新型コロナ後遺症が、慢性疲労症候群の症状と重なるというので、布団の上で少しづつ情報を集めている。
慢性疲労症候群の治療法は、まだ確立していないらしいけれど、体内で何が起きているのかを少しでも理解できれば、療養の役に立つかもしれないし、間違ったことをやらずに済むかもしれない。
有効な情報を見つけたら、忘れてしまわないよつに、ブログにメモしていこうと思う。
少し古いけれども、理化学研究所のホームページに、慢性疲労症候群のメカニズムに関する発見の報告があった。
慢性疲労症候群の血液バイオマーカーの発見
一部引用する。
慢性疲労症候群患者(20名)と健常人(20名)の血漿を対象に代謝物質の変動を網羅的に解析することにより、慢性疲労のメカニズムに基づいた客観的な疲労バイオマーカーを探索しました。両群で血糖値(Glucose濃度)に差はありませんでしたが、慢性疲労症候群患者では、エネルギー(ATP)産生に与る解糖系およびTCA回路中の代謝物が減少していること、さらに、その低下は自覚的疲労度(PS)に相関することが見出されました。
40年ほど前に高校の生物でATP回路について習ったような記憶があるけれども、詳しいことは忘れてしまった。なるべく早めに復習しよう。
運動したときの疲労具合を考えると、エネルギーを生み出す回路に問題があるというのは、ものすごくありそうな話だと思う。
ゆっくり歩いている途中、いきなり、一歩踏み出すのもキツいほどの疲労と動悸に襲われるのだ。まさにガス欠である。
さらに情報を探してみたら、興味深いシンポジウムの詳録を見つけた。
シンポジウム
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群は ここまで解明された!
上の記事のDr. Charles W. Lappという方の講演「慢性疲労症候群の理解と症状の管理 」には、私の症状に合致する内容がいくつもあった。
4 つの中核的症状に加えて、CFS には 4 つの典型的な特 徴がある。
第一に、CFS は労作性疾患である。労作が過ぎると具合が悪くなる。他方、休息を取りすぎると、 体がこわばり、痛み、体調が狂う。
だから、「活動的でいるべきだが、あまり活動的過ぎない」ようにするのが大切だ。
第二に、CFS は体位疾患である。つまり、立っていると悪化し、横になることで改善する疾患である。 よって、頻回に横になることが非常に大切である。
第三 に、CFS 患者には特有の過敏症がある。光、音、化学的な臭いや煙などに敏感で、温度も適切でなければ我慢できない。寒すぎると激しく震え、暑すぎると体力がなくなり、失神することさえある。
最後に、CFS 患者はどんなストレスにも耐えられない。「ストレス」とは、 守らなければならない期限や予約・約束、家族や友人と の対立だけではない。デスクワークや政府の規則順守な ども含まれる。
認知活動によるストレス(読書、注意力 の集中、コンピューター使用など)でも極度に消耗する ので、こういった活動には頻回の休息を取ることが大切 だ。私はこういう活動を 30~45 分したら休息を取るよ うに勧めている。
思い当たることばかりだ。
私の場合、何もできなくなるほどの疲労や具合の悪さに襲われる状況は、ほぼ次の3つに絞られる。
- 通院で外出したあと。
- 2時間近く座ってパソコンをいじっていたあと。
- よく眠って、朝起きたとき。
通院では、短くても1時間半、長い時には3時間を超える外出になる。
ここの日記にも何度か書いた気がするけれども、外出時の歩数が4000を超えたりすると、立つどころか、支えなしには座っているのも苦しいほどになる。
徒歩での移動が少なくても、外出中は横になれないから、ずっと「起きて」いることになる。これが、ものすごくつらい。
反対に、横になった状態であれば、苦もなく読み書きや調べ物を継続できる。疲れを感じたら、休息すれば、わりとすぐに回復してしまう。寝返りをしてみたり、手足を軽く動かしたししただけで、スッキリすることも多い。ここのブログはそうやって書いている。
