような深い低音がとどろく。「ラニャーッパ、奥さん! ラーニャッパだよ」
ああもう続きを読みたい!
聴覚過敏気味の人にとっては、まさに冒頭の「ヨブ記」の一節のように恐ろしい音に満ちた街だろうけど、言語フェチ、口頭語愛好家にとっては、すべて書き留めずにはいられない、愛しいサンプルの充満する空間だったことだろう。
いいなあ。