昨夜のこと。
末っ子がお先真っ暗な顔をしているので、どうしたのかと聞いたら、明日から始まる期末テストの日本史が不安過ぎるという。
「範囲は?」
「それ無茶苦茶広くない? どのあたりが不安なのよ」
「全部」
「勉強してないの?」
「やるにはやったけど、日本史の先生が超マニアックな問題しか出さない人だから、点が取れる気がしない」
「吉備真備が嫌いで反乱起こしたのは?」
「藤原広嗣」
「道鏡と対立して反乱起こしたのは?」
「藤原仲麻呂」
「皇朝十二銭の最初のやつは?」
「和同開珎」
「大宝律令つくった藤原さんは?」
「不比等」
「6歳以上の人に口分田をなんちゃらの法律は?」
「班田収授法」
私は歴史オンチなので、ネットにあった高校日本史の問題集から適当に拾って出していたのだけど、末っ子はほとんど即答正解してしまう。
「テスト大丈夫なんじゃないの?」
「この程度じゃないやつが出るんだ」
末っ子の不安な表情が消えないので、さらにいろいろ問題を探して出していたのだけど。
「藤原不比等の死後に左大臣に就任し、不比等の子4人を自殺させたのは誰が……って、ちょっと待て! 不比等の子4人って、あれだよね、藤原戦隊4レンジャー」
「武智麻呂、房前、宇合、麻呂。全員天然痘で死んでる。自殺じゃないよ」
「だよねえ。その4人が長屋王を死なせたんだよね。それとも他にも兄弟いたの? てか、長屋王って、悲劇の貴公子ってイメージだったけど、そんな外道な前歴あったの?」
「知らん。ほんとに不比等の子を4人も自殺に追い込んだんだったら、長屋王の変は自業自得って感じだけど」
だけどウィキペディア見ても不比等の息子って4人だけで、あとは娘だった。
「娘たちも自殺なんてしてないっぽいし。あ、1人、長屋王の奥さんになってる人もいるけど」
「その人は藤原不比等の血筋だからっていうので、長屋王の変でも殺されずに助かってるはずだよ」
というわけで、この問題は誤植っていう判断でよかろうということになった。
今日の昼過ぎ、日本史のテストを受けて帰宅した末っ子によると、長屋王や藤原四兄弟関連の問題がでたので、そこはなんとか得点できたらしい。
ただ、ほかの問題は、教科書や資料集で見たことのない仏像の写真を見て収蔵されている場所を答えろだとかいう、意地悪な問題が多かったそうで、クラスの中には全問真っ白の解答用紙を提出した生徒もいたという。
赤点取らなければいいけど。