だから、「労作性疾患」であり、「体位性疾患」でもあるというのは、ものすごく納得できる。
寝起きの具合が最悪なのは、長時間動いていないからだろう。手や膝などの関節がひどく痛むだけでなく、エネルギーを根こそぎ絞り取られたかのように疲れ果てていて、とてもすぐには起き上がれないのだ。
まさに上の講演記録で言うところの「休息しすぎ」の状態だけど、夜寝ないわけにもいかないし、こればっかりは、どうしようもない。
もう少し引用する。
重要なのは頻繁に休憩し、活動に制限を設け ることだ。
1 日に少なくとも 2~3 回の休憩時間をとるようにする。普通は 10~30 分の休憩で十分である。
但 し、体位過敏性のため、横になること。
そしてストレス に耐えられないので、何も考えず、何もストレスがない 精神状態でなければならない。
言い換えれば、休憩中には何かを読んだり、計画を立てたり、テレビを見たり、 電話で話すことを控えなければならない。
積極的に運動することが重要だといろいろな所から、例えば主治医を 含めて聞いたかもしれない。実際には、運動をしすぎる と症状が悪化するという科学的な証拠がある。
大半の CFS 患者は「無理してクラッシュ(倒れる)する」傾向がある。つまり動きすぎて、数時間あるいは数日、極度に衰弱してしまう。「無理してクラッシュする」ことを定期的に繰り返す人は良くならない。体が回復する機会がないからである。
病気を良くするのに大切なのは、「エネルギーを節約する」ことだ。つまり自分のエネルギー の限界を知り、その限界を超えないことだ。
繰り返すが 「活動的でありながら、過剰にならない」ことが重要だ。
これを実現するには、家族や友人の助けが必要かもしれないし、家事や料理のような仕事を誰かに代わってもらう必要があるかもしれない。家事、仕事、運動などでの達成目標を下げることが必要な場合もある。
新型コロナ後遺症の報道をいくつか読んだけれども、長く苦しんでおられる方々のほとんどが、仕事や学校で「無理してクラッシュする」ことを繰り返しているようだった。
頑張って出勤しては、倒れて休むということを繰り返して、解雇された事例もあったと記憶している。
新型コロナ後遺症が、慢性疲労症候群と同質のものであるなら、復職や復学には相当な配慮がなければ、症状が悪化するばかりということにもなりかねない。
私のように、家族に支えられて十分に療養できる境遇の人は、たぶん少ないと思う。
新型コロナ感染がおさまっても、後遺症としての慢性疲労症候群は、今後重い社会問題になってくるかもしれない。
長くなったけど、あと一箇所引用する。
心肺運動負荷試験を行えば、CFS 患者の低エネルギー、 スタミナ減少、労作後の体調不良などがよりよく理解で きる。
初めに判ったことの一つは、CFS 患者は無酸素 活動に耐えられないこと。
「無酸素」とは、十分な酸素が筋肉に行かないことを意味する。そうなると筋肉は、 エネルギー源として酸素の代わりにブドウ糖を使用する。ブドウ糖の代謝は乳酸など有害物質を生産する。
CFS 患者のほとんどが、無酸素閾値に達するまでには 3 ~5 分しか運動できず、回復には 5 分の休憩が必要となる。
したがって、一回に 3~5 分の運動と、5 分の休憩 を組み合わせることで、再発やぶり返しを減らすことが 可能になる。これを間隔をあけた活動と呼んでいる。
台所で洗い物などしていると、10分もたたないうちに、ひどい動悸に襲われて、立っているのがつらくなる。
あのつらさは、無酸素運動状態に突入したからなのだろう。
慢性疲労症候群患者は、なぜ短時間で筋肉の酸素が足りなくなってしまうのだろう。
そして、なぜ無酸素活動に耐えられないのだろう。
身体がやたらめったら痛いのと、何か関係があるのだろうか。
また色々調べてみよう。